映画「バカ塗りの娘」青森県大ヒット御礼舞台挨拶 王林が登壇

(2023年10月2日11:45)

映画「バカ塗りの娘」青森県大ヒット御礼舞台挨拶 王林が登壇
登壇した王林(1日、青森県弘前市の映画館で)

伝統工芸・津軽塗をテーマに、オール青森ロケで撮影された映画「バカ塗りの娘」(公開中)の「青森県大ヒット御礼舞台挨拶」が1日、青森県弘前市で行われ、青森出身のタレント王林がゲストで登壇した。

海外では「japan」と呼ばれることもある“漆”。 漆は時代を問わず、工芸品、仏像、社寺建築、芸術品など日本の歴史と文化を象徴するものに使用され、世界中の人々を魅了する。耐久性があり、たとえ壊れてしまっても修理してまた使うことができる漆器は、昔から日本人にとって大切な日用品として私たちの暮らしに寄り添ってきた。本作はその中でも、青森の伝統工芸・津軽塗をテーマに描かれる物語。

津軽塗職人を目指す娘・美也子と寡黙な父・清史郎が、漆や家族と真摯に向き合う姿を、四季折々の風景や、土地に根付く食材と料理、そこに生きる人々の魅力を織り交ぜ描く。主人公・美也子役に堀田真由。将来への不安やほのかな恋心に揺れる等身大の女性をたおやかに演じる。塗職人の父・清史郎には、日本映画界には欠かせない俳優、小林薫。二人は実際に地元の職人から津軽塗の技法を教わり撮影に挑んだ。監督は、初長編作『くじらのまち』でベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭などで高い評価を得たのち、西加奈子の小説『まく子』の映画化も手掛けた鶴岡慧子。つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘が、津軽塗を通して家族の絆を繋いでいく。

伝統工芸・津軽塗をテーマに、オール青森ロケで撮影され、公開されると全国で「津軽塗の美しさに感動した」など、絶賛する感想が続々と寄せられたという。また、本作は、第18回カメラジャパン・フェスティバル、第42回バンクーバー国際映画祭など海外映画祭も続々決定した。

そうしたなか、青森での大ヒットを受けて、本作にも出演している青森出身の王林をゲストに迎え舞台となった弘前市で舞台挨拶が行われた。

この日観客と一緒にスクリーンで本作を鑑賞した王林は「感動して涙が出ました。津軽塗の物語ですが、家族の話でもあり、人との関わり方や将来に悩んでいる方へのメッセージもあり、こんなにたくさんの要素と言葉で想いを伝えてくれる映画だということを改めて知ることができて、このような作品に出演することができて嬉しいです」と語った。

監督が特にこだわったという津軽塗の工程シーンに「津軽塗が完成するまでに工程に感動した」「津軽塗の“音”がとても胸に響いた」「津軽塗シーンが良かった」など声が多く寄せられているという。王林は、「私のお祖父ちゃんが実際に津軽塗の職人さんでした。いつも見ていた光景や聞いていた音がぎゅっと詰まっていました。幼い頃なので確かな記憶でなかったのが、この映画を観た瞬間にお祖父ちゃんが黙々と作業していたときの姿など色々思い出してきました。お祖父ちゃんは今も元気で過ごしていますが、津軽塗職人としての姿はもう見ることができないので、清史郎とお祖父ちゃんの姿が重なり、とても懐かしい気持ちになりましたし、津軽塗の奥深さをリアルに伝えてくれた作品だなと感じました」と自身の思い出もまじえて、本作で描かれる津軽塗シーンの魅力をアピールした。

やりたいことをなかなか言い出せない優柔不断な美也子・子供たちと上手く向き合うことのできな不器用な津軽塗職人の父清史郎、家業を継がないと決め自由に生きる道を選んだ兄のユウ、それから美也子の背中を押してくれたユウのパートナーの尚人。本作には様々な登場人物がでてくるが、家族の描き方については「美也子にとって小さい時から津軽塗が傍にあって、父・清史郎とは言葉の会話ではなく、津軽塗で会話しているような感じがしました。そして津軽塗があることで、どれだけ家族がバラバラになってしまっても、津軽塗が家族を繋いでいるんだなということを強く感じました。自由奔放に生きている部分であったり、兄妹の関係性だったり、個人的にはユウに似ているのかなと思います。まるで自分を見ているかのようで共感したり、もどかしさを覚えるシーンもあったり、簡単に言葉にできないけど、家族ってこういうものだよなというものを見させてもらえた気がします」。

青森を舞台にする映画ということで、出演のオファーを受けた王林。その活動の根底には、「青森の伝統工芸・文化を全国に広めたい」という強い想いがある。その一環で今年、「What Is Heart(わいは)」というアパレルブランドを立ち上げた。「今日来ているこのワンピースもWhat Is Heart(わいは)です。これは私のお祖父ちゃんが実際に塗った津軽塗の錦塗の柄をデザインしたものです。お祖父ちゃんが津軽塗を辞めるときに、色々なものを手放していったので、お祖父ちゃんの塗りを形として残していきたいと思いました。私自身が津軽塗職人になれなくても、このような形で、津軽塗を知らない方々にも、津軽塗を知ってもらえるきっかけを作ることができればと思っています。出来上がった服をお祖父ちゃんにも持っていきましたがとても喜んでくれました。新しい津軽塗の魅せ方ができたのかなと思います」と自身のブランドに込めた想いを語った。 「青森がとにかく好きで、青森のことを全国に広めたいという想いで芸能活動をしています。これからも青森の魅力を色んな角度から発信していきたいです」と青森愛を爆発させた。

映画「バカ塗りの娘」青森県大ヒット御礼舞台挨拶 王林が登壇
「バカ塗りの娘」の堀田真由㊨と小林薫

【ストーリー】
青木家は津軽塗職人の父・清史郎と、スーパーで働きながら父の仕事を手伝う娘・美也子の二人暮らし。家族より仕事を優先し続けた清史郎に母は愛想を尽かせて出ていき、家業を継がないと決めた兄・ユウは自由に生きる道を選んだ。美也子は津軽塗に興味を持ちながらも父に継ぎたいことを堂々と言えずにいたが、花屋で働く青年・尚人との出会いをきっかけに、漆を使ってある挑戦をしようと心に決める。しかし不器用な清史郎は津軽塗で生きていくことは簡単じゃないと美也子を突き放す。それでも周囲の反対を押し切る美也子。その挑戦が、バラバラになった家族の気持ちを動かしていく――。

【クレジット】
出演:堀田真由 坂東龍汰 宮田俊哉 片岡礼子 酒向 芳 松金よね子 篠井英介 鈴木正幸 ジョナゴールド 王林 木野 花 坂本長利 小林 薫
監督:鶴岡慧子 脚本:鶴岡慧子 小嶋健作
原作:髙森美由紀「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター刊)
企画プロデュース:盛 夏子 プロデューサー:遠藤日登思 松岡達矢 福嶋更一郎
ラインプロデューサー:大川哲史
撮影:髙橋 航 照明:秋山恵二郎 録音:髙田伸也 音響効果:齋藤昌利 美術:春日日向子
装飾:松尾文子 衣裳:藪野麻矢 ヘアメイク:光岡真理奈
編集:普嶋信一 音楽:中野弘基 スクリプター:押田智子 スチール:蒔苗 仁 助監督:栗本慎介
製作:「バカ塗りの娘」製作委員会 制作プロダクション:アミューズ映像企画製作部 ザフール
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
2023年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/118分
●公式サイト:https://happinet-phantom.com/bakanuri-movie/
●公式X/Instagram:@bakanuri_movie
絶賛公開中

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映画「おしょりん」完成披露上映会 北乃きい、森崎ウィン、かたせ梨乃、小泉孝太郎、児玉宜久監督登壇

(2023年10月2日10:30)

映画「おしょりん」完成披露上映会 北乃きい、森崎ウィン、かたせ梨乃、小泉孝太郎、児玉宜久監督登壇
登壇した㊧から児玉宜久監督、小泉孝太郎、北乃きい、森崎ウィン、かたせ梨乃(1日、都内で)

人生を懸けてメガネ作りに挑んだ人々の情熱と愛の物語『おしょりん』の完成披露上映会が1日、都内映画館で実施され、北乃きい、森崎ウィン、かたせ梨乃、小泉孝太郎、児玉宜久監督が出席した。

日本眼鏡関連団体協議会が1997年にメガネ愛用者に感謝の気持ちを表すために制定した「メガネの日」(10月1日)にちなんで『おしょりん』の完成披露が行われた。

明治時代に福井で眼鏡産業の礎を築いた増永五左衛門、幸八兄弟の挑戦と、2人を支え続けた五左衛門の妻むめの姿を描く本作。むめ役の北乃は「実在された方を演じるプレッシャーはあったけれど、リスペクトを忘れず、むめを生き抜きたいと思い、ロケ地・福井ですべてを出し切りました!」と熱演を報告。約1か月の福井ロケを振り返り「地元の皆さんのご協力のお陰でケータリングも福井名物を頂いたりして、空気から人から食べ物まで福井を感じて福井の人を演じることが出来ました」と地元民の支援に感謝していた。

増永幸八役の森崎は、劇中で演じた増永兄弟が創業した増永眼鏡が作ってくれたというメガネをかけて登壇。「どうしても今日この日にかけたくて」とすっかりお気に入りのようだが、ややレンズに色が入っていることからワイルドな雰囲気に!?それだけに「この映画の時とは全然違う感じになってしまって…。森崎ウィンは怖い人ではありません。この映画では一滴も血は出ません」と苦笑いで釈明し、笑いを誘った。
森崎は主題歌『Dear』も担当しており、「自分が出る映画の主題歌を歌うという夢の一つを叶えられたことに感謝です。映画を邪魔せず、寄り添えるような楽曲になったらいいと思って鼻と頭と眉間の間から抜けるような声を意識しました」とレコーディングを振り返った。

増永五左衛門役の小泉は、同じ横須賀市出身の北乃との共演に「北乃さんは僕を呼ぶときに、下から上がってくる感じのイントネーションで“小泉さあん、元気ですかあ”と言う。子供時代の横須賀にはそんな福井弁のようなイントネーションのおじいちゃんおばあちゃんがいたなと思った。福井弁は耳触りが良くて、2人のシーンも壁を感じず、すっと馴染んだ」と手応えを得ていた。

増永せの役のかたせは、福井の新鮮なおもてなしに感激。「ロケ弁をホテルに持ち帰ってレンジで温めたら、カッチコチ。よく見てみたら保冷剤と一緒にお刺身が入っていた。お刺身がお弁当に入っているなんて東京では考えられない。それだけ新鮮なお魚を食べられる場所なのかとビックリしました」。

またメガネづくり&ものづくりに情熱をささげた職人の姿を描いている本作にちなんで、一番情熱を捧げたものや熱中したものをそれぞれが発表した。
児玉監督は「模型飛行機作り」、かたせは「水泳」と返答。一方、小泉は「俳優業」といい「熱中したり一度も飽きたことがないのがこの仕事。一定期間作品の中に生きられることが嬉しい。どんなに朝が早かろうが嫌な気持ちにならない。演じることに飽きたことがない」と天職だと実感していた。
13歳から芸能界で活躍している北乃も、小泉と同じ「俳優業」を熱中しているものに挙げて「現在進行形でずっと熱中して続いている。それ以外に熱中しているものがない」と打ち明けた。
そして“オチ”担当となった森崎は「無洗米」といい「どんなに忙しくても自炊するようになり、最近になって炊飯器を買いました。無洗米は水質保全や節水の点から考えてSDGs。時短にもなるし、是非とも無洗米をよろしくお願いいたします」とメガネ以上に無洗米をPR。

最後に主演の北乃は「諦めない姿、夢を追って努力し続ける姿がピュアに描かれている物語です。それを支える女性たち、家族愛、友情、夫婦愛が描かれています。チャレンジしようとしている人の背中を押してくれるような映画であり、福井に行きたいと思ってもらえるような映画です。素敵な映画が完成しました!」と笑顔で呼び掛けていた。

映画「おしょりん」完成披露上映会 北乃きい、森崎ウィン、かたせ梨乃、小泉孝太郎、児玉宜久監督登壇
「おしょりん」のポスタービジュアル

【ストーリー】
時は明治37年、福井県足羽郡麻生津村(現・福井市麻生津)の庄屋の長男・増永五左衛門(小泉孝太郎)と結婚したむめ(北乃きい)は、育児と家事で忙しい日々を送っていた。ある日、五左衛門の弟の幸八(森崎ウィン)が勤め先の大阪から帰郷し、村をあげてメガネ作りに取り組まないかと持ち掛ける。今はほとんど知られていないメガネだが、活字文化の普及で必ずや必需品になるというのだ。成功すれば、冬は収穫のない農家の人々の暮らしを助けることができる。初めは反対していたが、視力の弱い子供がメガネをかけて大喜びする姿を見て、挑戦を決めた五左衛門は、村の人々を集めて工場を開く。だが、苦労の末に仕上げたメガネが「売り物にならない」と卸問屋に突き返され、資金難から銀行の融資を受けるも厳しく返済を迫られ、兄弟は幾度となく挫折する。そんな二人を信じ、支え続けたのが、決して夢を諦めない強い心を持つむめだった。彼女に励まされた兄弟と職人たちは、“最後の賭け”に打って出る──。

【作品情報】
出演:北乃きい 森崎ウィン 駿河太郎 高橋愛 秋田汐梨 磯野貴理子 津田寛治 榎木孝明 東てる美 佐野史郎 かたせ梨乃 小泉孝太郎
監督:児玉宜久 原作:藤岡陽子「おしょりん」(ポプラ社)
脚本:関えり香 児玉宜久 エンディング曲:MORISAKI WIN「Dear」(日本コロムビア)
製作総指揮:新道忠志 プロデューサー:河合広栄
ラインプロデューサー:川口浩史 撮影:岸本正人 照明:桑原伸也 録音:林昭一 整音:瀬川徹夫 記録:目黒亜希子 編集:村上雅樹
美術:黒瀧きみえ 装飾:鈴村高正 衣装:田中洋子 ヘアメイク:西村佳苗子 助監督:宮﨑剛 制作担当:相良晶
制作プロダクション:広栄 トロッコフィルム 配給:KADOKAWA 製作:「おしょりん」制作委員会
©「おしょりん」制作委員会
10月20日(金)、福井先行公開 11月3日(金、祝)、角川シネマ有楽町ほか全国公開