第79回ゴールデングローブ賞のノミネーション発表 濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」が非英語映画賞にノミネート

(2021年12月14日15:30)

第79回ゴールデングローブ賞のノミネーションが13日(現地時間)に発表され、映画のドラマ部門では「ベルファスト」と「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が最多7部門でノミネートされた。また濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が非英語映画賞(旧外国語映画賞)にノミネートされた。日本映画が同賞の外国語映画賞にノミネートされたのは、2019年の「万引き家族」以来。

米ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人記者協会(HFPA)の新会長に就任したヘレン・ホーネ氏(上の写真㊧)とラッパーのスヌープ・ドッグ(同㊨)がノミネーションを発表した。

最多7部門でノミネートされた「ベルファスト」は、北アイルランドのベルファストを舞台に絆があった家族が社会の混迷の中で新天地へ移住することをめぐって家庭内に不和がもたらされる物語。ケネス・プラナー監督の半自伝的作品といわれる。ドラマ部門で作品賞、監督賞、助演男優賞(ジェイミー・ドーナンとキアラン・ハインズ)などにノミネートされた。
同じく7部門ノミネートの「パワー・オブ・ザ・ドッグ」はジェーン・カンピオン監督、べネディクト・カンバーバッチ主演の映画で第78回ヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞を受賞した。ドラマ部門の作品賞、監督賞、主演男優賞(カンバーバッチ)、助演女優賞(キルスティン・ダンスト)などにノミネートされた。

コメディ・ミュージカル部門では「ドント・ルック・アップ」がジェニファー・ローレンスとレオナルド・ディカプリオがそれぞれ主演女優賞、同男優賞、そして作品賞にノミネートされた。「ウエスト・サイド・ストーリー」はスティーヴン・スピルバーグ監督が監督賞に、レイチェル・ゼグラーが主演女優賞にノミネートされた。

審査員に黒人が1人もいないことなどが批判されてテレビ局が中継を中止するなど大揺れの同賞は、大幅な改革を行ったが波乱含みの再スタートとなった。授賞式は現地時間1月9日(現地時間)に開催される。

アカデミー賞の前哨戦として注目が高かったゴールデングローブ賞だが、ロサンゼルス・タイムズ紙が2021年2月現在、HFPAのメンバーは87人の中に黒人会員が一人もいないことを報じたことで批判が集まり、HFPAは改革に取り組むことを発表したが、その後HFPAのフィリップ・バーク会長が、「#BlackLivesMatter」(黒人の命も大切だ)運動について、「人種差別的なヘイト・ムーブメント」とする記事会員に転送していたことが判明し、辞任に追い込まれるなどして、ワーナーメディアやNetflixなどが本賞関連のイベントに参加しないことを表明したほか、本賞の授賞式を放送しているNBCテレビも2022年の中継を行わないことを発表。また、トム・クルーズなど過去の受賞者が抗議の意志を示すためにトロフィーをHFPA本部に送り返すなど波紋が広がった。

ホーネ会長は、大幅な改革を行ったことを明らかにして「仕事が大変だった分、この変化には感謝しています。これは新しいHFPA 2.0です」と発表。これらの変化の中には、行動規範の更新、チーフ・ダイバーシティオフィサーの追加、理事会、諮問委員会、審査委員会への有色人種および外部アドバイザーの参加、21名の新メンバー(6名の黒人ジャーナリストを含む)と来年の追加予定、全米有色人種地位向上協議会(NAACP)との5年間のパートナーシップなどを明らかにした。だが、来年の開催に「時期尚早」の声もあり授賞式は波乱含みだと報じられている。

■ 第79回ゴールデングローブ賞(映画部門)の主なノミネート

【 作品賞(ドラマ部門)】
「ベルファスト」、「Coda コーダ あいのうた」、「DUNE/デューン 砂の惑星」、「ドリームプラン」、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
【作品賞(ミュージカル・コメディ部門)】
「シラノ」、「ドント・ルック・アップ」、「Licorice Pizza」(原題)、「tick, tick... BOOM!: チック、チック...ブーン!」、「ウエスト・サイド・ストーリー」
【主演女優賞(ドラマ部門)】
ジェシカ・チャステイン(「タミー・フェイの瞳」)
オリヴィア・コールマン(「ロスト・ドーター」)
ニコール・キッドマン(「愛すべき夫妻の秘密」)
レディー・ガガ(「ハウス・オブ・グッチ」)
クリステン・スチュワート(「スペンサー」)
【主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)】
マリオン・コティヤール(「アネット」)
アラナ・ハイム(「Licorice Pizza」)
ジェニファー・ローレンス(「ドント・ルック・アップ」)
エマ・ストーン(「クルエラ」)
レイチェル・ゼグラー(「ウエスト・サイド・ストーリー」)
【主演男優賞(ドラマ部門)】
マハーシャラ・アリ(「スワン・ソング」)
ハビエル・バルデム(「愛すべき夫妻の秘密」)
ベネディクト・カンバーバッチ(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)
ウィル・スミス(「ドリームプラン」)
デンゼル・ワシントン「マクベス」
【主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)】
レオナルド・ディカプリオ(「ドント・ルック・アップ」)
ピーター・ディンクレイジ(「シラノ」)
アンドリュー・ガーフィールド(「tick, tick... BOOM!: チック、チック...ブーン!」)
クーパー・ホフマン(「Licorice Pizza」)
アンソニー・ラモス「イン・ザ・ハイツ」
【助演女優賞】
カトリーナ・バルフ(「ベルファスト」)
アリアナ・デボーズ(「ウエスト・サイド・ストーリー」)
キルスティン・ダンスト(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)
アーンジャニュー・エリス(「ドリームプラン」)
ルース・ネッガ「PASSING -白い黒人-」
【助演男優賞】
ベン・アフレック(「The Tender Bar(原題)
ジェイミー・ドーナン(「ベルファスト」)
キアラン・ハインズ(「ベルファスト」)
トロイ・コッツァー(「Codaコーダ あいのうた」)
コディ・スミット=マクフィー(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)
【監督賞】
ケネス・ブラナー(「ベルファスト」)
ジェーン・カンピオン(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)
マギー・ギレンホール(「ロスト・ドーター」)
スティーヴン・スピルバーグ(「ウエスト・サイド・ストーリー」)
ドゥニ・ヴィルヌーヴ「DUNE/デューン 砂の惑星」