-
映画
「安楽死特区」 高橋伴明監督が”安楽死”を描く衝撃の社会派ドラマ
(2025年12月25日9:45)

『痛くない死に方』『夜明けまでバス停で』『「桐島です」』の高橋伴明監督が、毎熊克哉・大西礼芳の共演で安楽死を描く衝撃の社会派ドラマ『安楽死特区』が1月23日(金)より新宿ピカデリーほかにて公開になった。
在宅医として2500人以上の看取りを経験してきた医師で作家の長尾和宏による同名小説が原作の映画『安楽死特区』は、近未来の日本で「安楽死法案」が可決され、国家主導で導入された制度のもと、人間の尊厳、生と死、そして愛を問う衝撃の社会派ドラマである。
監督は、『痛くない死に方』(20)、『夜明けまでバス停で』(22)、『「桐島です」』(25)などの高橋伴明。脚本は、『野獣死すべし』(1980)、『一度も撃ってません』(2020)などの丸山昇一。名匠の初タッグが本作でようやく叶った。
舞台は今から数年後の日本。欧米に倣って安楽死法案が可決した。それでも反対の声が多いため、国は実験的に「安楽死特区」を設置することに。
主人公のカップルは、回復の見込みがない難病を患い、余命半年と宣告されたラッパー・酒匂章太郎と、彼のパートナーでジャーナリストの藤岡歩。安楽死法に反対のふたりは、特区の実態を内部から告発することを目的に、国家戦略特区「安楽死特区」への入居を決意する。そこでふたりが見たのは、安楽死を決意した人間たちの愛と苦悩。そして医師たちとの対話を通じて、ふたりの心に微細な変化が訪れるが…。












章太郎役を務めるのは、『「桐島です」』の毎熊克哉。パートナー・歩役には『夜明けまでバス停で』の大西礼芳。特区の実態を告発するために突き進む歩が、章太郎の心境の変化に直面する様は、観る者の心も激しく揺さぶる。
末期がんに苦しむ夫と、夫と心がすれ違う妻を演じたのは、平田満と筒井真理子。認知症と診断され、死なせて欲しいと願う元漫才師役で余貴美子が出演。そして、「安楽死特区」の特命医を演じるのは、加藤雅也、板谷由夏、下元史朗、奥田瑛二。歌謡漫才のコンビであり余貴美子の妹役で友近、尾形の元妻役で鈴木砂羽が出演。また、シンガーソングライターのgb(ジービー)が毎熊克哉とラップを披露する。
人生の最期を自ら決断しようとする者と、国から命じられ苦悩しながらも安楽死に導く医師、それを見守る者―― 一体、死とは誰のものなのか? 制度と人間、理想と現実の狭間で揺れ動く人々の姿を描き、見る者一人ひとりに、重い問いを投げかける。明日、この国で現実に起こるかもしれない世界線を描いた衝撃作。
■W主演の毎熊克哉・大西礼芳のコメント
酒匂章太郎役:毎熊克哉
章太郎という役を引き受けるのは正直とても怖かったです。フィクションの映画ではあるものの、実際に回復の⾒込みがない難病を抱えている⽅、闘病を⽀えているご家族の⽅々は世界中にたくさんいるから、⽣半可にはやれない。
役を考える前に、⽇本では認められていない"安楽死"という選択について深く考える必要がありました。だけど、⾃分がどの⽴場に⽴つかによって考えは180度変わってしまい、もう死なせてくれ…まだ⽣きててくれ…なかなか答えは出せない…。
だからこの映画が必要なんだと思い、作品と役から逃げないことにしました。
丸⼭さんが書かれた脚本には⼼臓の⿎動のようなビートがあって、 そこに⽣(しょう)のリズムを刻み込むようなイメージで章太郎を演じました。
年齢問わず誰にとっても無関係ではない可能性がある題材です。
是⾮、劇場でご覧ください。
藤岡歩役:大西礼芳
藤岡歩を演じるにあたって、脚本が投げかける「安楽死」というテーマに、私自身も強い問いかけを受けました。
歩は、安楽死特区の矛盾を明らかにしようとするジャーナリストとしての使命と、難病の恋人・章太郎を何としても生かしたいという個人的な想いとのあいだで揺れ続けます。
彼が弱っていくほどに、私はむしろ不思議な強さを得ていく――そんな感覚を覚えました。
演じるうえでの支えとなったのは、事前に触れた「チベット死者の書」の教えです。
絶望の中でもわずかな希望を見つけるための道しるべのように感じられ、章太郎役の毎熊さんの静かで優しいまなざしにも、その光が常に宿っていたように思います。
この物語が、世代を超えて多くの方々に届くことを願っています。
【あらすじ】
もしも日本で「安楽死法案」が可決されたら――。国会で「安楽死法案」が可決され、国家戦略特区として「ヒトリシズカ」と名づけられた施設が誕生。安楽死を希望する者が入居し、ケアを受けられるこの施設は、倫理と政治の最前線で物議を醸す存在となっていた。
回復の見込みがない難病を抱えるラッパーの酒匂章太郎(毎熊克哉)は、進行する病に苦しみながらも、ヒップホップに救いを見出し、言葉を紡ぎ続けていた。共に暮らすのは、チベットで出会ったジャーナリスト・藤岡歩(大西礼芳)。二人は、章太郎が余命半年を宣告された今も、安楽死に反対で、特区の実態を内部から告発することを目的に、「ヒトリシズカ」に入居する。
施設には、末期がんに苦しむ池田(平田満)とその妻の玉美(筒井真理子)、認知症を抱え、完全に呆けないうちに死なせて欲しいと願う元漫才師の真矢(余貴美子)など、それぞれに事情を抱えた入居者たちが暮らしていた。
章太郎の身体は急速に衰え、言葉さえままならなくなり、章太郎は歩に相談もなく、「安楽死を望みます」と考えを一変。歩は、池田の主治医の鳥居(奥田瑛二)の他、章太郎の主治医の尾形(加藤雅也)、三浦(板谷由夏)ら特命医それぞれの想いにも触れ、命と死に真摯に向き合うことを迫られる。
【見どころ+】
高橋監督の前作『「桐島です」』で桐島役を演じた毎熊克哉が、回復の見込みがない難病を抱えて施設にやってくるラッパーの酒匂章太郎を熱演。パートナーのジャーナリスト・藤岡歩(大西礼芳)と「安楽死特区」の施設に潜入して、施設の問題を探るうちに、章太郎の心境に変化が起きて悩み揺れ動く姿を演じて存在感を見せている。また、近未来の「安楽死特区」の施設「ヒトリシズカ」にやってくる、末期がんに苦しむ池田(平田満)とその妻の玉美(筒井真理子)、認知症を抱え、完全に呆けないうちに死なせて欲しいと願う元漫才師の真矢(余貴美子)などの人間模様と、それぞれの安楽死に対する考え方が浮き彫りにされていく。施設内の様子や奥田瑛二、加藤雅也演じる特命医師や関係者が立ち会い患者が安楽死を迎える瞬間も描かれる。
「回復の見込みがない病状」や「本人が許容できない苦痛」などがあるなかでどう判断するのかは様々な論争もあり、そうした「安楽死」の問題を、近未来の「安楽死特区」の施設という架空の設定をしたうえで、正面から取り組んでいて身につまされる内容になっている。
安楽死といえば、「勝手にしやがれ」(60)、「気狂いピエロ」(65)、「中国女」(67)などの革新的な作品でヴェルルヴァーグの旗手と呼ばれたフランスの映画監督ジャン=リュック・ゴダールさんが2022年9月、スイスで自殺幇助により91歳で死去したことが記憶に新しい。ゴダールさんの法律顧問は、ゴダールさんが「スイスで法的支援を受けて自発的に旅立った。医療報告書によると、『体の機能を失う複数の病気』に侵されていた」とAFP通信に話したと報じられた。
日本では医療者が患者に致死薬などを投与する「積極的安楽死」や、医師から処方された致死薬を、患者自身が摂取する「医師幇助自殺」の両方とも違法だが、カナダやオランダなどは両方とも合法化されている。スイスでは「医療幇助自殺」が認められている。
この作品は、日本でも「安楽死」の問題をもっと議論するべき時期に来たのではないかと問題提起しているように思えた。
【クレジット】
出演:毎熊克哉 大西礼芳 加藤雅也 筒井真理子 板谷由夏 下元史朗
鳥居功太郎 山﨑翠佳 海空 影山祐子 外波山文明 長尾和宏 くらんけ
友近 gb 田島令子 鈴木砂羽 平田満 余貴美子 奥田瑛二
監督:高橋伴明
原作:長尾和宏 小説「安楽死特区」ブックマン社刊
脚本:丸山昇一
製作総指揮:長尾和宏 製作:小林良二 プロデューサー:小宮亜里 高橋惠子
音楽:林祐介 撮影監督:林淳一郎 撮影:西村博光 照明:豊見山明長 録音:臼井勝 美術:黒瀧きみえ
装飾:鈴村髙正 島村篤史 ヘアメイク:佐藤泰子 スタイリスト:野中美貴 衣裳:津田大 江口久美子 VFX:立石勝
スクリプター:阿保知香子 編集:佐藤崇 助監督:毛利安孝 野本史生 稲葉博文
音楽プロデューサー:和田亨 ラインプロデューサー:藤原恵美子
制作協力:ブロウアップ 配給:渋谷プロダクション
主題歌:「Oh JOE GIWA」作詞:丸山昇一、gb 作曲編曲:林祐介
製作:「安楽死特区」製作委員会(北の丸プロダクション、渋谷プロダクション)
2025年/日本/カラー/シネマスコープ/5.1ch/日本語/129min
©「安楽死特区」製作委員会
公式サイト:anrakushitokku.com
X: http://x.com/anrakushimovie
Facebook: https://www.facebook.com/anrakushimovie
2026年1月23日(金)より新宿ピカデリーほかにて公開