「メアリーの総て」小説「フランケンシュタイン」を産んだ天才少女の波乱の半生

(2018年12月17日)

  • メアリーの総て
  • 「メアリーの総て」
    (東京・新宿のシネマカリテ)

数々の映画でおなじみの古典的名作「フランケンシュタイン」は、イギリスの作家、メアリー・シェリーが1813年に匿名で出版したゴシック小説(原題「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」)として知られるが、この映画はメアリーが同作を書き上げるまでの波乱の半生を描いている。サウジアラビア初の女性映画監督ハイファ・アル=マンスールがエル・ファニングを主役に映画化した。

作家を夢見るメアリー(ファニング)は、妻子ある詩人パーシー・シェリー(ダグラス・ブース)と出会い恋に落ち、情熱の赴くまま駆け落ちして女の子を産むが、借金の取り立てから逃げるときに死なせてしまい、夫が浮気するなど悲惨な生活を送る。そうしたなか、詩人バイロン卿の別荘に夫婦らで招かれ過ごすうちに「みんなで怪綺談を書いて披露しよう」とバイロンが提案、メアリーは小説を書き始める。

ファニングが波乱の人生を突き進む多感な天才少女を華麗にまた力強く演じている。そして18歳の少女が愛に飢えた孤独な怪物フランケンシュタインを生み出した背景も描かれている。最近やっと女性の車の運転やサッカー観戦が許されるようになったサウジで初の女性監督として活躍するマンスール監督が、メアリーを通して女性の自立を描いた作品としても注目される。(2018年12月15日公開)