宮沢りえ「どこからか手塚さんがこの初日を見てくれているんじゃないか」 「火の鳥 エデンの花」公開記念舞台挨拶

(2023年11月4日10:45)

宮沢りえ「どこからか手塚さんがこの初日を見てくれているんじゃないか」 「火の鳥 エデンの花」公開記念舞台挨拶
登壇した㊧からイッセー尾形、宮沢りえ、窪塚洋介、吉田帆乃華(3日、東京・新宿区の新宿バルト9で)

STUDIO4°Cが手塚治虫の伝説的な原作「火の鳥」 望郷編を映像化した新作アニメーション映画「火の鳥 エデンの花」の公開記念舞台挨拶が3日、都内で行われ宮沢りえ、窪塚洋介、イッセー尾形、吉田帆乃華が登壇した。

“漫画の神様”と謳われ、今も世界中で敬愛される巨匠・手塚治虫。その代表作にしてライフワークともなった不朽の名作『火の鳥』全 12 編のうち、地球と宇宙の未来を描いた「望郷編」が初のアニメーション映画化された。製作期間7年をかけて入魂のスペクタクル巨編を完成させたのは、アートな映像作品を生み出し続ける STUDIO4°C。地球から遠く離れた辺境の惑星・エデン 17 に降り立った主人公ロミの人生を描く壮大な愛と冒険の物語になっている。
監督は『鉄コン筋クリート』『ムタフカズ』などの作品で独自の作風を発揮してきた稀代のクリエイター、西見祥示郎。手塚原作に大胆な現代的アレンジを施しつつ、アニメーションならではの魅力が横溢する作品世界を構築した。さらに、キャラクターデザイン・総作画監督の西田達三、美術監督の木村真二ほか、STUDIO4°C作品を支えてきた強力なスタッフ陣が集結。人気作曲家・村松崇継による、壮大なスケール感と詩情を併せ持つ音楽にも注目だ。
主人公ロミ役の宮沢りえをはじめ、窪塚洋介、イッセー尾形、吉田帆乃華、浅沼晋太郎、木村良平と、声優陣に豪華な顔ぶれが揃った。

「火の鳥 エデンの花」公開記念舞台挨拶 宮沢りえ、窪塚洋介、イッセー尾形、吉田帆乃華登壇
宮沢りえ

映画上映後、本作の声優陣がステージに登壇すると会場からは万雷の拍手。その様子に晴れやかな顔を見せた宮沢は、くしくも映画の初日となる 11 月 3 日が原作者・手塚治虫の誕生日であることを告げられて「すごい偶然なのか、必然なのか分かりませんが、なんだかすごく嬉しいですね。わたしは映画に出てくる“火の鳥”を手塚さんのように思っていて。どこからか手塚さんがこの初日を見てくれているんじゃないかと思って、すごく嬉しいです」とコメント。するとすかさず天に向かって指差した窪塚の姿に、宮沢も「窪塚さんには見えているようです」とニッコリ。窪塚も「見えました」と続けて、会場を沸かせた。

一方、本作のコム役が声優初挑戦となった子役の吉田は「はじめてのアフレコと舞台あいさつで緊張しています」と語った。この日は彼女が発する初々しいコメントの数々に、すっかり心奪われた様子のキャスト陣。窪塚は「吉田さんは初めての声優のお仕事ということですが、僕もそうだったなと。舞台上でそれを聞き衝撃を受けて、若干テンパっております」と話し、会場を再び沸かせた。宮沢も「録音は個々で行われて、わたしは最後の方だったので、皆さんの声を聞きながら録音ができたんですけど、その時にコムちゃんのお声も聞いていたので。今はとてもミーハーな気持ちで『コムちゃんだ!』と思っています」と笑顔を見せた。窪塚も「僕も思いました。本当にかわいくて、とっても上手で。すごいなと思います」と感心した様子。
それを聞いた吉田は「わたしは声優が初めてだったから、アニメで声を聞いた時はみんな上手だなと思いました」と笑顔を見せた。

本作の主人公・ロミは、時空を越えた激動の人生を送ることになるが、そんなロミの声を担当した宮沢は、「地球を飛び出して、何もない星に行って。そこでゼロから生活する糧を見つけていく。そのエネルギーはすごいなと思いました。本当に生命力にあふれた女性 だなと思いました」と振り返った。
一方、ロミとともに地球を飛び出して辺境の惑星に到着するジョージを演じた窪塚は「ジョージは無計画すぎるだろうと思いましたが、そういうところは割と僕に似ているかも」と笑ってみせると、宮沢が「それでキャスティングされたのかも」と冗談めかしながら、「無計画でもどんどん進んでいけるエネルギーは窪塚さんと重なるところがありましたね」と話した。窪塚は「今の録音したいんで、あとでもう一回言ってもらっていいですか」と宮沢にお願いする一幕も。

一方、宇宙のよろず屋ズダーバンを演じたイッセーは「まわりの人がまっすぐに生きていますから。わたしは人間臭く、いかがわしく、ずる賢く。映画を観て頂いた方から、そんな声が出たらいいかなと思いました」と役づくりについて明かした。
また、火の鳥の生き血を飲むと不老不死でいられるという伝説が原作に描かれていることにちなみ、「老いること」「生きること」という人類にとって永遠のテーマにどう向き合っているか? という質問も。イッセーが「生き血は飲みたくないですね。副反応がありそうで」と笑うと、「でも確かに不老は欲しいですけどね。今もペットボトルのふたが開けられなくて。歯で開けることもありますけど、それもしょうがないかなと受け入れるのも、人間のひとつの力だと思います。ただ若返ることに興味はありますんで、火の鳥と一緒に歩んでいきたいと思います。よろぴく」とちゃめっ気たっぷりにコメント。宮沢は「(火の鳥の生き血を)もう飲んでいらっしゃるかもしれません」と付け加え、会場を沸かせた。

一方で、宮沢は「わたしは飲みたくないです」とキッパリ。「もちろん 10 代、20 代の若さあふれる、希望に満ちた時期も楽しかった。でもそこから挫折もあったし、でもそれを乗り越えてきたということもあるので。わたしは 50 になるんですが、その時間が今のわたしに豊かさをもたらせてくれていると思いますし、この宝物のような経験、時間をなくしてしまうのはもったいないと思っています」と語ると、隣にいるイッセーの姿を見て、「こんな素敵な先輩を見ていると、歳を重ねるのはもっと楽しそうだなという感じがしています」と笑顔を見せた。
さらに現在 9 歳の吉田も同じ質問を投げかけられるると、「ちょっと興味はあるけど、赤ちゃんになっちゃうので」といい、会場は大盛り上がりとなった。

最後に宮沢は、「手塚治虫さんがめられた、この本当に大きなメッセージが、時を超えて、すばらしいアニメーションにのって、皆さまの心に大きく響くことを心から願っています。すばらしい映像なので、ぜひ大画面で。いつもの自分の時間からはかけ離れた映画 館という空間で見ていただけたらと心から思っています」と締めくくった。

【STORY】
荒涼たる辺境惑星エデン 17 に1台のロケットが降り立った。わけあって地球から逃亡してきたロミ(声:宮沢りえ)と恋人のジョージ(声:窪塚洋介)は、この星を 2 人の新天地にしようと誓うも、未開の惑星での生活は厳しく、ジョージは井戸掘り中の事故で命を落としてしまい、ロミは一人息子のカインと AI ロボットとともに、孤独なサバイバル生活に送ることに。ロミはカインのために自分の命を少しでも引き延ばすこと決意し、コールドスリープに入る。
だが、機械の故障で 1300 年間も眠り続けることに。ようやく目覚めたロミは、新人類が築いた巨大な町・エデン 17 の女王となる。そんなある日、心優しい少年コム(声:吉田帆乃華)は、宮殿で悲しみに暮れる女王ロミと出会う。ロミの望郷の想いを知ったコムは、一緒に地球に行こうと、無謀な挑戦と知りながら、2 人で広大な宇宙に飛び出していく。旅の途上で、地球人の宇宙飛行士・牧村や宇宙のよろず屋・ズダーバン(声:イッセー尾形)、そして人智を超えた未知の生命体の数々との出会いを重ねながら、故郷の地球を目指す。

【CREDIT】
声の出演:宮沢りえ 窪塚洋介 イッセー尾形 吉田帆乃華 浅沼晋太郎 木村良平
監督/西見祥示郎 音楽/村松崇継 原作/手塚治虫「火の鳥」(望郷編) キャラクターデザイン・総作画監督/西田達三
脚本/真野勝成・木ノ花咲 美術監督/木村真二 演出・CGI 監督/斉藤亜規子 色彩設計/江上柚布子
編集/重村建吾 音響監督/笠松広司 プロデューサー/田中栄子
アニメーション制作/STUDIO4°C 製作/「火の鳥 エデンの花」製作委員会 配給/ハピネットファントム・スタジオ
コピーライト/©Beyond C.
公式サイト:https://happinet-phantom.com/hinotori-eden/ Twitter:@hinotori_eden
11 月 3 日(祝・金)新宿バルト 9 他 全国ロードショー