10月公開の注目邦画 芸術の秋に作家性の高い4作品

(2023年8月30日22:15)

10月公開の注目邦画 芸術の秋に作家性の高い4作品
注目の4作品(時計回りに、左上から「春画先生」「アンダーカレント」「月」「白鍵と黒鍵の間に」

10 月公開の邦画の中から、偏愛コメディ、ヒューマンドラマ、奇想天外エンターテイメント、実際の事件から着想などバラエティに富んだ世界観とジャンルで、それぞれ強固な作家性、個性が光る 4 本をピックアップーー。

4作品は、塩田明彦監督、今泉力哉監督、冨永昌敬監督、石井裕也監督など、今の日本映画の最前線で活躍する映画監督 4 名による最新作。

企画、撮影、そして公開まで、様々なスケジュール、キャストで製作された 4 作品が、10 月にこぞって公開される。その世界観、ジャンルもバラエティに富んでいることにも注目。『春画先生』は春画の世界にのめり込んでゆく人々を描いた偏愛コメディ。『アンダーカレント』は人気漫画を原作とした究極のヒューマンドラマ。『白鍵と黒鍵の間に』はジャズピアニストを主人公にした奇想天外なエンターテイメント。『月』は実際の事件より着想を得た人間ドラマなど、さまざま。4作品に共有しているのは、その 4 名の映画監督の強固な作家性、個性が光る新作であること。邦画ファンに限らず、いつもより少しとんがった、骨太なものを観たい映画ファンには必見と言えそうだ。

■「春画先生」(塩田明彦監督)

10月公開の注目邦画 芸術の秋に作家性の高い4作品

“笑い絵”とも言われる春画の奥深い魅力を、真面目に説く変わり者の春画研究者と、しっかり者の弟子という型破りな師弟コンビが繰り広げる春画愛を描いた、異色の偏愛コメディ。春画先生を内野聖陽が演じる。映倫審査で区分【R15+】として指定を受け、商業映画として全国公開される作品としては、日本映画史上初、無修正での浮世絵春画描写が実現した。
監督は『カナリア』、『どろろ』、『抱きしめたい―真実の物語』などの塩田明彦。
出演:内野聖陽、北香那、柄本佑、白川和子、安達祐実ほか
配給:ハピネットファントム・スタジオ
Ⓒ2023「春画先生」製作委員会
10 月 13 日(金)全国公開
https://happinet-phantom.com/shunga-movie/

■「アンダーカレント」(今泉力哉監督)

10月公開の注目邦画 芸術の秋に作家性の高い4作品

豊田徹也の伝説的人気コミック『アンダーカレント』を映画化。夫が失踪した銭湯の女主人と、彼女を静かに見守る男の奇妙な共同生活を描く。誰しもが内に秘める<心の奥底(アンダーカレント)>を繊細に映し出していく。
監督は『愛がなんだ』、『かそけきサンカヨウ』、『窓辺にて』などの今泉力哉。
出演:真木よう子、井浦新、リリー・フランキー、永山瑛太、江口のりこ他
©豊田徹也/講談社 ©2023「アンダーカレント」製作委員会
10 月 6 日(金)全国公開
undercurrent-movie.com

■「白鍵と黒鍵の間に」(冨永昌敬監督)

10月公開の注目邦画 芸術の秋に作家性の高い4作品

ジャズミュージシャン南博の回想録『白鍵と黒鍵の間に-ジャズピアニスト・エレ ジー銀座編-』を映画化。『ちょっと思い出しただけ』から『シン・仮面ライダー』 まで、いまや日本映画界に欠かせない実力派スターとして活躍する池松壮亮が、一人二役で2人のジャズピアニストに扮した奇想天外なエンターテイメント。
監督は『パビリオン山椒魚』、『パンドラの匣 』、『素敵なダイナマイトスキャンダル』などの冨永昌敬。
出演:池松壮亮、仲里依紗、森田剛、高橋和也、クリスタル・ケイ、松尾貴史、松村契、川瀬陽太ほか
Ⓒ2023 南博/小学館/白鍵と黒鍵の間に」製作委員会
10 月 6 日(金)全国公開
hakkentokokken.com

■「月」(石井裕也監督)

10月公開の注目邦画 芸術の秋に作家性の高い4作品

実際の障害者殺傷事件に着想を得て、2017 年に発表された辺見庸の同名小説『月』を映画化。宮沢りえ演じる作家が森の中深くにある障害者施設で働くうちに、特異でゆがんだ想いに取りつかれていく施設で働く若い男による障害者殺傷事件に遭遇する。障害者の実情を赤裸々に描き、人間の尊厳とは何かを鋭く問う衝撃的な問題作。
監督は『舟を編む』、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』、『茜色に焼かれる』、『アジアの天使』などの石井裕也。 出演:宮沢りえ、オオダギリジョー、磯村勇斗、二階堂ふみ他
Ⓒ2023『月』製作委員会
10 月 13 日(金)全国公開
https://www.tsuki-cinema.com/