元ジャニーズJr.の被害者・橋田康さんが記者会見 児童虐待法の改正を求め署名活動などを発表

(2023年5月26日23:00)

元ジャニーズJr.の被害者・橋田康さんが記者会見 児童虐待法の改正を求め署名活動などを発表
記者会見する橋田康さん(YouTubeチャンネル/KYODO NEWS)

ジャニー喜多川氏からの性被害を明らかにした元ジャニーズJr.で俳優の橋田康さん(37)が26日、都内の日本外国特派員協会で記者会見して性被害の再発防止に向けて法改正の必要性を訴え、法整備を求めて署名活動を開始したことを明らかにした。一方、ジャニーズ事務所は同日、「相談窓口の設置」など対策を発表した。

橋田さんは1998年、中学1年生の時にジャニーズ事務所入りして1年ほどたったころ、公演先のホテルでジャニーズ事務所の前社長ジャニー喜多川氏からの性被害にあったことを明らかにした。

深夜にベッドに入ってきてマッサージが始まり、「混乱してどうしらいいかわからないまま体が固まりました」という。「私は性体験野生の知識がなかったので、何が起きてリうのかわかりませんでした」という。
「そのままジャニーさんに口淫されました。その間ジャニーさんはずっとっ無言でした」。行為が終わりシャワーを浴びてると涙が止まらなくなったという。翌朝ジャニー氏から1万円を渡され「自分の価値は1万円なんだと感じました」という。

橋田さんは、ほかの元ジャニーズJr.の被害者たちと、これまでも「週刊文春」やテレビなどで性被害を訴えているが、何度聞いてもおぞましい話で、少年に対する性的虐待は米国なら大罪で、10年以上の禁固刑の可能性もあるという。

そうした体験をしながらも「私は今でもジャニーさんのプロデューサーとしての才能のすごさを感じています。尊敬もしています。性加害がなかったらそう思うこともありました」という橋田さん。

「私が今実名・顔出しで話すことで、今後芸能活動をしていく上で、性加害にあった人だと思われるリスクがあることは十分承知しています」という。「それでもこうして皆さんの前でお話をしているのは、お世話になったジャニーズ事務所のこの問題が早く集結し、新しいスタートを切ってもらいたいから。そして日本の芸能界、エンターテイメントがより良い場になることを願ってのことです」と述べた。

■橋田氏「現在の児童虐待防止法は子供たちを守るのには十分ではない」

現在の児童虐待法では、親または親に代わる保護者などによって行われる児童に対する暴行や性暴力を「児童虐待」としている。

橋田氏は「現在の児童虐待防止法は子供たちを守るのには十分ではないと感じました」と言う。

「私の個人的感想では、性的虐待に関しては、親以外からの方が多いのではと感じています」といい「今提案されている案では、その対象が第三者に広がります。例えば部活動や塾など子供たちを育てる場での地位に基づく影響力を持っている人物も対象になります。エンターテイメントの世界でも、芸能事務所の幹部らも対象になるという議論がなされています」という。

「法改正議論のもう一つのポイントは、経済的、社会的地位に基づく影響力のある第三者による性暴力やわいせつ行為が行われて場面を見聞きした場合、その見聞きした人による警察への通報が法的に義務化されるということです」と明らかにした。

「例えば芸能事務所で児童に対する性的虐待が行われていた場合、社員やマネージャーなど近くにいる大人が通告することが義務付けられるのです。見て見ぬふりを止めることが、さらなる被害の抑止につながると思います。さらには、加害者のブレーキにもなって、新たな加害者を生まないことにもつながると思います」と指摘した。

■法改正を求める署名活動を開始

「私はどこかの党の支持者ではなく、超党派でこの問題に取り組んでもらいたいと思っています」「もちろん私の声だけでは変えられないと思っています。たくさんの人に一緒に考えてもらいたい」と述べた。

橋田さん、カウアン・オカモトさんら元Jr.4人が発起人となって児童虐待法の法改正を求める署名を集めることも明らかにした。「政治家の皆さんに、私たち当事者だけではなく、ご賛同してくださった皆さんの声が届き法改正につながってくれることを強く望みます」と訴えた。

■被害者相談窓口設置して元ジャニーズJr.被害者の声をジャニーズに届ける

また、同様に被害を受けた元ジャニーズJr.の声を集めてジャニーズ事務所に伝えるための相談窓口を設置するという。ジャニーズ事務所は相談窓口を設置するとしているが、「直接ジャニーズ事務所には相談しにくいという声も聞こえてきています」という。「この性加害問題を放置してあいまいなままにしておいてはなりません」とした上で「私が同じ被害にあった人間として、元Jr.の皆さんからのお話を聞き、彼らの声を集め、ジャニーズ事務所との懸け橋になれればと思っています」と述べた。

「ジャニーズ事務所は実際にあったことを事実と認め、被害者たちへの謝罪と対応を求めたいと思っています。そして一刻も早くクリーンなジャニーズ事務所として生まれ変わってほしいと思っております」と語った。
そして「ジュリー社長、僕たちの思いと向き合ってください」と呼びかけた。

■ジュリー景子氏の謝罪ビデオに「これをきちんと過去のものとして清算しきって、きれいなジャニーズ事務所として早く出発してほしい」

質疑応答で、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長が14日に事務所の公式サイトに発表した謝罪動画で、ジャニー氏の性加害疑惑について「知りませんでした」と言ったこと、「事実関係を調べることが困難」と言っていたことにどう思うかと聞かれ、橋田氏は「事実か事実でないかを認めることは容易ではない、というコメントだったと思うんですけど、確かに簡単なことではないと思います。それに、ジュリー社長が言った一言で人生を大きく左右されてしまう人がたくさんいると思うので、確かに簡単なことではないと思いますが、これだけ多くの人間が声を上げてこの問題と向き合っている状態なわけですから、これを長引かせれば長引かせるほど、今も中で頑張っているタレントの人たちにもダメージが大きく肥大していってしまうのかと。僕も含めて応援しているひったちが迷う時間が増えていってしまうのかなと思っております。僕自身今も事務所で頑張っている人を苦しめていることは自覚していますので、早くこの問題を事実として認めて…今僕の知っている中では、ジャニーズ事務所の中では性加害を行うような人はいないと思っています。なので、これをきちんと過去のものとして清算しきって、きれいなジャニーズ事務所として早く出発してほしいと思っておりますので、そのために僕ができることでしたら全力で協力したいと思っています」

■ジュリー氏の「知らなかった」という発言は「信じません」

さらに、ジュリー氏の「知らなかった」という発言に、多くの人がそれを信じられない思いでいるが、信じるかと聞かれて、橋田氏は「信じません」と語った。
「知らなかったということはないかと思います」といい、「きちんと内部でもその話、噂なり、そういうものはあったわけですので、そこにきちんと目を向けなかったということはあったとしても、全く知らなかったということはないと思います」と答えた。

■ジャニーズ事務所は「相談窓口の設置」など対策を発表

ジャニーズ事務所は同日、「相談窓口の設置」など対策を発表した。 「この問題については声を上げたかどうかにかかわらず、所属経験のあるすべてのタレントへの心のケアが最重要と考えている」としたうえで、所属経験者を対象に外部機関による「心のケア相談窓口」を今月31日に設置するという。
また元検事総長の林眞琴弁護士ら3人による「再発防止特別チームの設置」などを合わせて発表した。