「人魚の眠る家」 生か死か究極の選択をめぐる葛藤

(2018年11月17日)

  • 人魚に眠る家
  • 「人魚が眠る家」
    (ヒューマントラスト渋谷)

人気作家・東野圭吾の同名ベストセラー小説を、篠原涼子、西島秀俊、坂口健太郎、松坂慶子らのキャストで「明日の記憶」「TRICK」シリーズ、「天空の蜂」などの堤幸彦監督が映画化した。

播磨薫子(篠原)は浮気した夫の和昌(西島)と別居していたが、愛娘の瑞穂がプールで溺れて病院に搬送され、医師の進藤(田中哲司)から意識が戻るかわからない深刻な状態であることを告げられる。和彦は自身が社長の医療機器メーカーで開発している特殊な機器を使い瑞穂の状態を安定させ、さらには会社の若手技術者の星野(坂口)の協力で手や足を動かすまでになる。薫子は次第に取りつかれたように瑞穂の世話にのめりこんでいき、母親(松坂)や和昌、瑞穂の弟、薫子の妹(山口沙弥加)たちを振り回し、衝撃的な展開になっていく。

奇跡を信じて眠り続ける娘にのめりこむ母親の異常な愛情と狂気を篠原が熱演。夫役の西島、母親役の松坂、妹役の山口、瑞穂のために研究に没頭する技術者役の坂口、その婚約者役の川栄李奈らが薫子と瑞穂をめぐって、ときに激しくぶつかり合うシーンは圧巻。サスペンスとホラーの要素を入れながら、家族愛や「生と死」について鋭く問題を提起していて最後まで引き付けられる。
(2018年11月16日公開)