「愛しのアイリーン」 安田顕が前代未聞の”爆走演技”で圧倒

(2018年9月16日)

  • クリス・プラット
  • 「愛しのアイリーン」
    (渋谷・シネクイント)

フィリピン人女性と結婚した主人公を通して農村の問題などを描いた新井英樹の同名漫画を安田顕、木野花、伊勢谷友介、河井青菜、品川徹らの個性派俳優に加えてフィリピン女優ナッツ・トイの異色キャストで吉田恵輔監督が映画化した。

寒村のパチンコ店に勤務する主人公の宍戸岩男(安田)は、42歳まで恋愛を知らず独身で、AVを見てはオナニーするのを見た母親のツル(木野)は見合い相手を探すが岩男は拒否していた。ある日、離婚して2人の子供がいる同僚の清楚な吉岡愛子(河井)から誕生日にプレゼントをもらって喜び、その気になるが、同僚から彼女が男性関係が乱れていることを聞かされて絶望的になり、貯金していた300万円をはたいてフィリピンパブで紹介された嫁探しツアーに出かけて現地で気に入ったアイリーン(トイ)と結婚する。

アイリーンを連れて帰国したとき実家では父親の葬儀中だった。ツルはアイリーンを見て激怒し、猟銃を向けて追い払おうとする。さらには、アイリーンをさらおうとする女衒の塩崎(伊勢谷)が現れて、大波乱の展開になっていく。

安田がオナーニー・シーンを迫真の演技でやってのけたり、「オ××コ」と絶叫したり、トイとの激しい全裸セックスシーンを見せるなどの“爆走演技”で圧倒する。また木野のアイリーンに向けた激しい憎悪をむき出しにして罵倒するシーンもすさまじい。寒村の人間関係の中でもがく岩男の激情、フィリピン女性との国際結婚がもたらす波紋、母子の愛憎劇などが渦巻き暴発していく怒涛の2時間17分になっている。(2018年9月14日公開)