「生きてるだけで、愛。」 ”生きてるだけで疲れる女”を趣里が”振り切れ演技”で熱演

(2018年11月9日)

生きてるだけで,愛
「生きてるだけで、愛」
(新宿ピカデリー)

劇作家・小説家の木谷有希子の同名小説を趣里、菅田将暉らのキャストで映画化した。監督はこれが劇場長編映画デビュー作となる関根光才。
鬱(うつ)による過眠症で布団からなかなか抜け出せず仕事もせず引きこもりの毎日を送っているヒロイン・寧子(趣里)と、出版社で雑誌のゴシップ記事を書いている津奈木(菅田)は飲み会で知り合い、同棲生活を送っていた。そこに津奈木の元恋人・安藤(仲里依紗)が現れ、趣里と津奈木を別れさせるために無理やり知り合いのカフェバーで趣里を働かせる。店長(田中哲司)らの好意に恵まれ仕事を始めることになる趣里に難題が待ち受ける。

感情が爆発して、突然走り出したり津奈木に食って掛かったり、自分をコントロールできず人間関係もうなくいかず、「生きているだけで疲れる」女・寧子を趣里が熱演している。寧子は感情が高ぶって考えられない行動をしてしまうことを”振り切れてしまう”と表現るが、そんな寧子が乗り移ったかのように”振り切れる演技”を見せている。布団の中でスマホをいじるシーンから、津奈木に延々と不器用に自分の思いをぶつける激情シーンなど、ヒロインになり切ったリアルな演技で圧倒する。趣里と向き合う菅田の“受け”の演技もこのラブストーリーにリアリティを与えている。
(2018年11月9日公開)