-
映画
「復讐の記憶」記憶を失いつつある80歳男性の壮絶な復讐劇
（2023年8月16日19:00）
韓国で公開初日の興行収入No.1を記録したサスペンスアクション。ドラマで活躍する名優イ・ソンミンと人気俳優ナム・ジュヒョクが初共演し、今年3月開催の大阪アジアン映画祭でも話題となった『Remember』（原題：리멤버）が、邦題を『復讐の記憶』として9月1日より公開される。
過去に家族全員を失い、家族を死に至らしめた者たちへの復讐を心に誓い生きてきた80歳の主人公が、記憶が失われつつあるなか、親しい青年を巻き込み次々に復讐を遂げてゆくサスペンスアクション。
主人公のピルジュを『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』で大鐘賞映画祭・主演男優賞を受賞した名優イ・ソンミンが熱演。ピルジュの復讐計画に翻弄されていく青年インギュを『安市城 グレート・バトル』で青龍映画賞、韓国映画評論家協会賞など多くの新人男優賞を受賞し、韓国版『ジョゼと虎と魚たち』やドラマ「二十五、二十一」（Netflix）など話題作への出演が相次ぐ注目の俳優ナム・ジュヒョクが演じている。
監督は、ファン・ジョンミン、カン・ドンウォン共演の『華麗なるリベンジ』のイ・イルヒョン。〝異色のバディ〟による一風変わった復讐劇を誕生させた。
【クレジット】
2022年／韓国／128分／カラー／スコープサイズ／5.1ch／原題： 리멤버
監督： イ・イルヒョン『華麗なるリベンジ』
キャスト： イ・ソンミン、ナム・ジュヒョク、チョン・マンシク、ユン・ジェムン、ソン・ヨンチャン
配給：ハーク （C）2022 ACEMAKER MOVIEWORKS ＆ MOONLIGHT FILM ALL RIGHTS RESERVED.
9月1日（金）よりシネマート新宿、シネマート心斎橋他にて全国順次公開
■ストーリー
80代の老人ピルジュ（イ・ソンミン）は、過去に家族全員を理不尽な出来事で亡くして以来、家族を死に至らしめた裏切り者への復讐を心に誓い生きてきた。認知症で自分の記憶が長くは続かないと悟った彼は、処刑すべき5人の名をタトゥーにして指に彫り、隠し持っていた拳銃を携え、60年前から計画していた復讐殺人を開始する。同じレストランで働いていた親しい20代の青年インギュ（ナム・ジュヒョク）を運転手として雇うが、何も知らないインギュは犯行現場近くの監視カメラに映り込んだことで第一容疑者にされてしまう。記憶を完全に失う前に復讐を成し遂げたいピルジュと、ピルジュに巻き込まれ同行するインギュ。二人は警察に追われながら復讐計画の実行に身を投じ、やがてピルジュが標的にしている5人の男たちの正体と彼らのつながりが明らかになり衝撃の展開になっていくが、捜査網が2人に迫ってくる。
■みどころ
韓国の名優イ・ソンミン（54）が、特殊メイクで80代の老人ピルジュに変貌。飲食店の従業員として、サンタクロースの扮装をして客の誕生日を祝うなど愛想を振りまき、同僚の好青年インギュとホラー映画『フレディVSジェイソン』の登場人物から名前を取ってジェイソン、フレディと呼びあい、ほかの従業員からも親しまれていた。そんな穏やかな気のいい老人から、眼光鋭く非情に銃を発砲する復讐者になっていく主人公を圧倒的な存在感で演じている。そしてインギュ役のナム・ジュヒョクは、ピルジュの復讐計画に翻弄されていくなかで、別人と化して殺人を繰り返すピルジュに激しく動揺しながらも、ピルジュの復讐の意図を知るうちに次第に協力していく青年を好演している。
記憶が薄れゆく中で、なぜ5人の男に復讐を遂げなければならなかったのか。ピルジュの家族を死に追いやった者たちの正体が明らかになるとともに、日本の植民地時代に起きた家族の死という、日韓の複雑な歴史の闇も描いているところもの映画の見どころになっている。緊迫の復讐劇や真っ赤なポルシェで2人が爆走するスリリングなカーアクションなどのエンターテインメントに、シリアスな歴史問題もからめながら異色の作品に仕上がっている。