映画「恋のいばら」公開記念イベント 主題歌のchilldspot、城定秀夫監督登壇

(2023年1月26日21:20)

映画「恋のいばら」公開記念イベント 主題歌のchilldspot、城定秀夫監督登壇
城定秀夫監督㊧とchilldspotの比喩根㊥と玲山㊨(都内で)

松本穂香、玉城ティナ、渡邊圭祐が出演する映画「恋のいばら」(城定秀夫監督)の公開を記念して24日、劇中にも登場した映画館、東京・渋谷のシネクイントで公開記念・トークイベント付き上映会が行われ、主題歌「get high」を担当するchilldspotの比喩根(ひゆね)(Vo.&Gt.)、玲山(りょうざん)(Gt.)、そして城定秀夫監督が登壇。映画主題歌初挑戦の思い、そして本作主題歌に込めた思いなどについて語った。

「恋のいばら」は、一人の男性(渡邊圭祐)をめぐる元カノ(松本穂香)と今カノ(玉城ティナ)によるいびつな三角関係を描き、突然恋人に振られた主人公が、彼の今カノに"ある秘密"の共犯関係を持ち掛けたことからストーリーが展開する。現在47歳にして、これまでに100作以上を監督する、現在の日本映画界に於いて最も多作かつ話題作を提供し続ける城定秀夫監督の最新作になる。

会場内には本作主題歌「get high」がBGMとして鳴り響き、それに合わせてchilldspotの二人と、城定監督がステージに登場。映画イベント初出演、かつ自身の楽曲で入場するという初めての体験に、chilldspotの二人も冒頭は少し緊張ぎみだったが、トークが進むにつれて次第にリラックスムードになっていった。

主題歌を決めるにあたり、プロデューサーからchilldspotを提案されたという城定監督は「ネクストブレイクのすごく若いバンドで、高校生の(時にデビューした)バンドだということで何曲か聴かせていただいたんですが、本当に大人っぽくて。荒削りでいいとかそういうことではなく、洗練された世界観があるミュージシャンだなと思いました」と振り返る。

一方、本作主題歌のオファーについて「自分たちに映画の主題歌のオファーが来るとは思っていなかったのでビックリしていたんですが、それと同時に、主題歌をやらせていただけるというのは、自分たちを映画の中に必要としてくれているということなので、うれしかったですね」と比喩根。
玲山も「僕ら自身も結成してからそれほどたっていない新人なのでビックリしましたし、映画の曲となると普段やっているバンドの曲とは違ったものが求められるのかなと。そういう難しさがあるのかなと思っていましたね」と続けた。

以前、比喩根は主題歌の「get high」について「美しさと歪さの表裏一体感を表現できる様意識をしました」とコメントしていたが、実際にどうやってこの曲を作り上げたのか。
「お願いをしていただいた時は映像がなくて、台本しかなかった。だから台本を読み込みましたし、原作の映画(香港映画の『ビヨンド・アワ・ケン』)も観ました。ただセリフだけだと映像を想像するのが難しかったので、自分なりにこれはどういうシーンなのか考えながら進めました。初めての経験だったので難しくもありましたが、そういう感じで作りましたね」と比喩根は振り返る。

劇中では主題歌の「get high」に加え、城定監督たっての希望により、クライマックスの重要なシーンで彼らの楽曲「ネオンを消して」が挿入歌として使われている。実際にそのシーンを観たという比喩根は「自分たちの曲をちゃんと聴いて、必要だと思ってもらえたことがうれしかったですし、実際に映像で観た時に、こんな重要なところで使っていただけるのかと思って。自分たちの曲に対して愛というか、すてきな感想を持っていただいているんだなと思いましたね」と感激の表情。

それほどまでに「ネオンを消して」という楽曲に魅入られたという城定監督だが、実は本編のタイトル候補に挙げられたこともあったという。「そもそも現場で(の撮影時に)は仮のタイトルがあったんですけど、公開にあたってタイトルを変えようということになって。その一案として『ネオンを消して』というタイトルを挙げたことがありました。その時は(スタッフから)いいじゃないですか、ということになったんです。でもいろいろあって、結局『恋のいばら』というタイトルになったんですけど、でも夜の街のシーンはないのに、なぜか画面にマッチしたものがありますよね」と意外な事実を明かした。

映画「恋のいばら」公開記念イベント 主題歌のchilldspot、城定秀夫監督登壇
chilldspotの比喩根㊧と玲山(都内で)

そしてこの日のイベントでは、主題歌の「get high」をアコースティックバージョンで生披露することに。アコースティックギターの繊細な調べにのせて、比喩根の力強くも、伸びのある歌声が会場を包み込み、観客もその心地よい歌声に身を委ねていた。

演奏が終わり、大きな拍手が会場に鳴り響く中、劇場の最前列という至近距離でその歌を聴いていた城定監督は、「すばらしかったですね。若い世代のオシャレな曲なんですけど、でも今、アコースティックギターという感じが良かったですね」と感激の表情。一方の比喩根は「喉がカラカラになっちゃった」と笑いながらも、「映画館でやることはなかなかないですし、普段はスタンディングでやることが多いんで、いろんな意味で緊張しましたけど、でも皆さんが温かい目で見てくださっていたので、のびのびと演奏ができました」と笑顔。すかさず「今度は(バンドメンバー)4人で」と玲山が語ると、比喩根もその意見に深くうなずいていた。

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「恋のいばら」(©2023「恋のいばら」製作委員会)

【STORY】桃(松本穂香)は、図書館に勤務する24歳。最近、カメラマンの健太朗(渡邊圭祐)にフラれ、関係が終わったところ。会えなくなってからも健太朗のことが気になって、健太朗のインスタを見ていると、どうやら新しい恋人ができたらしい。そこから、今カノのインスタを発見。どんどん検索していくと、今カノは、地味な自分とは対照的なイマドキの洗練されたダンサー・莉子(玉城ティナ)だと知る。桃は、インスタを頼りに莉子を調べ、直接会いに行ってしまう。そして莉子と対峙した桃は、ある”秘密の共犯”を持ちかける。「リベンジポルノって知ってますか?」「健太朗のパソコンに保存されている自分の写真を消して欲しい」。そんな桃を最初は相手にせず、クールな態度を取る莉子だったが、自身も健太朗にプライベートな写真を撮られた事があり、徐々に不安を覚え始める…。出会うはずのなかった元カノと今カノ、そしてカレ。いびつな三角関係から今後、待ち受ける“恋のいばら”の道とは――。