「ラ・メゾン 小説家と娼婦」主演女優アナ・ジラルドとアニッサ・ボンヌフォン監督が記者会見

(2023年11月22日22:00)

「ラ・メゾン 小説家と娼婦」主演女優アナ・ジラルドとアニッサ・ボンヌフォン監督が記者会見
アナ・ジラルド㊨とアニッサ・ボンヌフォン監督(22日、東京・新宿区のHOTEL GROOVE SHINJJUKUで)

身分を隠して高級娼館に潜入した作家エマ・ベッケルのベストセラー小説「La Maison」を映画化した「ラ・メゾン 小説家と娼婦」(12月29日公開)の特別試写会が22日、都内で行われ、主演女優のアナ・ジラルドとアニッサ・ボンヌフォン監督が記者会見した。

同作は、フランスの作家エマ・ベッケルが身分を隠して高級娼館に潜入した2年間を描き、2019 年、フランスで発表されると賛否両論を巻き起こした小説『La Maison』を映画化した作品。実際に娼館で娼婦として働いた体験を小説にするという大胆すぎる取材方法にフェミニストたちから激しく批判も浴びたが、一方でアンダーグラウンドで生きる女性たちのリアルな姿が大きな共感を呼び、世界 16 ヵ国で大ベストセラーになった。

娼館に潜入する主人公に抜擢されたのは小栗康平監督作『FOUJITA』(15)でのユキ役や、セドリック・クラピッシュ監督『パリのどこかで、あなたと』(19)等で日本でも知られ、ファッションモデルとしても人気急上昇中のアナ・ジラルド。パリの老舗キャバレー「クレイジーホース」で 2 か月間実際にトレーニングを行って撮影に挑み、見事な肢体はもちろん、劇中全編に渡って香り立つような妖艶な魅力を披露している。
監督は原作者からの強い希望で『ワンダーボーイ』(19)で熱い注目を浴び、『マダムのおかしな晩餐会』(18)、『THE INFORMER 三秒間の死角』(19)など女優としても活躍する気鋭の女性監督アニッサ・ボンヌフォン。

「ラ・メゾン 小説家と娼婦」主演女優アナ・ジラルドとアニッサ・ボンヌフォン監督が記者会見
アナ・ジラルド㊨とアニッサ・ボンヌフォン監督

主演のアナと共に記者会見に臨んだアニッサ監督は、「原作者のエマ・ベッケルがとても自然に自分のの体験を語ってる作品です。自分は誰なのか。自分のセクシャリテイ、自分の欲望から目をそらさずに、人生の選択の自由にきちんと向き合った女性」と主人公のエマについて語った。

娼婦になって娼館に潜入する作家のエマ役で、SMも含めて様々な形の濃厚かつ大胆なセックスシーンを全裸で体当たりの熱演を見せているアナは、オ―ディションでエマの役を勝ち取ったという。「要求の高いシーンがいっぱいあって、これまでの役に比べてかなり厳しかったですが、2週間ぐらい一生懸命セリフを覚えてチャレンジしました」と振り返った。
そして「本を読んだときに最初の3ページでなんて素晴らしいんだろうと思いました」という。「エマはとても大胆でとてもきれいで、自分の中にある欲望に目をそらさない。そして男性の監督ではなくアニッサという女性監督だったこともオーディションを受ける決めでした」という。

アニッサ監督はエマ役にアナを選んだことについて「オーディションでなかなかいい役者が見つからなかった。そんなときにカンヌ国際映画祭のレッドカーペットで、アナの立ち居振る舞いがとてもセクシーで、女性というものをとてもうまく見せていることを思い出した」という。そしてアナがオーディションに来たので決めたという。
原作について監督は、「彼女の勇気にとても感動しました。自分たちの意思で自分たちで選んで職業として売春をしているところに惹かれた」という。「売春婦でもいろんな人がいて、必ずしも危険なところではない」と語る。映画ではエマを取り巻く様々やキャラクターの売春婦が登場して、娼館の実態や客の話などを繰り広げている。

役作りについてアナは、「肉体的、精神的なところから役に入っていく必要がありました。裸の男優さんのパートナーとのシーンもたくさんありますから、自分の身体と折り合いをつけるために、クレイジーホースでエクササイズに取り組んだ」という。「全裸でハイヒールをはいてスタッフの前を歩き、スタッフが見つめる。それをしっかりと受け止めた」という。「大変でしたけどちょっとした発見でした」とハードな撮影を振り返った。

売春について「この職業は人間が地球上に存在する限り続くと思っています」と指摘する。「売春は禁止されているにもかかわらず、現実には存在しています。若い女性が社会保障もなく危険にさらされている。きちんと受け入れて社会的なプロテクションをしていくべきだと思います」とアニッサ監督。

監督は「この職業は人間が地球上に存在する限り続くと思っています」と指摘する。「売春は禁止されているにもかかわらず、現実には存在しています。きちんと受け入れて社会的なプロテクションをしていくべきだと思います」と語った。

監督は「女性が自分の身体をコントロールする権利、つまりはセクシュアリティをコントロールする権利が今、問われている、この映画の舞台が売春であるならば、真のテーマは女性のセクシュアリティと欲望である。だからこそ、『ラ・メゾン 小説家と娼婦』のような映画は、今日、強い共感を呼んでいるのだと思います」とコメントしている。
記者会見後に新宿バルト9でジャパンプレミアが行われ、アナとアニッサ監督が舞台挨拶を行った。

「ラ・メゾン 小説家と娼婦」主演女優アナ・ジラルドとアニッサ・ボンヌフォン監督が記者会見
「ラ・メゾン 小説家と娼婦」のアナ・ジラルド



【story】
フランスからベルリンに移り住んだ 27 才の小説家エマ(アナ・ジラルド)は、作家としての好奇心と野心から、娼婦たちの裏側に惹かれてゆく。そして、大胆にも彼女たちの実情を理解するために、有名な高級娼館“ラ・メゾン”に娼婦として潜入する。危険と隣り合わせの女性たちの日常、そして孤独や恋愛の尽きない悩み...。そこでの日々は、エマにとって新たな発見に溢れていた。そして2週間のつもりが、いつしか2年もの月日が流れてゆく。果たして、エマがその先に見るものとはー。

【クレジット】
監督:アニッサ・ボンヌフォン
原作:「La Maison」エマ・ベッケル著
出演:アナ・ジラルド、オーレ・アッティカ、ロッシ・デ・パルマ、ヤニック・レニエ、フィリップ・リボット、ジーナ・ヒメネス、ニキータ・ベルッチ
2022 年/フランス、ベルギー/フランス語、英語、ドイツ語/89分/カラー/1:2.35/5.1ch/原題:La Maison/字幕翻訳:安本熙生 /R-18
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本 配給:シンカ
© RADAR FILMS - REZO PRODUCTIONS - UMEDIA - CARL HIRSCHMANN - STELLA MARIS PICTURES
本作は“French Cinema Season in Japan”の一環として、ユニフランスの支援を受けて公開される。
公式HP:https://synca.jp/lamaison/
X (旧 Twitter):https://twitter.com/SYNCACreationsInstragram:
12月29日(金)より新宿バルト9,ヒューマントラストシネマ渋谷他全国公開