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映 画
「未体験ゾーンの映画たち2024」のとっておき情報
(2023年1月29日10:00)
映画評論家・荒木久文氏が「未体験ゾーンの映画たち2024」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、1月22日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 今年も恒例の映画イベント紹介をしていきたいと思うんですが、ダイちゃんにはずっとおなじみの「未体験ゾーンの映画たち2024」。
鈴木 きた!ああ!もうそんな時期か。
荒木 そうなんですよ、2024ですね。毎年ご紹介していますけど、映画はいろんな理由で…、
例えば大物俳優が出演しないとか、公開が見送られてしまうものが多いんですね。
鈴木 なんてもったいないんだろう。
荒木 もったいないですよね。その中には面白い傑作だったり、怪しい映画、怪作があるんで。
そんな映画を是非スクリーンで見てもらいたいという思いで開催されるのが、このイベントなんです。渋谷を中心なんですけど、見ないのはもったいないよ映画祭と言っていいでしょうね。今年も各国のあらゆるジャンルから厳選された、24本。
鈴木 24本!
荒木 1月19日(金)から3月21日(木)までの9週間にわたり、東京・渋谷のヒューマントラストシネマ渋谷で開催されます。13回目ですね。
鈴木 おなじみの映画館でもあります。
荒木 そうなんですよね。今日は1月から2月にかけての前半に上映する作品から、いくつかご紹介しましょう。
まず、1月19日からもうやってるんですが、「オン・ザ・フロント・ライン 極限戦線」。
これ、ロシア・ウクライナの戦争の映画ですね。ウクライナ全面協力の実話戦争アクション超大作だそうです。もちろんウクライナ制作で、リアルですね。
他にも『シミュラント 反乱者たち』というSF作品があって、同じく19日より上映中「アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション」というのがあります。
これ、フランスで3週連続No.1大ヒットだそうです。ダイちゃんおなじみのシティ・ハンターを、フランスで実写化した映画の監督が主演を務めているんです。フィリップ・ラショーさんていうんですけどね。
ストーリーは、依頼人のアリバイを作る会社「アリバイ・ドット・コム」の社長が、グレッグさんていうんですけど、恋人との結婚に向けて会社を廃業したんですね。
まともになろうと思って、平穏な日々を過ごしていたんですが、結婚式の準備に入った彼の前に、両親の顔合わせという最大の難関が迫るんです。
というのは、彼の父親は詐欺師で、母親は現役ポルノ女優ということで、彼は2人の身勝手な行動に昔から悩まされていたんですね・・・相手の両親なんかに会わせられないということで、元同僚を呼び戻して「アリバイ・ドット・コム」を再結成するんです。
顔合わせには偽の両親を用意し、自分の両親には偽の婚約者を会わせようとする…。ま、よくあるシュチュエーションなんですが、吉本新喜劇ぽいね。喜劇の王道のフォーマットですね。スピード感もあり、小ネタのオンパレードで、下ネタもたっぷりで、と言っても前の作品よりは少し少ないんですけど、笑いのツボは世界各国どこでも同じって感じですよね。
鈴木 ロードショーでやりゃあいいのにねー。
荒木 そうなんですよ。カラーは本当に綺麗で面白かったですよね。フランスのシャレの利いたコメディ映画、とても貴重ですね。「アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション」という作品です。
翌週1月26日、『プッシーケーキ』という…。
鈴木 えー!?
荒木 ちょっと珍しい、アルゼンチン発のホラーですね。人気低迷中の女性ロックバンド「プッシーケーキ」っていうグループが、人気回復を図るべくライブツアーを企画するんです。しかし到着した会場には誰もいなくて、彼女たちを予想もしていなかった恐ろしい事態が待ち受けているという…。音楽も絡んでます。
アルヘンティーナ・ガールズロックバンド、どんなものかね…興味深いですね。
そして目玉ですね、「犬人間」。珍しいノルウェー映画です。
ちょっとストーリーご紹介します。女子大生のシグリッドは、デートアプリで若くて超ハンサムな、しかも億万長者のクリスチャンと出会うんです。お互い好意をいだいてすぐ恋人のような付き合いを始め、彼のすごい屋敷や別荘に招待されてですね、見ると、なんと彼の家には、犬の着ぐるみを着て常に完全に“飼い犬”として振舞う男、フランクがいるんです。彼、完全に犬なんです。大マジメに犬のコスプレで、犬として過ごしているんです。クリスチャンも彼を完全に犬として扱っているんです。この犬人間って一体何なのか、このかっこいい若い大金持ちはどんな人間なのか?と、戸惑うシグリッドなんですが・・・。
前半と後半が、まるで別の映画を見ているようで、いわばジャンルが違うような映画を見ているような気になりますね。ずーと緊張感が途切れないんですよ。
鈴木 疲れますね、それちょっと…。
荒木 疲れますが、面白いね。ノルウェーの恐怖映画っていうか、超イケメン大金持ちのクリスチャンのやさしい微笑みが、だんだん不気味に見えてくる怖さがなかなかのものですよ。
鈴木 サスペンスというよりホラーなんですか?
荒木 ホラーだね。最後は思いがけない結果になるというか…ですね。これも目玉のひとつです。「犬人間」、26日からです。
2月2日から上映の中では、「DIVE/ダイブ 海底28メートルの絶望」。
ダイビング中の2人の姉妹が突然落石に見舞われて、姉は回避できず、海底28m下に閉じ込められ身動き出来なくなります。タイムリミットは25分。妹は姉を助けられるのか…という。ドイツ映画です。
鈴木 25分…、タイムリミット。
荒木 たぶんね、空気が、酸素を吸う時間がそうなんでしょうね。海底ものです。
それから、スティーブン・キングものがあったり、「エレベーター・ゲーム」という都市伝説ゲーム、異世界へ繋がる恐怖のゲームというのがあったりですね。
鈴木 面白そうなのばっかりじゃないですか!
荒木 あと、「オーシャン・クライシス ~沈黙の核弾頭~」という、中国映画ですかね。
テロ集団が、冷戦時代に海底に残された核爆弾を引き揚げ、環太平洋地震帯で核爆弾を爆発させるテロ計画を入手した中国の国安局と海軍が、テロ先鋒チームを作って動き出す!という中国映画なんですよ。
鈴木 なんか映画のタイトルからして、スティーブン・セガールが出て来そうな感じですね。
荒木 そんな感じですよね。沈黙ってつくとそうなっちゃうね。
そして2月2日から、「エイリアン・コップ」って聞いたことありますか?
鈴木 聞いたことあります。
荒木 これ、B級のSFアクションだったんですけど、これが90年代でしたよね、「日曜洋画劇場」なんかでよくやってましたよね。地球へ逃亡して来た極悪エージェントと、それを追う“ピースメーカー”っていう、刑事ですよね。面白そうです。そんなことで、非常に面白い作品…。
鈴木 ばっかりですよね!
荒木 そういう意味じゃ、超A級のB級ですけども、どれも80分くらいから90分くらいの作品で、とても見やすいですよ。
鈴木 さくっと見て、2本、3本、見れちゃうじゃないですか。
荒木 そういうこと!で、いつものように、ヒューマントラストシネマさんから招待券いただいてますので、このての映画が好きな方は是非見に行ってください。
鈴木 いっぱいいますよー!
荒木 そうですよね、動画サービスのU-NEXTで、これもやるそうです。上演終了の翌日より、一部の作品を見られるそうですので。
鈴木 翌日からー!?
荒木 はい。それも調べてください。
鈴木 わかりました。
荒木 今日は、いつものようにお知らせしたのが、例年の「未体験ゾーンの映画たち2024」なんですけど、あともう1本。1月26日公開の「違う惑星の変な恋人」というタイトルの作品をご紹介しましょう。若い監督ですね、木村聡志さんの恋愛群像劇です。恋愛のベクトルが絡み合う三角関係ならぬ、四角関係に陥ってしまった4人の男女の話ですけど。新人の2人と筧美和子さん。そして中島歩さんが出演しているんです。会話劇なんですけど、テイストとしては今泉力哉監督の恋愛映画みたいな。好きだったらすごく受けると思います。取り上げたいのはこの映画に出演している、中島歩さんについてなんですよ。
鈴木 中島歩さん、なかなかイケメンですよね。
荒木 ダイちゃん、ご存じですよね。
鈴木 もちろん、もちろん!
荒木 学校の後輩でしょう?
鈴木 日芸の文芸学科の卒業だから、林真理子さんとか吉本ばななさんの、直の後輩じゃないですか。
荒木 そうですよね。で、186㎝くらいあって、格好いいですよね。
鈴木 格好いいよね~。なんだかな~。
荒木 国木田独歩の玄孫なんですよね。
鈴木 ああ!そうですよね!
荒木 モデルから、朝ドラ「花子とアン」で有名になったんですけど、この人最近、確固たる位置を確立してるんですよ。
鈴木 どんな位置で、どんな確固なんですか?
荒木 そのジャンルは、かっこいいくず男、ダメ男ジャンル。これをやらしたら右に出る者いないですよ。
鈴木 (笑)右に出る者か!
荒木 はい。今回の「違う惑星の変な恋人」でも、かっこよくクズ光線、炸裂してます。ほんと駄目な男で、女にもてて、酷い男。こういう役がハマり過ぎでなんの役やらせてもこの人以外考えられない!
鈴木 私生活は、ダメ男じゃないのか…。どうなの?
荒木 それは違うでしょう。始めはこんなじゃなかったですけど「偶然と想像」あたりからはじまって、「よだかの片想い」でも女に思わせぶりのダメ男だったし、なんといっても見事だったのは「17歳は止まらない」という作品で女子高生を喰いまくっちゃう、モテモテのけだもの教師なんですね。
鈴木 あらっ!あら~。俺、教師やりたかったんだよね、昔。
荒木 この番組でもご紹介した山梨県を舞台にした「さよならエリュマントス」でも、金に汚くて女にもててだらしない芸能マネージャーやっていましたけどね。たまに、真面目な政治家とかの役をやると、もうまとも過ぎて物足りないんですよね。
鈴木 やっぱ、違和感たっぷりになっちゃいますか、見てると。
荒木 そうそう。イケメンだけどテキトー過ぎてダメ男なのに何故か憎めないキャラは、彼は国宝級のクズ俳優といっていいです。もう天下一品です。
鈴木 あはははは。国宝級のクズ俳優!
荒木 そうなんですよ。もっとこの人評価されていいと思うんですけどね。私も映画賞で強く推して、一昨年かな、ノミネートだけさせましたけどね。
鈴木 荒木さんとクズが、過去が共感するんじゃないんですか。
荒木 ちょっと、ちょっと、あなたのお話もしてるのよ。一緒。自分だけクズ関係ありませんみたいな…。
鈴木 私は紹介する側ですからね、そりゃあまあまあ。
荒木 ああ酷いなぁ(笑)。同じ匂いを持ってたから紹介したんですけどね。
鈴木 あはははは。
荒木 ま、本人にはいいことかどうかね。イメージ固まってしまってね。
鈴木 そうだよね。
荒木 それでね、こういうのがいるんですよ、実際に。今回の映画、中島さん演じるベンジーって役なんですけど、わりと抑えめなんですけど、こんな感じの人、レコード業界は特に多いね。それから放送業界。
鈴木 あはははは。控えめなんだけど、クズなんだよね。
荒木 考えてみりゃ、ホントのクズは、昨今どこかの国の政治屋さんで、秘書のせいだとか、会長がやってたことだとかばっかり言ってるあのおっさん達、ほんとにクズですけど、こちらのクズはね、可愛いクズですからね。
鈴木 でも、なんでクズってモテるんですかねー。
荒木 モテるんですよね。モテるでしょう?
鈴木 いや、まぁね、ちょこちょことね…。でも荒木さんほどじゃないよ。
荒木 ダイちゃん凄かったからね、モテてね~。
鈴木 やめなさいよ!ちょっと!そういうこと!
荒木 はい、すいません(笑)。小ネタが全部面白い注目作品です。
鈴木 あはははは。
荒木 「違う惑星の変な恋人」という1月26日の作品ですので、こちらも大変面白いんで、是非見てください。クズ男、観賞するだけでもいいです。
鈴木 なに、最後慌ててまとめようとしてんの(笑)。チケットもありがとうございます。
荒木 これ以上言うと、自分のクズぶりがますますバレますからね。
鈴木 もうやめといた方がいいと思いますよ(笑)。ありがとうございます。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。