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「記憶にございません!」 中井貴一が記憶喪失の総理大臣をコミカルに熱演

(2019年9月14日)

「記憶にございません!」 (TOHOシネマズ渋谷)

「THE有頂天ホテル」(2006年)、「清須会議」(2013年)などユニークな発想とストリーで人気の三谷幸喜が脚本・監督を務めた最新作。支持率2.3%と国民から総スカンの総理大臣が記憶喪失になったことから巻き起こるドタバタ劇を描いたコメディ。総理大臣役に中井貴一、首相秘書官にディ―ン・フジオカ、事務秘書官に小池栄子、官房長官に草刈正雄、総理府人に石田ゆり子、謎のフリーライターに佐藤浩市など豪華キャストがそろった話題作。

■ストーリー

バルコニーで演説中に何者かに石を投げられ頭にあたって病院に運ばれた総理大臣・黒田啓介(中井)は、記憶喪失になっていた。首相秘書官の井坂(ディーン)や事務秘書官の番場のぞみ(小池)ら側近は、記憶喪失になったことをひた隠しにして前代未聞の危機をなんとか乗り切ろうとするが、総理は大臣の顔と名前や議事堂の本会議場の場所、自分の息子の名前もわからない。記憶にない愛人に迫られ、実は妻(石田)も不倫をしていたり、フリーライター古郡祐(佐藤)にゆすられたり、ドタバタが続く。そんな時に米国初の日系女性の大統領スーザン・セントジェームス・ナリカワ(木村佳乃)が来日。さらなる混乱に巻き込まれ。ライバルの官房長官・鶴丸大吾(草仮)は黒田を総理の座から引きずり下ろすことを画策する。

■見どころ

「記憶にございません」は偽証罪に問われないようにするために考え出された疑惑逃れの苦肉の策だったが、そのセリフを国会の質問で連発していた総理大臣が本当に記憶をなくしてしまうという設定がなんともウイットに富んでいて、ユニークな発想と笑いが満載の”三谷ワールド”を展開している。記憶を失った総理のうろたえぶりと、それを必死に隠そうとする取り巻きのドタバタが繰り広げられる前半から、過去のダメ総理からの脱却を図ろうとする後半のドラマの対照的な展開も見どころになっている。中井が記憶喪失の総理をコミカルにまたシリアスに演じてドラマを盛り上げている。デイ―ンや小池や草刈、木村、斎藤ら演技派俳優の競演も見ものだ。来日した米大統領を総理がゴルフでおもてなしするが、10メートル以上離れている大統領のパットをオーケーにするなど、吉本新喜劇張りのベタな笑いもふんだんに登場して客席から笑いが起きていた。
(2019年9月13日公開)