「ザ・ファブル」岡田准一が殺し屋役でコメディ&シリアスの”両刀演技“に挑戦

(2019年6月23日)

ザ・ファブル
「ザ・ファブル」(TOHOシネマズ渋谷)

南勝久の同名人気漫画を岡田准一主演で実写映画化した異色のコメディー・アクション映画。CMやTVドラマ、「めんたいぴりり」などの映画を手がけている江口カン。主題歌にレディー・ガガの「ボーン・ディス・ウェイ」を起用した。

どんな相手も6秒以内に殺すという”ファブル(寓話)”と呼ばれる殺し屋(岡田准一)は、彼を幼いころから育ててきたボス(佐藤浩市)に、1年間誰も殺さずに一般社会で普通の生活を送るというミッションを与えられる。その間に誰かを殺したら殺すといわれ、「佐藤明」と名乗り、パートナーのヨウコ(木村文乃)を妹にして、ボスと付き合いがある大阪の暴力団「真黒組」の庇護のもと平和な生活を始める。

街でチンピラに襲われても闘わず殴られて痛いふりをするなど殺し屋としてのスキルを封印し続けるが、世話になった女性ミサキ(山本美月)が拉致されたことから、ヨウコの協力を得て、「誰も殺さずに人質救出」という前代未聞の無謀なミッションに挑戦する。

岡田が伝説の殺し屋役で笑いと凄腕殺し屋の壮絶なアクションの2つの面を使い分けて熱演している。猫舌で熱いものを口に入れるとオーバーなアクションで変顔を見せたり、お笑い芸人にはまってテレビを見て爆笑したり、サンマを頭から食べてしまうなど一般の常識からかけ離れた行動などでさまざまな笑いを取る演技を見せコメディアンとしての才能も発揮。その一方でプロの殺し屋のシリアスな言動や壮絶な殺しのテクニック、激しいアクション、ガンファイトを見せる。これまでの役柄からはかなり異次元の“両刀演技”を見せているのが見どころ。木村文乃も明のパートナーとしてこれまでとは一味違った演技を見せている。

さらにはボス役の佐藤浩市の苦み走った演技、暴力団幹部役で強面演技全開の安田顕、ファブルを狙うフード役の福士蒼汰の切れのあるアクション、そして柳楽優弥が狂犬やくざ役で狂気たっぷりの演技を見せている。さらには向井理が組織内クーデターを狙う武闘派やくざを熱演するなど共演陣のはじけた演技も見逃がせない。
(2019年6月21日公開)