「裸足になって」声を失ったバレエダンサーがたどり着く”魂のダンス”

(2023年7月21日14:15)

「裸足になって」声を失ったバレエダンサーがたどり着く”魂のダンス”
「裸足になって」でろうあ者の女性たちと踊るフーリア(左から2人目)

北アフリカのアルジェリアが舞台で、元テロリストの暴漢に襲われて足を骨折する重傷を負い、ショックで声を失ったバレエダンサーの絶望と再生を描いた作品。
ヒロインのフーリアを、ソフィア・ジャマ監督の「Les Bienheureux」(原題)でヴェネツィア国際映画祭でオリゾンティ女優賞を受賞し、2018年仏セザール賞有望若手女優賞にノミネート。「ハピチャ 未来へのランウェイ」(2019年)でセザール賞有望若手女優賞を受賞したアルジェリア出身のリナ・クードリが熱演している。ほかにラシダ・ブラクニ、ナディア・カシ、アミラ・イルダ・ドゥアウダなどの出演。
「コーダ あいのうた」(2021年)でアカデミー賞助演男優賞を受賞した米国のろう者の俳優トロイ・コッツァーが製作総指揮を務めた。監督は、初長編監督作「ハピチャ 未来へのランウェイ」(2019年)がカンヌ国際映画祭の「ある視点部門」に出品され、アカデミー賞国際長編映画賞のアルジェリア代表に選出されるなど国際的に評価されたムニア・メドゥール。

製作総指揮を務めたトロイ・コッツアーは「この物語の描く真実やろう者の俳優たちの演技、そして手話を使ったインスピレーションあふれる振り付けに感動しました。フーリアが別のコミュニケーション方法を見つけることは、“表現の自由”を見事に表しています。手話の美しさと価値をよりよく理解するために、世界中が見るべき映画です。私は『裸足になって』の一員であることを大変誇りに思いますし、この珠玉の映画をぜひ皆さんに体験していただきたいと思っています」とコメントを寄せている。

「裸足になって」声を失ったバレエダンサーがたどり着く”魂のダンス”
「裸足になって」屋上でレッスンするフーリア

製作総指揮:トロイ・コッツアー 監督:ムニア・メドゥール
出演:リナ・クードリ,ラシダ・ブラクニ、ナディア・カシ、アミラ・イルダ・ドゥアウダ
配給:ギャガ GAGA★
  フランス・アルジェリア/原題:HOURIA/99分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/字幕翻訳:丸山垂穂
©THE INK CONNECTION - HIGH SEA - CIRTA FILMS - SCOPE PICTURES FRANCE 2 CINÉMA - LES PRODUCTIONS DU CH'TIHI - SAME PLAYER, SOLAR ENTERTAINMENT
公式H P:https:// gaga.ne.jp/hadashi0721

■ストーリー

北アフリカのアルジェリア。内戦の傷が癒え切らない不安定な社会の中で、主人公のフーリア(リナ・クードリ)はバレエダンサーになることを夢見て、オーディションを間近にしてバレエの特訓に明け暮れていた。そうした中、母親に車を買ってあげたいと闘羊のギャンブルに掛けて賞金を得るが、元テロリストの男がいかさまと因縁をつけてフーリアの後を追って賞金を奪おうとする。抵抗したフーリアは顔を殴られ階段から突き落とされ足を骨折。踊ることもできずショックで声を失ってしまう。バレエ仲間の友人ソニア(アミラ・イルダ・ドゥアウダ)に励まされながらリハビリする中、リハビリ施設で心に傷を負ったろう者の女性たちと出会う。彼女たちと親しくなり、ある日見事なダンスを披露してみんなを驚かせる。教えてほしいと懇願され、彼女たちにダンスを教える中でフリーアはダンスの情熱を再燃させ、生きる情熱を取り戻していく。


■見どころ

暴漢に襲われて一瞬にしてバレエダンサーの夢を砕かれショックで声を失った主人公フーリアをリナ・クードリが熱演している。母親と警察に被害を届け犯人を逮捕するよう要求するが、逮捕後すぐに釈放される中、毅然と戦う姿や、ダンスへの夢をあきらめないフーリアを強くまっすぐな視線で演じて存在感を見せている。また独創的な振り付けで踊る”魂のダンス”シーンも圧巻だ。そして、声を失い、ろうあ者の女性たちとの出会い魂の触れ合いをするドラマ、そして彼女たちがテロで肉親を失卯などの体験をしており「暗黒の10年}「テロルの10年」と呼ばれる政府軍とイスラム主義の反政府軍の内戦(1991年~2002年)が残した傷跡も描かれるなど、様々な要素が詰まった力強くエモーショナル作品になっている。
(2023年7月21日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー)