トランプ大統領がCNN記者に「無礼で恐ろしい人物だ」罵倒して取材証を没収

(2018年11月8日)

  • トランプ大統領
  • ジム記者(左)と大統領のバトルを報じる 米紙ニュヨーク・デイリーニューズ(電子版)

トランプ政権の信任を問う米中間選挙が6日行われ、上院は共和党が過半数を維持したものの下院は民主党に8年ぶりに奪還され“ねじれ議会“での再スタートとなった。それでも「今夜はとてつもない勝利だった」とツイッターで勝利宣言したトランプ大統領。

そうしたなか、7日に行われたホワイトハウスでのトランプ大統領の記者会見で厳しい質問をしたCNNの記者を罵倒したという。米紙ニュヨーク・デイリーニュース(電子版)が記者会見の模様の動画付きで一部始終を報じた。

CNNのジム・アコスタ記者は、中米諸国から北上してメキシコを経由して米国に向かっている移民キャラバンの問題について、大統領が「invasion」(侵略)と呼んでいることについて侵略ではないし数百マイルも離れているなどと質問。これに対して大統領は「違法に入国しようとしている。プロセスが問題だ。君とは意見が違う」などと反論。さらにジム記者が質問を続けると、「もういいだろう」と繰り返して「マイクを下ろせ」と命令。

ジム記者が、さらに大統領選挙でのロシアの介入疑惑について質問すると「CNNは君を雇っていることを恥じるべきだ。君は無礼で恐ろしい人物だ」「君のサラ・ハッカビー(ホワイトハウスの報道官)の扱い方は恐ろしい」「フェイクニュースを流すCNNは民衆の敵だ」でなどとまくし立てた。ホワイトハウスのスタッフの女性がジム記者からマイクを取り上げようとすると記者はそれを拒否するなど会見は大混乱になった。

ジム記者は「ホワイトハウスから出入り禁止にされた」とツイート。取材用の入館証を警備員に取り上げられる様子を撮影した動画も投降した。 会見後サラ報道官はツイッターで「トランプ大統領は報道の自由を信じているし、厳しい質問も歓迎している」などと釈明して、ジム記者が女性スタッフにマイクを渡すのを拒否したときに「非道で軽視する」扱いをしたと非難した。

ジム記者はサラ報道官のコメントは「うそだ」とやり返した。CNNは、ホワイトハウスの入館証を取り上げたことに対して「今日の記者会見での彼の挑戦的な質問に対する報復だ」と反発。「サラ・サンダース報道官の釈明は虚偽だ。彼女はありもしないことを言っていて詐欺的な言いがかりだ」と痛烈に批判。さらに「この前代未聞の決定は民主主義と国を良くしようとすることに対する脅威だ。われわれはジム・アコスタを全面的にサポートする」と表明した。 トランプ大統領は以前からCNNなど批判的な報道をするメディアを公然と「フェイクニュース」と言っていたが、今回のトラブルでCNNとトランプ大統領の”バトル”はさらにエスカレートしそうだ。それにしても自分に批判的な質問をされて逆上し記者を罵倒してホワイトハウスに出入り禁止にする大統領は前代未聞だが”トランプ流”は止まりそうもない。