「ロスト・キング 500年越しの運命」 リチャード三世の遺骨を発掘した歴史愛好家の主婦の執念

(2023年9月23日17:45)

「ロスト・キング 500年越しの運命」 リチャード三世の遺骨を発掘した歴史愛好家の主婦の執念
「ロスト・キング 500年越しの運命」のサリー・ホーキンス

500年もの間行方不明となっていた英国王リチャード三世の遺骨の発掘を主導して英王室の歴史を変える立役者となった歴史愛好家の主婦の実話の映画化。その主婦フリッパ・ラングレーさんをイギリス出身で「ハッピー・ゴー・ラッキー」(08)で第58回ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)や第56回ゴールデングローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。ウディ・アレン監督の「ブルージャスミン」(13)でアカデミー賞助演女優賞にノミネート、「シェイプ・オブ・ウォーター」(17)でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなどイギリスを代表する女優サリー・ホーキンスが演じている。
監督はイギリス出身のスティーヴン・フリアーズ。BBCのドラマを数多く手がけ、映画「マイ・ビューティフル・ランドレッド」(85)で脚光を浴び、ハリウッド進出作「危険な関係」(88)でフランスの第15回セザール賞外国映画賞を受賞、アカデミー賞でも作品賞など7部門にノミネート。「ハイロー・カントリー」(98)では第49回ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞するなど高い評価を受けた。

【CREDIT】
監督:スティーヴン・フリアーズ(『ヴィクトリア女王 最期の秘密』、『あなたを抱きしめる日まで』、『クィーン』)
脚本:スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ(『あなたを抱きしめる日まで』)
出演:サリー・ホーキンス、スティーヴ・クーガン、ハリー・ロイド、マーク・アディ
2022年/イギリス/英語/108分/ビスタ・サイズ/リニアPCM5.1ch/原題:THE LOST KING/日本語字幕:松浦美奈/映倫区分:G
© PATHÉ PRODUCTIONS LIMITED AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2022 ALL RIGHTS RESERVED.
提供:カルチュア・エンタテインメント 配給:カルチュア・パブリッシャーズ 宣伝:FINOR

■ストーリー

フィリッパ・ラングレー(サリー・ホーキンス)は職場で上司に理不尽な評価を受け、別居中で愛人がいる夫ジョン・ラングレー(スティーヴ・クーガン)からは生活費のために仕事を続けるよう促され、2人の息子を育てながら苦悩の日々を過ごしていた。ある日、息子の付き添いでシェイクスピアの「リチャード三世」を観劇したことで、彼女の人生は一変する。冷酷非情で悪名高き王として描かれているリチャード三世も自分と同じように不当な扱いを受けてきたのではないかと疑問を抱いたフィリッパは、リチャード三世の真の姿を探し求めて歴史研究に没頭していく。リチャード三世の幻影(ハリー・ロイド)を見るようになるほど取り付かれるフィリッパは、1948年に死去した後に近くの川に投げ込まれたといわれているリチャード三世の遺骨を探すことに情熱を燃やしていく。

■見どころ

8月25日は、12年前の同日、リチャード三世の名誉挽回に励む「リチャード三世協会」のメンバーに寄付を呼びかけ、発掘資金を集めた末にレスター大学考古学部の協力を得て、発掘作業がスタートすることになった記念すべき日だった。また、2012年8月25日は、リチャードが埋葬された日から527年を迎えた日で、リチャード三世発掘プロジェクトにとって重要な日である「8月25日」を迎えたときに、スティーヴン・フリアーズ監督、サリー・ホーキンス、スティーヴ・クーガンが語るインタビュー映像(上のYouTube)が公開された。
その中で、フィリッパ・ラングレーの夫ジョン役を演じたスティーヴ・クーガンが「シェイクスピアの「リチャード三世」は名作だ。でもチューダー家によるプロパガンダでもある。歴史は勝者によって、記されてきたからね。カットしたけど最後の方にこのようなセリフがあった“どの戦争でも勝利側に戦争犯罪者がいたことがない”」とシェイクスピアの描いてきた物語が必ずしも真実であるわけではないことについて語っている。

ヨーク朝最後の王・リチャード三世(1452年~1485年)は、シェイクスピアの史劇「リチャード三世」(1592年~1593年)でヨーク朝に代わる新たなテューダー朝の敵役として冷酷非情で悪名高い王として描かれ、それが歴史的な事実として伝わってきたといわれるが、 死後に川に投げ込まれて遺体も発見されないままだったという説にも疑問を持ち、遺骨探しに奔走。ついには周囲の関係者を動かして歴史的な快挙を成し遂げるまでのドラマは、まさに「事実は小説より奇なり」を地でいく話で、最後まで目が離せない展開が続く。遺骨発掘の立役者となった歴史愛好家の主婦フィリッパ・ラングレーをイギリスの名女優サリー・ホーキンスが繊細に情熱的に演じて存在感を見せている。 (9月22日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー)