「CLOSE/クロース」大親友の少年2人に起こる残酷な悲劇と再生

(2023年7月13日20:45)

「CLOSE/クロース」大親友の少年2人に起こる残酷な悲劇と再生
「CLOSE/クロース」のレオ㊨とレミ(©Menuet/Diapfana Films/Topkapi Films/Versus Production 2022)

兄弟のように仲の良い2人の少年が、クラスメートのある言葉がきっかけで仲を裂かれて起きる悲劇と再生の物語を描いた話題作。第75回カンヌ国際映画祭で「観客が最も泣いた映画」(BBC.com)といわれグランプリを受賞。第95回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされるなど国際的に注目された。アカデミー賞作品賞を受賞した「ムーンライト」、「エヴリシング・エヴリウェア・オール・アット・ワンス」などを手掛けた米配給・制作会社A24が北米の配給権を獲得した。

「CLOSE/クロース」大親友の少年2人に起こる残酷な悲劇と再生
「CLOSE/クロース」(©Menuet/Diapfana Films/Topkapi Films/Versus Production 2022)

監督は、前作「Girl/ガール」(2018年)で第71回カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を受賞したベルギー出身のルーカス・ドン。 主人公・レオと幼馴染のレミを、本作で俳優デビューとなるエデン・ダンブリンとグスタフ・ドゥ・ワエルが演じている。

2022年/ベルギー・オランダ・フランス/104分/原題:Close/字幕翻訳:横井和子
配給:クロックワークス/STAR CHANNEL MOVIES
提供:クロックワークス 東北新社br> ©Menuet/Diapfana Films/Topkapi Films/Versus Production 2022

「CLOSE/クロース」大親友の少年2人に起こる残酷な悲劇と再生
「CLOSE/クロース」(©Menuet/Diapfana Films/Topkapi Films/Versus Production 2022)



■ストーリー

13歳のレオとレミは昼は花畑や田園を走り回り、夜は寄り添って寝そべるなど、いつも一緒に過ごす大の仲良しだった。だが、中学に入学した初日に、ぴったりとくっついて座る2人を見たクラスメイトに「付き合ってるの?」などと質問され、レオは「親友だから当然だ」とむきになるが、戸惑い、レミを遠ざけそっけない態度をとっていくようになる。毎日一緒に登下校していたのに、レミを避けるように1人で登校するレオにレミは傷つき、2人は大ゲンカになる。特にレミは感情を爆発させて激しくレオをなじるなど暴れ、学校関係者に抑えられる。仲直りできないまま時間が過ぎていき、ある日突然、レオにレミとの衝撃的な別れが訪れる。喪失感を抱え、自分がとった行動に罪の意識を感じ、本当のことを誰にも言えずにいたレオは、やがてある決意をする。

「CLOSE/クロース」大親友の少年2人に起こる残酷な悲劇と再生
「CLOSE/クロース」(©Menuet/Diapfana Films/Topkapi Films/Versus Production 2022)

■見どころ

野原を駆け回るなど少年2人が遊ぶシーンはとても自由で美しく輝いているが、やがて2人とその家族だけの蜜月の世界から中学校という新たな社会に出た時に遭遇する思いがけない異質の視線。そして2人の美しい関係を崩壊させる残酷で悲劇的な出来事は痛ましく、それは中学校という限られた世界のようで、実は社会全体の不条理をも描き出しているようだ。14歳の時に電車内で偶然ルーカス監督と出会いオーディションを受ることをすすめられ抜擢され、レオ役で映画デビューを果たしたベルギー出身の俳優でダンサー、エデン・ダンブリンと、同じくオーディションでレミ役を勝ち取り映画デビューを果たしたベルギー出身のグスタフ・ドゥ・ワエルの2人が、10代特有の揺れ動く心情を瑞々しく繊細に演じて物語をディープに展開していく。レオがクラスメートの言葉に動揺してレミを遠ざけてゆくくだりは悲しく切ない。そして突然訪れるある衝撃的な出来事に感情を揺さぶられる。そのことで責任を感じて罪の意識にさいなまれるレオ。そして最後に大きな喪失を受け止めながら再生のドラマが待ち受ける。
7月14日(金)より全国公開