北野武監督、外国特派員協会で記者会見 最新作「首」のテーマやジャニーズ性加害問題などを語る

(2023年11月15日20:30)

北野武監督、外国特派員協会で記者会見 最新作「首」のテーマやジャニーズ性加害問題などを語る
「首」について語る北野武監督(15日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で=YouTubeチャンネル「日テレNEWS LIVEから)

6年ぶりの最新作「首」が23日に公開される北野武監督が15日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で記者会見して同作について製作エピソードなどを語り、さらにはジャニーズ性加害問題、宝塚女性団員の死亡など芸能界の問題についても言及した。

北野監督は冒頭のあいさつで「初めまして、ジャニー北野川です」と言って笑わせた。外国の記者も出席していることで、司会がこれまでの漫才や映画監督としての活動などの経歴について紹介されたのを受けて、「手を変え品を変えて模索していたという感じで、今日までこうなった。あまり自分の仕事には満足していない」などと振り返り更なる活動に意欲をのぞかせた。

■「首」のテーマ「戦国時代はもっとドロドロした男同士の関係とか裏切りとか、いろんなことが同時に起こってああいう事件になった」

第76回カンヌ国際映画祭の「カンヌ・プレミア」部門に選出され、第36回東京国際映画祭のガラ・セレクションで上映された6年ぶりの最新作「首」について聞かれ、「テーマは信長の本能寺の乱を中心にした物語」といい「NHKの大河ドラマというのは、カッコイイ役者を使って歴史的にきれいごとを並べたような戦国の物語を描くんですが、そういうところで触れないのは、信長と森蘭丸とか、前田利家と信長の関係とか、男同士のホモセクシュアルの関係は日本の大河ドラマなどは描かない」と指摘。「もっと戦国時代はの男色というのは、男同士その人に命を懸けるというような意味での男色であって、信長は子供を22人も作っているわけだから、両刀だけど、性的な関係が違うというのを日本の映画やテレビは描かないんで、戦国時代はもっとドロドロした男同士の関係とか裏切りとか、いろんなことが同時に起こってああいう事件になったというのを30年前に台本を書いたんですけど、それがたまには時代劇を撮ろうということで、撮ってみた結果なんです」と製作のいきさつを明かした。そして「まあまあ試写会の段階ではかなり好評で、非常に喜んでます」と自信をのぞかせた。

監督だけでなく、羽柴秀吉を演じていることについては「監督一本でやりたいとも思っていたが、『たけしさんが出ないと海外に宣伝しずらい』というので」出演も兼ねたという。そして「出るとなると、やりやすいのは秀吉」だという。「昔からタレントを戦国武将になぞらえたような本だよくあって、信長がぼんちのおさむさんだとか、(島田)伸介が明智光秀で、俺がたいてい秀吉なんですよ」と明かした。

狂気の信長を熱演した加瀬亮については「加瀬君のイメージは純朴というか優しい気のいい青年というイメージなんですが、俺の映画出てるときは『アウトレイジ』で凶悪なインテリヤクザをやったり、今度は加瀬君に冒険をしてもらって。信長という狂気だと思うんですが、それをやってもらうについては、まず岐阜弁という実際はどういうのか音声は残っているはずはないけれども、言語学者の人にいろいろ聞いて、こんな言葉をしゃべってたのではないかということで、まずセリフの言い方を完全に頭の中に入れてもらうのと、100メートルの競争のように突っ走ってくれ、2回は撮らなくて、ほとんどの場合ワンテイクで終わらせる、失敗しても続けろと、とにかくアスリートのような芝居をさせたんですけど、見事に応えてくれた」と絶賛した。■次回作は「バブル時代を題材にしたパロディ映画」

さらに次回作についても言及し、「今度作ろうとする映画は、暴力映画におけるお笑いというテーマで今製作に入っている」という。
具体的内容について、「映画ではよくパロディという言葉を使うんですが、この映画はあのパロディだよってお笑いでやる場合、その元がかなり有名な映画で『風と共に去りぬ』とか『ローマの休日』とか大ヒットし映画とか、そういうものから持ってきて、それのパロディというものをよくやるんですが、自分が考えるのは、それだとすごい持ってくる題材の映画は、人した映画でないとパロディにはならないちうことがあって、市場人のはまず半分の時間のギャング映画か暴力映画を撮って、それと同じキャスティングとストーリーでパロディをもう1回、2部で流してみるということを今やっている」と斬新な構想を明かした。「80年代のバブルの時代に、反社会的グループとか芸能界とかそういう人たちが入り乱れていろんなことがある時代なので、今台本を作っている最中」だという。「映画はいろんな可能性があるので、いろんなものを作りながら、ひらめいたことをメモって、いつかそれを実現させようとする努力はしてます」と映画への情熱を語った。

■ジャニーズの性加害問題と宝塚の劇団員死亡問題について語る

司会からジャニーズの性加害問題について聞かれ、「芸能界やジャニーズのタレントとか、垂う人たちと何十年も仕事をやってるんで、いろいろ噂を聞くけれど、自分たちにとっては、そういう世界に行ったら当然あるだろうなとしかその当時考えてなくて」といい、「最近になって大きな問題になっているのが時代の流れかなあと思う」と語った。
そして「日本の芸能界というのは、ほとんど昔、猿回しというのがありましたけど。芸能の仕事というのは奴隷ではないけれど、商品として人間を扱って、それを見せ物としてお金を稼ぐという商売が芸能界だという、昔ながらの慣習というか習慣が残っているんで、自分たちもお笑いの世界に入って、働いた十分の一ももらえない時代があった。日本の芸能界は最近は良くなったけど、昔からひどいもんだとは思っていました」と指摘した。

さらに宝塚歌劇団の劇団員の女性が死亡し、過労状態やいじめ疑惑が取りざたされている問題について聞かれ「お笑いは漫才という形で弟子を取るというか、青空とかいろいろな屋号が付く門下というか、師匠を見つけてその弟子になる。師匠から教わるためにいろいろ仕事をしたり雑役をするんですが、落語も同じような世界で、いまだに落語はそうだと思うんですが、ある時期から学校を作るようになって、師匠と弟子という関係ではなくて生徒としてお金を払って芸を習うという風潮が出てきた」としたうえで、「宝塚みたいな相変わらず独立して、完全に自分たちの世界を守っている世界とは違う。パワハラというのは少しはあるが、前ほどひどくはない。だけども片方で古典芸能、宝塚は古典芸能とは言わないが、そういうところには相変わらず作法とか礼儀やなんかに非常にうるさかったり、自分がいい役をもらうもらえないとかいっぱい残ってる組織もいっぱいある」といい、だが「今の日本はその入れ替え時というか、そろそろなくなりかけて新しい形がエンターテインメントの世界ができつつある」と指摘した。
「映画は助監督と監督の関係とか、照明と下の関係は相変わらず徒弟制度みたいな感じで、怒ったり怒鳴ったりしている世界があるけれども、一方でSNSの世界がこれほどまでに大きくなってくると、とにかくソフトが足りなくて、助監督とかの人の仕事が増えて、人が足りなくなってきたら、パワハラとかあると皆辞めていってしまう。そういう面では映画とかテレビの世界ではややなくなっていると思うが、ある分野ではちゃんと残っている。相変わらず先輩後輩という関係においての室難題とか、そういうのは芸能界だけではなくて、大学とか高校の運動部の中にも必ず出てくる問題問題で、日本は特にそれが激しいんではないかと思う」と指摘した。