宮﨑あおい、角野栄子さんにラブレター 映画「カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~」初日舞台あいさつで告白

(2024年1月29日21:15)

宮﨑あおい、角野栄子さんにラブレター 映画「カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~」初日舞台あいさつで告白
登壇した㊧から宮﨑あおい角野栄子さん、宮川麻里奈監督(東京・千代田区の角川シネマ有楽町で)

「魔女の宅急便」の作者として知られる、児童文学作家・角野栄子さん(89)の日常に 4 年にわたって密着したドキュメンタリー映画「カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~」(KADOKAWA 配給)の初日舞台挨拶が26日、都内で行われ角野さん、ナレーションを務めた宮﨑あおい(38)、宮川麻里奈監督(53)が登壇して、4 年に渡る密着取材の裏話やナレーション秘話などを語り、さらには宮﨑が角野さんにラブレターを書いていたことを明かした。

鎌倉の自宅では自分で選んだ「いちご色」の壁や本棚に囲まれ、カラフルなファッションと個性的な眼鏡がトレードマークの角野さん。一方、5 歳で母を亡くし戦争を経験。結婚後 24 歳でブラジルに渡り、35 歳で作家デビューするなど、波乱万丈な人生を歩みながら、持ち前の冒険心と好奇心で幾多の苦難を乗り越えてきた。“想像力こそ、人間が持つ一番の魔法”と語る角野さんはどういう人物なのか。88歳のキュートな“魔女”が、老いや衰えさえも逆手にとって今もなお、夢いっぱいな物語を生み出す秘訣などが同作で明かされる。

宮﨑あおい、角野栄子さんにラブレター 映画「カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~」初日舞台あいさつで告白
角野栄子さん

角野さんは初対面の宮﨑の印象について「キュートでスマートな方」とニッコリ。
宮﨑は控室に入った瞬間に「児童文学作家の角野栄子さん、本物だ!」という衝撃があったと興奮気味に初対面の瞬間を振り返った。テレビ、映画とナレーションを務めてきた宮﨑は「お洋服はアイロンをかけるのかな、とか個人的に気になっていたことが(直接)訊けたのでうれしいです」と大満足といった様子。

宮川監督は、宮﨑の起用理由を「さまざまな表現の全部ができるのは宮﨑さんしかいない、と思いました」と明かした。「映画のナレーションのアフレコで、第一声を聞いた時に鳥肌が立ちました。映画の主語は私たち制作者になっていて、(テレビ)番組とは主語が違うんです。でも、その説明をしなくても分かってくれたうえで読んでいただいて。“そういうふうに読んでいただきたかった!”と感じながら聞いていました。素晴らしいナレーション!」と絶賛した。

宮﨑あおい、角野栄子さんにラブレター 映画「カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~」初日舞台あいさつで告白
宮﨑あおい

宮﨑はテレビと映画では(ナレーションへの)意識の違いはあったといい、「今まで番組で観てきた角野さんへのラブレターのつもりで」と映画のアフレコ時の心境を説明。さらに「実は、角野さんにラブレターを書いたことがあって」と告白し、角野氏への“大好き”という気持ちを直接伝える機会がなかったので、手紙で伝える手段を選んだことを明かした。
気になるラブレターの中身については「シンプルに“好きです”ということと、私は角野さんの喜んでいる表情が好きなので、そういうところがとても好きという思いを手紙にしました」と話した。

ラブレターを受け取った角野さんは「すごく字がお綺麗。最近は、パソコンなどを使うので字に気をつかわない方が多いけれど、すごく綺麗でびっくりしました」と宮﨑の書く文字を称賛。続けて「(手紙を)いただくとは思っていなかったので、それもびっくりしました」と二重の驚きだったと報告し、「身に余る光栄です」と感謝の言葉を伝えた。
ラブレターは「小さなお子さんからも来ます。とても可愛いし、絵を描いてくださったりするので、そういうのはとてもうれしいですね」と微笑んだ。文字がたくさん書いてあるラブレターもたくさんもらうそうで「(本を)読んでくださっているんだな、とうれしく思います」とキュートな笑顔を見せていた。

手紙を書くのが好きだという宮﨑は「角野さんに届くラブレターは、角野さんの本を読んで“ありがとう”の気持ちを伝えたい、でも、伝える術がないからお手紙にしようという衝動になるのだと思います」と分析。さらに手紙は自分にとって特別なものだといい、「読み返したくなるのは(メールより)お手紙。手書きのものから伝わってくるもの、便箋も選んでくれた思いが伝わってくるので」と、自筆の手紙への思いを明かした。

宮﨑あおい、角野栄子さんにラブレター 映画「カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~」初日舞台あいさつで告白
宮川麻里奈監督

宮川監督は、映画の編集作業を振り返り「随分たくさんの映像を撮らせてもらったんだなと思いました。いいところだけ、素敵なところだけをつまんで作っていると訊かれることもあるけれど、そんなことはないんです。いつお会いしても本当に愉快で、ご機嫌が良くてこちらが楽しくなります」と角野さんの魅力を語った。そして、「角野さんはものすごい晴れ女。4 年の撮影期間中に雨の映像がまったくないんです。台風が 2 つ直撃している時も、撮影の間だけは雨が降らなくて。(撮影スタッフが)渋谷に帰ってくるとバケツをひっくり返したような大雨が降っていて...。やっぱり角野さんは魔女なんじゃないかなって思います(笑)」とコメント。唯一降ったのは映画のラストシーンだといい、貴重な雨の映像に注目してほしいと勧めた。

現在角野さんは89 歳。宮﨑は、自身の 89 歳の姿を想像できるかという質問に「90 歳の祖父母と一緒に旅行に行きたいと、誕生日にディズニーランドへ車椅子を使って連れ出したことがあって。でも、自分がその年齢になった時に、できるかなぁって。角野さんを見ていると、とても元気なので素敵な目標になるなぁと思いました」と答えた。ものづくりが大好きなので「何かしらものづくりに関わっていたいと思います。自分の手を使って作った何かを誰かに届けたいです」という。

イベントには「いちご色」をワンポイントにしたファッションで登壇した3人。角野さんは目立つ色を着ることについて「“えいやーっ!”という気持ちで着ちゃいます」と茶目っ気たっぷりに語り、「派手かなと思っても、もういいや、着ちゃおうって思っちゃう。あまり遠慮はしません!私に気づいた人から“角野さんですか?”って訊かれることは時々ありますが、大抵は、遠くからの会釈くらい。親しみを込めた会釈をもらうことがあります(笑)」と日頃のファンとの交流についても明かした。

久しぶりにカラフルな洋服を身につけたという宮﨑は「気分が上がったので、(カラフルな色を選ぶことも)大事だなと思いました」とニコニコ。「すごくお似合いよ」との角野氏の言葉に、満面の笑みを浮かべた宮﨑は「しばらくはイチゴ色で行きたいと思います」と宣言する場面もあった。

タイトルにちなみ、自分はどんな魔女かという質問に角野さんは「さぁ?」と首をかしげつつ、「89 歳なのでだいぶ魔力も落ちていると思います。でも、予感はするんです。今日は誰が来るとか、子どもの頃からそういう予感はあるんです」と自身の”魔力”を明かし、「今日は魔法をいっぱいかけますよ!」とノリノリでトークを展開した。
宮﨑は「私は“ポジティブな魔女”」と話し、「物事を前向きにしか考えないタイプ。毎日ご機嫌に生活しています」と充実感を漂わせた。

宮川監督は、角野氏を魔女、宮﨑を天女、もしくはかぐや姫のようだとたとえ、「私は魔女に憧れる普通の人間です」と即答し、会場の笑いを誘った。
さらに「角野さんは撮影がひと段落して、もう撮られなくていいってせいせいしているはず(笑)」と角野さんの顔を覗き込んだ宮川監督が「スタッフが(撮影がなくて)寂しがっているんです。次回『カラフルな魔女 2』はいかがでしょうか。撮影については帰りに相談させてください!」と角野さんの反応をうかがうと、角野さんは「家にはいつでもおにぎりとおみおつけはあるから、食べながらおしゃべりしましょう。この縁を大切にしてずっと仲良くしたいけれど、(撮影が)途中で止まっちゃったら困るでしょ?完結しなかったら困るでしょ?」と自身の年齢を気にする様子で答えたが、会場からの溢れんばかりの“続編への期待”の拍手を浴びて笑顔を見せていた。

最後の挨拶で角野さんは「素晴らしい映画を作っていただいた」と改めて感謝し、「また新しい扉が開いたかなという気がして。何か楽しいことが起きるんじゃないかと期待しております。私の魔法にかかったつもりになって、楽しくご覧いただきたいと思います」とアピールしてイベントを締めくくった。

【クレジット】
語り:宮﨑あおい
監督:宮川麻里奈 音楽:藤倉大
プロデューサー:山田駿平 宣伝プロデューサー:大﨑かれん 編集部協力:岡山智子
ラインプロデューサー:松本智恵 撮影:髙野大樹 編集:荊尾明子 音響効果:河原久美子 監督補:岡澤千恵
制作:NHK エンタープライズ 制作協力:角野栄子オフィス エネット 映像提供:NHK 製作・配給:KADOKAWA
©KADOKAWA
公式 HP:https://movies.kadokawa.co.jp/majo_kadono
X(旧 Twitter):@majo_movie Instagram:@majo_movie
2024年1月26日(金)角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー