「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」タラ・ウッド監督のオフィシャルインタビュー公開

(2023年8月11日10:45)

「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」タラ・ウッド監督のオフィシャルインタビュー公開
「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」ポスタービジュアル

ドキュメンタリー「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」(11日公開)のタラ・ウッド監督が同作について語ったオフィシャルインタビューが公開になった。「パルプフィクション」「キル・ビル」など数多くの個性的な作品で知られる奇才タランティーノ監督の人物像や知られざる製作エピソードなどを出演俳優らが明かしている。

 1992年、監督デビュー作「レザボア・ドッグス」で、カンヌ国際映画祭に殴り込みをかけ、まさに一夜で時の人となったタランティーノ。その後も新作を発表するたびに世界中の映画ファンを熱狂させ、「タランティーノ映画」と呼ばれる唯一無二のジャンルを打ち立てた。いったいどうやって彼は、奇想天外な物語を次々と生み出し、観たこともない映像を作り出し続けるのか?そんな疑問に答えるため、謎めいたタランティーノの頭の中をぶった斬るというドキュメンタリー映画が完成した。

  タランティーノの逸話と秘話をタブーなしで暴露するのは、監督第1作目から8作目の「ヘイトフル・エイト」までに出演した俳優たちやプロデューサーやスタッフたち。監督は、「6才のボクが、大人になるまで。」のリチャード・リンクレイター監督のドキュメンタリー映画でも高く評価されたタラ・ウッド。かねてより「長編映画を10本撮ったら、映画監督を引退する」と公言しているタランティーノ。近く完成するだろう最後の1本の前に特別に用意された、発見と興奮と感動が渦巻く異色のドキュメントになっている。 

「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」タラ・ウッド監督のオフィシャルインタビュー公開
タランティーノ監督(右から2人目)とティム・ロス(中央)、マイケル・マドセン(右端)ら出演俳優たち

前作でリチャード・リンクレイター監督のドキュメンタリー映画を撮っていたタラ・ウッド監督。今回、なぜタランティーノのドキュメンタリー映画を撮ることになったのかについて「リンクレイターのドキュメンタリーを撮っていた際、タランティーノについての話題が多く上がり、それ(タランティーノを次の題材とすること)が自然な流れになったという感じです」と、タランティーノの友人であるリンクレイターから話を聞き好奇心を掻き立てられたのがきっかけだと答えた。

さらに、本人が出てこない異色のドキュメンタリー映画となった本作の手法について、「他のドキュメンタリーとは違うのは、他の人たちを通してその人物のことを知るということです。私はその方が面白いと思っています。映画遍歴にフォーカスしているということ、そして、暴露話を取り上げないということ、彼はそれが気に入ったようです。以前にもドキュメンタリーを撮りたいとタランティーノにアプローチした人たちはいますが、彼は決してOKしませんでした」と、タランティーノ自身もこの手法を気に入っていると明かした。

作品を通じて「タランティーノは、人間そのものや、人間のあり方を研究することが大好きなのです」と改めて彼の魅力に気付いたといい、「彼が誰よりも優れている点があるとすれば、それは映画製作のあらゆる側面に関する知識を持っているところだと思います」と分析した。

「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」タラ・ウッド監督のオフィシャルインタビュー公開
「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」のオリジナルステッカー

そしてこのほど、入場者プレゼントの配布実施が決定し、本編中に出てくる過去8作品のアイコンがあしらわれたオリジナルステッカーを全国の劇場にて先着順で配布することが決まった。

【ストーリーと見どころ】
「ジャンゴ 繋がれざる者」(12年)、「ヘイトフル・エイト」(15年)のプロデューサーを務めたステイシー・シェアは、「彼は生来の映画監督。映画が彼の情熱よ。映画を通してあらゆる人間の感情とつながる。彼が人間としてどんなものに惹かれているかが分かる。アメリカの人種問題(「ジャンゴ 繋がれざる者」)や、とロマンスとは何か(「ジャッキー・ブラウン」97年)、責任と名誉(「キル・ビル」03年、「キル・ビルVol.2,」04年)、裏切りや忠誠(「レザボア・ドッグス」92年)、正しい行いをしようとする者たち(「イングロリアス・バスターズ」09年)と語る。そして、名前が出たそれぞれの映画のシーンが挿入されていくというスタイルでタランティーノ映画の魅力や真髄、製作エピソードなどが浮き彫りにされていく。

そして「僕は映画を信仰する。全身全霊で映画製作にとり組む。命を捧げてもいい」というタランティーの言葉が紹介される。

「死霊のはらわたⅡ」の脚本を書いたスコット・スピーゲルは、友達から聞いた話として、「当時はビデオの箱詰めをしていた。(ビデオショップの店員だった)実際に会ってみるとものすごいオタクだった。でも彼には才能があった。僕の家に転がり込み車もなかった。が「映画業界で働きたいから脚本を書いてみる」「ペンと紙さえあればいい」と言っていたことが明かされる。

「ホステル」の監督・脚本のイーライ・ロスは、なぜパソコンで書かないのかと聞くと「ペンは神の言葉を受け取るためのアンテナだ」といわれたという。「赤と黒のペンで黄色いノートに書いていく。5品後には驚くほどの力作が出来上がっている」。

前出のステイシー・シェアは「小説を書いているようなものよ。監督するときにそれを脚色している。いろんなことが起きる。ジェットコースターみたい。怖かったり、ほっとしたり、ときめきも感じる。彼はロマンチクな人なの。『トゥルー・ロマンス』ではアラバマというお姫様を救う。それはブルームヒルダを救うジャンゴに通じる」という。

スコット・スピーゲルは、「『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(94年)を読んでこの脚本家はすごいと思った。次に『トゥルー・ロマンス』を呼んでハリウッドに異変が起きたと思った」という。

タランティーノの脚本家・映画監督デビュー作となった「レザボア・ドッグス」(92年)に出演したマイケル・マドセンは「あんな脚本は初めてだった。登場人物は色で呼び合う。ミスター・ブラウン、ホワイト、ブロンド、ブルー、オレンジ、ピンク…。エージェントに言われた『最後はみんなで殺し合うの』、『低予算の作品でクエンティンという無名の監督よ』」と振り返った。「ハーヴェイ(ワィンスタイン、同作のプロデューサー。後に女優らへの性加害で摘発され実刑判決を受けて服役中)ならいいが、ティム・ロスには(映画の中で)殺されたくない。俺は彼を知らなかった」という。「最終的にはティムと抱き合った。(銃撃で)お互い血まみれだ。シロップでできた偽物で、乾くとものすごくべとべとする。そんな状態で、俺たちはがっちりと抱き合った。するとくっついて離れられないんだ」と笑った。マドセンはその後「キル・ビル」(03年)、「キル・ビルVol.2」(04年)、「ヘイトフル・エイト」(15年)、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(19年)に出演している。

ティム・ロスは「クエンティンとハーヴェイに脚本を読めといわれたが断った。オーディションは苦手だった。あまりにも圧が強いのでクエンティンと酒を飲みに行った.。そして全員のセリフを何度も読まされた」という。マドセンとの銃撃シーンが挿入されて「僕は地面に倒れているが、血の量がハンパじゃなかった」と振り返る。俳優も驚くほどの血しぶきが飛び散る壮絶な銃が気シーンもタランティーの作品の新骨頂だ。
,br> 「『レザボア・ドッグス』をジャーナリストや評論家が称賛したのは当然だと思う。非凡な才能を持つ監督のデビュー作だもの。そしてあの作品は90年㈹の独立系映画でフランスのヌーベルバーグに相当する映画だと思う。ルールはお構いなし、スリリングだった。」(前出のステイシー・シェア)
同作は、ロサンゼルスを拠点とする裏社会の大物が宝石強盗を計画し、6人の実行犯を集め、素性を隠すために色の名前のコードネームで呼び合い、実行するが計画通りにいかず、互いに父子感を抱きながら拳銃を突きつけあうという内容。ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセンらのキャストでタランティ―ノお主点している。同作はカンヌ国際映画祭に特別招待作品として出品され注目され、一躍国際的なスター監督になった。

さらに、2作目でカンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)、アカデミー賞に7部門ノミネートされて脚本賞を受賞した、ジョン・トラボルタ主演の「パルプフィクション」(94年)、「ジャッキー・ブラウン」(97年)、ユマ・サーマンが日本刀で戦う「キル・ビルVol.1」(03年)、「キル・ビルVol.2」(04年)から「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(19年)までのタランティーノ作品について、ハイライトシーンを挿入しながら、出演者らが各作品の魅力や知られざる裏話や、「全身全霊で映画製作にとり組む」タランティーノの素顔などについて、様々な角度から解説し語りつくし、タランテーノ映画と人物を知る決定版であり、同時に映画賛歌にもなっている見どころ満載のドキュメント映画に仕上がっている。

【クレジット】
監督・脚本:タラ・ウッド(『21 Years: Richard Linklater』)
出演:ゾーイ・ベル/ブルース・ダーン/ロバート・フォスター/ジェイミー・フォックス/サミュエル・L・ジャクソン/ジェニファー・ジェイソン・リー/ダイアン・クルーガー/ルーシー・リュー/マイケル・マドセン/イーライ・ロス/ティム・ロス/カート・ラッセル/クリストフ・ヴァルツ
2019年/アメリカ/英語/101分/カラー/ビスタ/5.1ch/原題: QT8: THE FIRST EIGHT/R15+/日本語字幕: 高橋彩
配給:ショウゲート 公式HP:https://qt-movie.jp 公式SNS:@showgate_youga
© 2019 Wood Entertainment
8月11日(金・祝)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国ロードショー