ウィリアム・フリードキン監督死去 87歳 「フレンチ・コネクション」「エクソシスト」など

(2023年8月9日11:45)

ウィリアム・フリードキン監督死去 87歳 「フレンチ・コネクション」「エクソシスト」など
ウィリアム・フリードキン監督(フェイスブックから)

米映画監督ウィリアム・フリードキン氏が7日(現地時間)、肺炎と心不全のためロサンゼルスの自宅で死去した。87歳だった。米メディアが報じた。アカデミー賞作品賞・監督賞などを受賞した「フレンチ・コネクション」や「エクソシスト」など数多くのヒット作で知られる。

1935年8月29日生まれ。米イリノイ州シカゴ出身。両親はウクライナからのユダヤ人移民。1967年、「ソニーとシェールのグッド・タイムズ」で劇場映画の監督としてデビュー。1970年、「真夜中のパーティ」で注目される。

1971年、フランスから密輸された麻薬40キロが押収された実在の事件をモデルに、ジーン・ハックマン演じる刑事が麻薬組織の幹部を追って車で足でNYの街を疾走する「フレンチ・コネクション」でアカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞(ハックマン)など5部門で受賞。興行的にも成功して続編「フレンチ・コネクション2」(1975年)が製作された。タイトルの「フレンチコネクション」はトルコからフランスを経由して米国に輸出されていたヘロインの密売ルートとその組織を指す。

1973年には、リンダ・ブレア演じる悪魔にとりつかれた少女と悪魔祓いをする牧師の死闘を描いたホラー映画「エクソシスト」は、少女の首が360度回るシーンなどのショッキングなシーンも相まって大ヒットし、再びアカデミー賞にノミネートされた。

また、アル・パチーノ演じるNY市警の刑事が、ゲイの連続殺人事件の捜査のためにゲイになりすまして、黒レザー系のSMゲイのクラブに潜入するサスペンス映画「クルージング」(1980年)では、当時のNYのハードゲイ・クラブの音楽や実態が描かれ、また刑事がゲイの世界で葛藤ながらしながら変容してく姿を描いて鮮烈な印象を残した。タイトルのクルージングはゲイ用語で男を漁る行為を指す。

当時フリードキン監督が映画のキャンペーンで来日した時に明かしていたが、「フレンチ・コネクション」と「クルージング」はNY市警に麻薬課と殺人課に知人がいて、2人の刑事から聞いた話をもとにしたという。それだけに細部にわたってリアルで、当時のNYの麻薬事情、ゲイクラブの実態などが斬新なストーリーに絡み合い観客を魅了した。

そのほかにも「恐怖の報酬」(1977年)、「L.A.大走査線/狼たちの街」(1985年)など多数の作品がある。2013年委はベネチア国際映画祭で栄誉金獅子賞を受賞した。
私生活では1977年にフランスの女優ジャンヌ・モローと結婚したが90年委離婚。1982年にイギリスの女優レスリー=アン・ダウンと再婚し85年に離婚。ジャ^なリストのケリー・ランジと87年に結婚して90年に離婚。91年に女優のシェリー・ランシングと4度目の結婚をしている。

「スター・ウォーズ」シリーズなどで知られるマーク・ハミルはフリード金監督の写真を自身のインスタグラムに投稿して「映画界の巨匠がこの世を去った。彼の遺産は永遠に続くだろう。ありがとう、フリードキン」と追悼した。

アカデミー協会は公式インスタグラムで、フリードキン監督が「フレンチ・コネクション」で第44回アカデミー賞の監督賞を受賞し、スピーチでハックマンなどに感謝する動画を投稿して、「ウィリアム・フリードキンは第44回アカデミー賞で『フレンチ・コネクション』の最優秀監督オスカーを受賞。 『エクソシスト』で第46回アカデミー賞の監督部門で新たなノミネートを獲得した」と追悼した。