「NO LIMIT,YOUR LIFE ノー リミット,ユア ライフ」公開記念舞台挨拶 武藤将胤、武藤木綿子、毛利哲也監督登壇

(2023年6月26日11:00)

「NO LIMIT,YOUR LIFE ノー リミット,ユア ライフ」公開記念舞台挨拶 武藤将胤、武藤木綿子、毛利哲也監督登壇
舞台あいさつに登壇した左から毛利哲也監督、武藤将胤、武藤木綿子

ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患った武藤将胤(むとうまさたね)と、発病を知った上で結婚した妻・木綿子(ゆうこ)が、愛と科学で病に立ち向かう姿を描くヒューマンドキュメンタリー「NO LIMIT,YOUR LIFE ノー リミット,ユア ライフ」(23日公開)の公開記念舞台挨拶が25日、都内で行われ、武藤夫妻と毛利哲也監督が登壇した。

2021年8月、東京パラリンピック開会式。車いすの少女が演じる「片翼の小さな飛行機」の物語で、ド派手な衣装をまとい、布袋寅泰らを乗せたデコトラの運転席に座りパフォーマンスを繰り広げた武藤将胤。全ての人が自分らしさを表現し、生き続けられる「BORDERLESSな生き方」を世界へ発信した。イベントに明け暮れた学生時代。社会を明るくするアイデアを形にするため大手広告会社に就職。広告プランナーとなり順風満帆の人生が続くと思っていた。妻・木綿子と初めて会った日、手の震えが始まっていた。27歳の時、全身の筋肉が徐々に動かせなくなる進行性の難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断。「俺の人生は終わるのか—」絶望しかけたその時浮かんだのは、患者たちの未来を明るくするアイデアを形にする事。病気の啓発と、最新テクノロジーを使った活動を開始した。同作は、そうした武藤の闘病と「ノーリミット」な活動、それを支える木綿子さんの姿などを描いた感動のドキュメント映画になっている。

武藤は「みなさん、おはようございます。WITH ALS代表の武藤将胤です。僕らの映画を観に来ていただけて今日は本当にありがとうございます。皆さんに本当に感謝です」と挨拶。
武藤さんの闘病を支える妻・武藤木綿子さんは「この映画は本当に私たちの夢だったので、撮影に関わってくださった皆さん、陰で支え続けてくださったヘルパーの皆さん、そして長年私たちを支えてくださった多くの皆様のおかげです。ありがとうございました」と挨拶した。

毛利監督は「お二人には私のしつこい取材にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。その時は取材の延長上にまさか、映画があるとは全く思っていませんでした。ご病気になられても、もう一瞬一瞬を大切にされている武藤さんの姿勢に本当に影響を受けました。6年間ALSが治る日を信じた結果が今日につながったと思います。この映画が一つのエールになればと思っています。ありがとうございます」と挨拶した。

映画の宣伝プロモーションと同時にALS啓蒙イベントMOVE FES.開催と多忙を極めていた武藤さんは、映画の公開を迎えた事に対し「今日まで怒涛のスケジュールで走り続けてきましたが、不思議なもので多くの人達の応援を背負っていたので、僕を何倍も強くしてくれて、どれだけ過酷でも頑張ることが出来ました。それも本当に支えてくださった皆さまのお陰です」と、製作に携わった監督・スタッフ・関係者への御礼を述べた。

そんな武藤さんを一番近くで見てきた木綿子さんは「過酷なスケジュールで私は体のことが心配になるんですが、彼の一番のファンなので、好きなことをやって思いっきり生きてほしいほしいと思っているんです。心配ではありますが、応援していました」と語る。

そんな妻・木綿子さんに対して武藤さんから「僕にとってはよき理解者で、僕が人生をかけて必ず幸せにすると決めている相手です」と日頃の感謝を伝えられると、木綿子さんは涙ぐみながら「この人とALSとわかっていても結婚することを決めたのは、この人なら世界を変えてくれるのではないか、何かをやってくれるのではないかと思ったからなので、これからも一番近くにいたいと思っています」と述べた。

映画を撮る上で気を付けた点について質問された毛利監督は「武藤さんを伝えるということはALSを伝えるという意味合いもあるので、現実を伝えるというのは私にとってもつらいというシーンも沢山ありましたが、なるべくリアルに伝えたいという思いがあり、なるべくお二人には過去のことをインタビューでお答えいただくというよりも今の会話を重視して伝えていようと思っていたので、朝から晩までカメラをまわさせていただきました」と明かした。

毛利監督とのエピソードについて武藤さんは「僕は仕事モードになると深夜まで頑張ってしまうので、毛利監督には夜遅くまで付き合ってもらったりしたことも沢山ありましたね」と、毛利監督と一緒に当時を懐かしそうに振り返った。木綿子さんは「体の心配をするのと同時に、彼には頑張ってほしいという葛藤があるんですけど、そういった時にも監督には相談させていただいたり、私たちの家族の様な存在でした」と語る。

舞台挨拶終盤には、武藤さんから妻・木綿子さんの妊娠が発表され花束が贈られ、「なかなか勇気が出ず、介護をしながら子供を育てられるのかというのが不安だったのですが、介護の皆様などからの支えがあって子供を授かることが出来ました」と語り、会場からは温かい拍手が巻き起こった。最後に、武藤より「これからも僕は人生をかけて僕らの人生に限界なんてないんだというメッセージを表現し続けていきます。これからも僕らの挑戦に応援を宜しくお願い致します。また、皆さんの挑戦にも限界なんてありません。本日はありがとうございました」と締めくくり、イベントは幕を閉じた。

【STORY】
全身の筋肉が徐々に動かせなくなる難病ALSと闘うクリエイターの武藤将胤さん。妻・木綿子さんに支えられながら数々の困難を乗り越え、病気の啓発やアパレル、そして仲間とともに「目」で音楽と映像を同時に操るシステム開発や「脳波」で意志を伝える研究など最新テクノロジーを使った活動に挑戦。不足する介護人材の育成にも力を入れる。さらに病気が進んで声を失ってもAIによる合成音声や「目」でコミュニケーションが取れる装置を駆使して、その活動は限界を超えて加速していく。ハンディキャップを抱えていても、誰もが自由に表現し、生きることができる社会を目指して。そして、難病ALSが治せる日が来ると信じて…。

【見どころ】
武藤さんが広告代理店に勤めていた頃から、木綿子さんと出会い交際する中でASLが発症し、それを承知の上で結婚。そして次第に病状が進行し重症化するなかで、武藤さんの絶望をのり越えてのALSとの壮絶な闘病と、それを支える木綿子さんの献身的な行動などが克明に記録されている。それだけでなく、最先端のテクノロジーを駆使して、武藤さんの声を再現するシステムや、目の動きで言葉を伝える装置だけでなく、DJやVDJを可能にする装置や、在宅で分身ロボットを操作して遠隔地のカフェで働くことを可能にするなど、様々な開発者が武藤さんに寄り添い、革新的な技術を開発していき、武藤さんがDJやVDJに挑戦し海外でもライブを行い成功するなど、アーティストとして活躍する姿も描かれている。将来のASL治療の可能性もうかがう、まさに「ノー・リミット」のメッセージが伝わってくる感動的でアメージングなドキュメントになっている。

【作品情報】
映画「NO LIMIT,YOUR LIFE ノー リミット,ユア ライフ」はT・ジョイPRINCE品川、T・ジョイ梅田にて先行公開中。7月7日より丸の内東映ほか全国順次公開。
武藤将胤 武藤木綿子 ナレーション:石原さとみ
企画:河野太一 演出・プロデューサー:浦本 勳 プロデューサー:大黒和典
監督:毛利哲也 協力プロデューサー:白倉由紀子 遠藤英明 宣伝プロデューサー:泉谷 裕
制作プロダクション:フレックス 製作:テレビ朝日 フレックス 配給・宣伝:東映エージエンシー
2023年/カラー/5.1ch/16:9/1時間39分/©2023テレビ朝日・フレックス  www.masatane.toeiad.co.jp