「アウシュヴィッツの生還者」ナチスの強制収容所から生還したボクサーの数奇な運命

(2023年8月2日17:15)

「アウシュヴィッツの生還者」ナチスの強制収容所から生還したボクサーの数奇な運命
「アウシュヴィッツの生還者」ポスターヴィジュアル

ナチス・ドイツのアウシュヴィッツ強制収容所から生還して、米国に渡りプロボクサーとして活躍した実在のハリー・ハフトの数奇な半生を描いたヒューマンドラマ。ハリーの息子が父親の半生をつづった小説を映画化した作品。
主人公のハリーを「ダヴィンチ・コード」シリーズの第3作「インフェルノ」の敵役の演技を高く評価されたベン・フォスターが演じている。ハリーに想いを寄せるミリアムに「ファントム・スレッド」(2018年)のヴィッキー・クリープス、そしてビリー・マグヌッセン ピーター・サースガード ダル・ズーゾフスキー ジョン・レグイザモ ダニー・デヴィートが脇を固めている。
監督は、「レインマン」(1989年)でアカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞(ダスティン・ホフマン)、ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞。「ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ」(1997年)でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したバリー・レヴィンソン。音楽は「レインマン」と「DUNE/デューン砂の惑星」(2021年)でアカデミー賞を受賞したハンス・ジマーが担当した。

「アウシュヴィッツの生還者」ナチスの強制収容所から生還したボクサーの数奇な運命

監督:バリー・レヴィンソン( 『 レインマン 』『 グッドモーニング,ベトナム 』)
出演:ベン・フォスター ヴィッキー・クリープス ビリー・マグヌッセン ピーター・サースガード ダル・ズーゾフスキー ジョン・レグイザモ ダニー・デヴィート
2021年/カナダ・ハンガリー・アメリカ/英語・ドイツ語・イディッシュ語/129分/G/原題:The Survivor/字幕翻訳:大西公子/映倫区分:G
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
公式サイト:https://sv-movie.jp
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「アウシュヴィッツの生還者」ナチスの強制収容所から生還したボクサーの数奇な運命

■ストーリー

第2次世界大戦下、ある日ハリー・ハフト(ベン・フォスター)は、恋人のレア(ダル・ズーゾフスキー)と道を歩いていたが、ドイツ・ナチスの兵隊を乗せたトラックにレアがふざけて石を投げたことで兵隊につかまり連れ去られてしまう。そして時は流れ、1949年。ナチスのアウシュヴィッツ強制収容所から生還したハリーは、アメリカに渡り「ポーランドが誇るアウシュヴィッツの生還者」を宣伝文句にしてボクサーとして活躍していた。だが、ハリーの目的は、は生き別れになった初恋の女性レアを探し出すことだった。
ハリーは、レアが新聞を読むかもしれないと思い、勝ち目のないロッキー・マルシアーノとの試合に挑戦する。さらには記者(ピーター・サースガード)に、アウシュビッツでの過酷な体験を話す。ハリーはナチスの中尉に喧嘩が強いことを見込まれて、ナチスが主催する賭けボクシングで同胞のユダヤ人と闘って勝ち続け、中尉をもうけさせたが、負けた対戦相手はその場で射殺されていった。その残酷なが報じられると、ハリーは裏切り者と非難されるなど有名になるが、レは見つからなかった。彼女は死んだと確信し、ハリーは引退して14年が過ぎる。ハリーは、親身になって世話をしてくれたミリアム(ヴィッキー・クリープス)と結婚して2人の子供をもうけ、新たな人生を歩んでいたが、レアが生きているという知らせが届く。

「アウシュヴィッツの生還者」ナチスの強制収容所から生還したボクサーの数奇な運命
「アウシュヴィッツの生還者」ナチスの強制収容所から生還したボクサーの数奇な運命

■見どころ

実在のサバイバー、ハリー・ハフトの息子が書いた実話の小説を原作にしていて、リアルで、ハリーがたどった数奇なドラマ、特に「自分が生き延びた理由は、ナチスが主催する掛けボクシングで、同胞のユダヤ人と戦って勝ち続けたからだ」と告白。その生死をかけたユダヤ人同士の死闘が描かれ、それを強制するナチスのユダヤ人迫害の残虐性・非人道性が改めて浮き彫りにされる。それと同時に、ハリーが生き別れになった恋人のレアを探し続け、そのためにリングに上がるという、恋人への強い想いを絡めて描いているところが、これまでのアウシュヴィッツ映画にはなかったストーリーで見どころになっていて、ハリーとレアにどんなドラマが待ち受けるのか目が離せなくなる。第2次大戦下、終戦、そして1960年代の3つの時代にまたがり、収容所の地獄や、ボクサーとして活躍。それでもファイト中にフラッシュバックする収容所の死闘。新たな伴侶を得ても初恋の女性への想いを胸に秘めるハリーをベン・フォスターが熱演。そして訪れる深い癒しや希望がエモーショナルに抒情的に描かれている。
2023年8月11日(金・祝)新宿武蔵野館ほか公開