「インスペクション ここで生きる」監督コメントなど特典映像解禁

(2023年8月7日9:45)

「インスペクション ここで生きる」監督コメントなど特典映像解禁
「インスペクション ここで生きる」主人公エリス・フレンチ役のジェレミー・ポープ

映画「インスペクション ここで生きる」(8月4日公開)の監督やキャストが同作について語るフィーチャレット映像(特典映像)がこのほど解禁になった。監督自身の体験を描いて世界で注目された同作のエッセンスが明らかにされた。
,br> 同作は、アカデミー賞作品賞を受賞した「ムーンライト」や「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」など、革新的な作品を次々と送り出してきた映画会社A24の注目作で、ある新鋭監督の半生を描いた実話だった――。 イラク戦争が長期化する2005年のアメリカ。ゲイであることで母に捨てられ、生きるためにすがるような想いで海兵隊に志願した青年。しかし、彼を待ち受けていたのは、軍という閉鎖社会に吹き荒れる差別と憎悪の嵐だった。

海兵隊に在職中だった20代で初めてカメラを手にし、そこから映像記録担当としてキャリアを始めたエレガンス・ブラットン監督の長編デビュー作で、自身の体験に基づく実話という。

主人公のエリス・フレンチを演じるのは、俳優、そして歌手としても活動し、2019年のトニー賞では別々のパフォーマンスで 2つの部門(演劇主演男優賞/ミュージカル助演男優賞)にノミネートされるという、史上6人目の快挙を成し遂げたジェレミー・ポープ。本作では第80回ゴールデングローブ賞で主演男優賞(映画・ドラマ部門)にノミネートされたほか、世界各国で高い評価を受けた。また、音楽は「21世紀の最重要バンド」と評されるアニマル・コレクティヴが担当。逆境に屈せず前を向く主人公フレンチの姿をエモーショナルに彩っている。

このほど、並々ならぬ想いで自身の人生を映画化した監督と、その覚悟に共鳴した出演者たちの声をおさめたフィーチャレット映像が解禁になった。

ゲイであることで母に捨てられ、16歳のときにホームレスとなったエレガンス・ブラットン監督は、その後10年にも渡って路上生活を余儀なくされる。保守的なクリスチャンであり、黒人女性という社会的に弱い立場にありながらシングルマザーとしてひとり息子を育て上げた母親にとって、息子がゲイであるということは容易に受け入れられるものではなかったのだが、それは少年にとってあまりに辛い出来事だったといえる。それからというもの、母親とはほとんどコンタクトを取ることはなかったというが監督は、決して彼女との関係を諦めなかった。「僕のことを避けられないように映画監督となった」そう語るほど、最愛の母への想いは彼の創作活動において切っても切り離せないものとなる。やがてそれは「自分の人生を見せることで人々へ勇気をもたらしたい」という想いへと昇華されていく――。

「インスペクション ここで生きる」監督コメントなど特典映像解禁

「母親に認めてもらいたい一人の少年として監督は作品にリアルをもたらした」「社会から排除された人々の苦しみを見事にとらえている、彼は天才だと思った」。そう語るのは、母親役を演じたガブリエル・ユニオンと、海兵隊のブートキャンプにおいて最も苛酷なシゴキを与えるロウズ教官役を演じたボキーム・ウッドバイン。
実生活でトランスジェンダーの娘を持ち、普段からクィア・コミュニティを理解しサポートしているガブリエルは、役柄と自身のセクシュアリティに対する価値観がかけ離れていることで実ははじめ出演を断ったが、監督の熱意に心を動かされオファーを承諾したという。

そして、監督の想いに一番共鳴したのが、監督自身を投影した分身ともいえる主人公・フレンチを演じたジェレミー・ポープだ。俳優・歌手として活躍しているジェレミーは自身がゲイであることを公言しており、同じ黒人のクィアとして経験してきた様々な事柄を通して、自然と監督との共通点を見出すことができたという。

「同じ黒人でクィアのアーティストとして、監督を守ることが僕の使命だと感じた」と力強く語るジェレミーは、「監督は身を切る覚悟で挑んでいる、世の人々のために」と続ける。別のインタビューでは、「監督は観客にすべてをさらけ出し、数々の傷を負いながらも勝利をつかんだ体験を語っている。観客には僕を通して監督を知ってほしいと思った。彼とはいつも、優しさがこの世の中にどれだけ大切かを話しているんだ。取り残されたコミュニティの人々や不十分だと言われ続けてきた人々に共感してもらえることを願うよ。彼らにだって可能性はあるとこの作品は示しているんだ」とも答えており、監督へ全幅の信頼を置いていたことが感じられる。

「インスペクション ここで生きる」監督コメントなど特典映像解禁

黒人でクィアであることで社会からのけ者にされ、「透明だと思っていた」監督が自身を癒すために製作を始めた本作は、いつしか自身と似たように辛い経験をしている人に慰めとインスピレーションを与えられるようにと世界中の人に届けられ、主人公のフレンチが厳しい訓練や差別にさらされながらも自分自身であること、そして他者と向き合うことを諦めない姿を通して前向きなメッセージを投げかける。そんな、監督の熱意と覚悟に心動かされたスタッフ・キャストたちが生んだ「希望の物語」になっている。

【STORY】
ゲイであることで母に捨てられ、16歳から10年間ホームレス生活を送っていた青年・フレンチ(ジェレミー・ポープ)。どこにも居場所を許されず、自らの存在意義を追い求める彼は、生きるためのたったひとつの選択肢と信じて海兵隊への入隊を志願する。だが、訓練初日から教官の過酷なしごきに遭い、さらにゲイであることが周囲に知れ渡るや否や激しい差別にさらされてしまう…。理不尽な日々に幾度も心が折れそうになりながらもその都度自らを奮い立たせ、毅然と暴力と憎悪に立ち向かうフレンチ。孤立を恐れず、同時に決して他者を見限らない彼の信念は、徐々に周囲の意識を変えていく。

【クレジット】
監督・脚本:エレガンス・ブラットン(初長編監督作品)
出演:ジェレミー・ポープ、ガブリエル・ユニオン、ラウル・カスティーヨ、マコール・ロンバルディ、アーロン・ドミンゲス、ボキーム・ウッドバイン
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
2022年/アメリカ/カラー/シネマスコープ/5.1ch/95分/R15+/原題:THE INSPECTION 日本語字幕:松浦美奈
公式サイト:happinet-phantom.com/inspection/ 公式Twitter:@inspection_jp
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(8月4日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国公開中)