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映画
「愛と法」弁護士夫夫カズとフミの奮闘記
(2018年9月29日)
カズとフミこと南和行氏と吉田昌史氏の「弁護士夫夫」に密着した異色のドキュメンタリーはそのままいま日本が抱える様々な問題に直結する。
大阪の下町で「なんもり法律事務所」を営んでいる2人は、経済的、環境的状況で出生届が提出できなかった無国籍者や、大阪府立高校の卒業式で国歌斉唱の時に起立しなかったとして減給処分を受けた元教諭・辻谷博子さんが、起立斉唱の強要は思想、良心の自由への侵害で、府の「君が代起立条例」などは憲法違反として処分取り消しなどを求めた裁判や、芸術家で漫画家のろくでなし子さんが女性器をモチーフにした作品でわいせつ物陳列罪に問われた裁判などを担当する。
2人は同棲しているが結婚はできないままだった。そこに突然居場所を失った少年カズマ君が転がり込んで3人の新しい生活が始まる。
さまざまな注目の裁判の展開に引き込まれる一方で、2人の軽妙な掛け合いやユーモア、ポジティブな姿勢がとても味があり、そんな2人だからこその依頼人や裁判に対する柔軟で的確な目線が素晴らしい。戸田ひかる監督が余すところなく2人の活動ぶりやメッセージを描き出している。
「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり生産性がないのです」(杉田水脈衆院議員=自民党)などとアッと驚くLGBTに対する差別発言をした国会議員が、彼女を擁護する記事を掲載して炎上した老舗雑誌「新潮45」を廃刊に追い込みながらも、自身は議員として存続できるご時世だからこそ、このドキュメンタリーの意義は大きい。(2018年9月29日公開)
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