杉咲花、主演映画「市子」大ヒット舞台挨拶 ヨーテボリ国際映画祭コンペ部門に出品

(2023年12月18日12:30)

杉咲花、主演映画「市子」大ヒット舞台挨拶 ヨーテボリ国際映画祭コンペ部門に出品
杉咲花㊧と戸田彬弘監督(17日、都内の映画館で)

過酷な宿命を背負ったひとりの女性・川辺市子の切なくも壮絶な人生を描いた映画「市子」(12月8日公開)の大ヒット御礼舞台挨拶が17日に都内映画館で実施され、主演の杉咲花と戸田彬弘監督が登壇した。

主人公・川辺市子を演じた杉咲は、念願の大ヒットスタートを記録していることに「感無量です。今日もこの光景に胸がいっぱいです。この映画に出会えたことは自分にとって財産です。嬉しいの一言に尽きます」と満席の会場に向かって感激しきり。<br><br> 原作となった舞台を自ら映画化した戸田監督は「想像以上の反響が続々と届いていて、この作品が広がっている実感があって驚いています」と大ヒットを噛み締めていた。 <br><br> さらに、来年1月にスウェーデンで開催される北欧最大の映画祭、ヨーテボリ国際映画祭のコンペティション部門に出品が決定したことが明かされた。このヨーロッパプレミアに杉咲は喜色満面で「この映画がどんな風に受け取ってもらえるのか、そして一人でも多くの方にこの映画を観てもらえる機会が増えたことが何よりも嬉しいです」と声を弾ませた。<br> 戸田監督は「北欧…プライベートで行ってみたかったので行きたいです(笑)アジアではないヨーロッパという文化の違う場所で、どのように本作が受け止められるのか気になります」と現地参加を望んでいた。

杉咲花、主演映画「市子」大ヒット舞台挨拶 ヨーテボリ国際映画祭コンペ部門に出品
杉咲花

その後観客とのQ&Aが行われ、杉咲がヒロインを演じた朝ドラ「おちょやん」での大阪弁との違いについて聞かれた杉咲は「『おちょやん』の時は100年前の大阪言葉で、『市子』では時代も変わっているのでイントネーションが変わったセリフも多かったです。自分のことを“うち”と言う時のイントネーションの変化を話し合ったりしました」と舞台裏を回想。関西出身の戸田監督は「自分に向くときの“うち”と外に放つときの“うち”ではイントネーションの矢印が変わるんですよね」と細かいこだわりを明かした。

本作での杉咲は高校時代から28歳までを演じているが「演じる上で年齢設定を意識したことはなくて、撮影前に監督がくれた年表にはその時の市子がどのような状態にあるのかが書いてあったので、そこで把握することが出来ました。相手が変わるごとに市子も自然と変化していくような感覚でした」と杉咲。夏の撮影も功を奏したそうで「その時の暑さやだるさみたいなものが市子を演じる上で作用していました。あの時期に撮影ができて幸せでした」と振り返った。

また撮影時の市子と自分の切り替えについて杉咲は「引力のある作品なので心を侵食されるような瞬間もありました。そんな時こそ、市子と距離を置くようにしていました。自分は市子だと思いすぎて過ごすと市子をわかった気になってしまうので、それを避けるために撮影以外では自分の感覚に素直でいることを心がけていました」と工夫していた点を明かした。

市子の母を演じた中村ゆりと杉咲は9年前にも親子役で共演。「久しぶりの再会で縁を感じていました。ゆりさんと自分との間に繋がりを感じながらカメラの前に立つことが出来て、しかもゆりさんはそこに住んでいる人のようにその場に存在される方なので、気づいたら自分も母としてゆりさんを捉えているような感覚でした」と感謝の意を述べた。

最後に、本作の大ヒットと本編で花が好きだと語る市子、また杉咲花が主演ということにかけて戸田監督が杉咲に労いの花束を贈呈し「市子は誰からも自分を見つめてもらえない人生を生きてきた子です。そんな市子が沢山の人に観てもらっていることが嬉しくて、感慨深い気持ちです」とロングランヒットを祈願。
主演の杉咲も「素晴らしい作品に携わることが出来て幸せだったという気持ちが大きいです。『市子』は安らぎや共感や感動に当てはまるような映画ではないかもしれないけれど、それでもこれだけ多くの方々が来てくれていることに感動しています。市子がどんなことを考えているのかを想像してもらえたらと思います。共感や感動の隣に並ぶ何かが存在しているはずなので、映画を観終わった後にその眼差しを自分たちの近くの人や世の中に向けてもらえたら嬉しいです」と呼び掛けイベントを締めくくった。

本作は、戸田監督が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した舞台「川辺市⼦のために」が原作。観客から熱い支持を 受け2度再演された⼈気の舞台が映画化となった。
痛ましいほどの過酷な家庭環境で育ちながらも「生き抜くこと」を諦めなかった川辺市子を演じるのは杉咲 花。抗えない境遇に翻弄された彼女の壮絶な半生を、凄まじい熱量で体現。これまでも演技力に定評があった杉咲だが、映画単独初主演作となる本作で、その期待を遥かに超え、鑑賞したマスコミ関係者を圧倒。「女優としての本領発揮」「本作が代表作となるのは間違いない」と言わしめるほど圧巻の演技を披露、芝居を超えて役を生き抜く姿がスクリーンに映し出される。
また、市子が3年間一緒に暮らしていた恋人の長谷川を演じるのは、若葉竜也。さらには、森永悠希、渡辺大知、宇野祥平、中村ゆり、倉 悠貴、中田青渚、石川瑠華、大浦千佳が名を連ね、彼女の知られざる人物像や過去を第三者の目線からも描き出していく。
公開初日からSNS上では「今年邦画ベスト!」「年末に強烈な一撃をくらう」「今年の賞レースを席巻するはず」など絶賛の声が続々と上がり、満席続出の大ヒットを飛ばしている。

杉咲花、主演映画「市子」大ヒット舞台挨拶 ヨーテボリ国際映画祭コンペ部門に出品
「市子」の杉咲花

【ストーリー】
川辺市子(杉咲 花)は、3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、忽然と姿を消す。途⽅に暮れる⻑⾕川の元に訪れたのは、市⼦を探しているという刑事・後藤(宇野祥平)。後藤は、⻑⾕川の⽬の前に市子の写真を差し出し「この女性は誰なのでしょうか。」と尋ねる。市子の行方を追って、昔の友人や幼馴染、高校時代の同級生…と、これまで彼女と関わりがあった人々から証言を得ていく長谷川は、かつての市子が違う名前を名乗っていたことを知る。そんな中、長谷川は部屋の中から一枚の写真を発見し、その裏に書かれた住所を訪ねることに。捜索を続けるうちに長谷川は、彼女が生きてきた壮絶な過去と真実を知ることになる。

【クレジット】
出演:杉咲 花 若葉竜也 森永悠希 倉 悠貴 中田青渚 石川瑠華 大浦千佳 渡辺大知 宇野祥平 中村ゆり
監督:戸田彬弘  原作:戯曲「川辺市子のために」(戸田彬弘)
脚本:上村奈帆  戸田彬弘  音楽:茂野雅道
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ 
©2023 映画「市子」製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/ichiko-movie/ 公式X:@movie_ichiko
大ヒット公開中。