「ナミビアの砂漠」ジャパンプレミア 河合優実、金子大地、寛一郎、山中瑤子監督登壇

(2024年8月22日23:30)

「ナミビアの砂漠」ジャパンプレミア 河合優実、金子大地、寛一郎、山中瑤子監督登壇
㊧から山中瑤子監督、金子大地、河合優実、寛一郎(22日、東京・千代田区のTOHOシネマズ日比谷)

映画「ナミビアの砂漠」(9月6日公開)のジャパンプレミアが22日、都内で行われ、 河合優実、金子大地、寛一郎、山中瑤子監督が登壇して同作の撮影エピソードなどを語った。

同作の山中監督は19歳のときに監督・脚本を務めた映画「あみこ」(17)が、史上最年少でベルリン国際映画祭出品を果たし、その「あみこ」を観て衝撃を受け、監督に「一緒にやりたい」と手紙を書いたという河合の念願がかなって、才能あふれる2人の夢のタッグが実現した。今年のカンヌ国際映画祭でも絶賛され、山中監督が女性として史上最年少で国際映画批評家連盟賞を受賞。カンヌでのワールドプレミア、上海国際映画祭でのアジアプレミアでの絶賛を経て、ジャパンプレミアの日を迎えた。

世の中も、人生も全部つまらない。やり場のない感情を抱いたまま毎日を生きている、河合演じる21歳のカナ。優しいけど退屈なホンダ(寛一郎)から自信家で刺激的なハヤシ(金子大地)に乗り換えて、新しい生活を始めてみたが、次第にカナは自分自身に追い詰められていく。もがき、ぶつかり、彼女は自分の居場所を見つけることができるのだろうかという内容。  

「ナミビアの砂漠」ジャパンプレミア 山中瑤子監督、河合優実、金子大地、寛一郎登壇
河合優実

山中監督のもと、いじわるで、嘘つきで、暴力的。それでも夢中になってしまう中毒的な魅力を持ったカナという初めてチャレンジするキャラクターを演じ切った河合は、「皆さんにこの映画を観てもらうことが楽しみで待ちきれない作品だったので、この日を無事に迎えられて、届けられることがすごく嬉しい気持ちでいますので、楽しく帰っていただければと思います」と挨拶。
自信家で刺激的な恋人ハヤシを演じた金子は、「自分自身、この作品に本当に思い入れがあって、皆さんに観てもらえることが本当にうれしいです」と語った。
カナにとって、優しいけれど退屈なホンダ役の寛一郎は「退屈な男です」と言って観客を笑わせ、「天気がころころ変わって気圧の変化で頭がぼーっとしてるんですけど、晴れてよかったです。今日は僕のように、ぼーっとしてる人も来てると思うんですけど、ぜひ楽しんで行ってください」と呼びかけた。
山中監督は、「やっと日本の皆さんにも観てもらえる日が来てとてもうれしいです」と心境を語った。

カンヌ国際映画祭の国際映画批評家連盟賞の受賞は、小栗康平監督「死の棘」(90)、諏訪敦彦監督の「M/OTHER」(99)、青山真治監督「EUREIKA」(00)、黒澤清監督「回路」(01)、濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」(21)に続く快挙となったことについて、山中監督は、「映画が好きで目指していた時に観て、影響されたり圧倒された映画たちばかりなので、全然ピンときてないです」という。寛一郎たちからも「おめでとうございます」と祝福されて照れていた。
また、カンヌ映画祭への参加について河合は、「2人とは撮影中は別々に出ていてすれ違っていたので、カンヌにみんなで行けたことで、撮影前より仲が深まった感じがしました」と明かした。
山中監督は「観客の皆さんお反応がダイレクトに伝わってきて、自分たちが面白いと思って作ったものが、こんなにも伝わるんだなということはすごい驚きました」と、カンヌでの反響が大きかったことを報告した。

「ナミビアの砂漠」ジャパンプレミア 山中瑤子監督、河合優実、金子大地、寛一郎登壇
金子大地

金子は「最高でしたね。海外の映画祭は初めてで、贅沢だなと思った。ずっちにやにやして完全に浮かれてました」と明かした。

山中監督の「あみこ」を観てぜひ一緒に仕事をしたいと直訴して今回の主演が決まったという河合は、「私が俳優始める前の18歳の時に観客として監督の『あみこ』を観たことがあって、(俳優を)志していたので、一緒にやりたいですということを伝えていた」という。「そこから5年くらいたって、連絡先も知らず、会ったこともなかったんですけど、今回一緒に映画ができることになって、ずっと一緒に撮影ができることと、こうして完成して皆さんに届けられることを楽しみにしていた作品でした」と振り返った。

山中監督は、「お手紙をいただいて、この5年間によく見かけるようになって、約束はまだ効いているのかなと思っていて、とても素晴らしいので一緒にできたら嬉しいなと思っていたんですけど、脚本を書くのに時間がかかってしまって、かなりお待たせしてしまった」といい、実現して「感無量と初めていいたい気持ちです」と笑顔になった。

河合演じる自由奔放なカナが交際する「自信家で刺激的な恋人ハヤシ」(金子)と「優しいけれど退屈なホンダ」(寛一郎)という対照的な役柄について、金子は「自分がどの役をやるかわからない段階で台本を読んで、その時は勝手に俺はホンダやるんだと思っていた。すごく共感できるというか、人間味があって」という。

「ナミビアの砂漠」ジャパンプレミア 山中瑤子監督、河合優実、金子大地、寛一郎登壇
寛一郎

寛一郎は、「退屈な男というのは僕から来たんじゃないかな」といい、「ネガティブな意味じゃなくて事故卑下しているのではないです」と説明すると、河合は「寛一郎さんのことを退屈な人と思ったことは全くないです」とフォロー。山中監督も、「寛一郎さんは本当に素晴らしくて、ホンダという役にかなり奥行きと立体感を与えてくれた」と称賛した。

フランスでは20代の若者からとても共感を集めたという。日本でも試写を見て、「これは私のことかと思った」「言葉には言い表せない感情の解放度が高くて他人とは思えない」という女性の感想や、泥酔して帰宅してホンダがかいがいしく介抱したり、ハヤシとうまくいかなくなりものを投げつけたり蹴ったり暴力をふるうシーンなどもあり、男性からは「カナが彼女だったら大変」という感想もあったという。

「ナミビアの砂漠」ジャパンプレミア 山中瑤子監督、河合優実、金子大地、寛一郎登壇
山中瑤子監督

河合は、「映画に出てくる主人公のキャラクターとしてとても面白いと思って入っていったので、共感できる出来ないという軸では考えていなかったし、自分と似てるとも思わないですけど、ポイントポイントでは理解できる所とか、すごく気持ちが分かるというところもありますね」という。
具体的には「監督と話して私の要素をかなり敷衍した所ですが、話を聞いていないところです」と明かした。監督は「脚本を書く前にヒントを得たくて、何度かお話しさせてもらった時に、自分の嫌なところはありますかと聞いたら、人の話を聞いていないと言ってました。でも聞いていないというのを周りの人は気づかないと思います」といい、河合は「そうですね」と言って笑わせた。

さらに、役柄のハヤシとホンダの話になり、金子は「ハヤシもホンダも共感できるところはあります」という。「ハヤシなんですけど、ほんとにイラっとするときもあるというか、カナに対して。ハヤシもイラつくし俺もイラつくし…」と、感情の赴くままに言動するカナに対する独特な思いを告白した。
寛一郎は、「僕も同じですよ。ハヤシにも共感するところはあるし、ホンダにも」といい、「いい具合に男性を描いているんですよ、監督すごいなと思って」と感心した。
監督は、「2時間を超える長編映画は初めてなので、私だけの脳では書ききれないと思って、いろんな人の話を聞きに行って、スタッフとか友人とか知らないカップルとか話を聞いて、具体的にエピソードとしてとらえさせている個所も結構ある」と明かした。

その後、フリップトークになり、カナが意地悪で嘘つきで暴力的だけどみんなが夢中になるという役柄にちなんで自分にキャッチコピーをつける事になり、金子は「陽気な小心者」、寛一郎は、「天邪鬼でわがままな飽き性」と書いた。河合は、「プロクラスティネーター」と聞きなれない言葉を書き、「家族に教わったんですけど、先延ばし癖がある人のことを呼ぶらしいです」と明かした。

最後に河合が代表して、「『ナミビアの砂漠』は、私もすごく思い入れのある作品ですし、ここに立っているキャストと監督とスタッフの皆もすごく作品への愛が強くて、楽しく自由につくった映画なので、こういう風に多くの皆さん居見てもらえる機会があって、本当に光栄なことだと思います。皆さんも見る時は心をまっさらにして、それぞれの楽しみ方で楽しんでもらえれば、きっとびっくりしてもらえる映画になっていると思います。最後まで楽しんでください」と締めくくり大きな拍手とともに舞台挨拶が終了した。

「ナミビアの砂漠」ジャパンプレミア 山中瑤子監督、河合優実、金子大地、寛一郎登壇
「ナミビアの砂漠」の場面写真
「ナミビアの砂漠」ジャパンプレミア 山中瑤子監督、河合優実、金子大地、寛一郎登壇
カナとハヤシ
「ナミビアの砂漠」ジャパンプレミア 山中瑤子監督、河合優実、金子大地、寛一郎登壇
カナとホンダ

 【クレジット】
監督・脚本:山中瑶子
出演:河合優実 金子大地 寛一郎 新谷ゆづみ 中島歩 唐田えりか 渋谷采郁 澁谷麻美 倉田萌衣 伊島空 堀部圭亮 渡辺真起子
製作:『ナミビアの砂漠』製作委員会 企画製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2024『ナミビアの砂漠』製作委員会
公式サイト happinet-phantom.com/namibia-movie 公式 X @namibia_movie
2024年9月6日(金)TOHOシネマズ日比谷 全国ロードショー