ゴールデングローブ賞主催者、俳優らの政治的発言を懸念 イスラエル・ハマス戦争に言及か

(2024年1月4日12:00)

ゴールデングローブ賞主催者、俳優らの政治的発言を懸念 イスラエル・ハマス戦争に言及か
作品賞(ドラマ部門)候補の㊧から「落下の解剖学」「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」「マエストロ その音楽と愛と」「オッペンハイマー」「パスとライブス 再会」「The Zone of Intarest」(公式サイトから)

ゴールデングローブ賞の主催者は7日(現地時間)にロサンゼルスで行われる第81回ゴールデングローブ賞の授賞式で俳優らが、イスラエルとハマスの戦争について政治的発言をすることを懸念しているという。

米Page Sixによると、ゴールデングローブ賞(HFPA=ハリウッド外国人映画記者協会主催)は、ハリウッドが数か月に及んだ俳優と脚本家のストライキに終止符を打って以来、初のレッドカーペットの祭典となる。そうしたなかハリウッドはイスラエルとハマスの戦争をめぐってイスラエル支持派と親パレスティナ派の対立が起きており、俳優らの受賞スピーチで政治的な発言が行われる可能性が取りざたされている。

ある業界関係者は「ゴールデングローブ賞によって、華やかさと楽しさとハリウッドが世界に戻ってくることを誰もが期待しています。それは本当に必要なことです」という。一方で、別の業界関係者は「誰もが政治的になりすぎないことを望んでいる」と懸念を表明したという。

イスラエルとハマスの激しい戦争が続く中、多くの俳優がこの問題について発言している。ゴールデングローブ賞にノミネートされているブラッドリー・クーパー、セレーナ・ゴメス、ホアキン・フェニックス、クインタ・ブランソン、マーク・ラファロは、10月にバイデン大統領と議会に即時停戦を求める書簡に260人以上のアーティストと共に署名した。

「マエストロ その音楽と愛と」で監督も務め、レナード・バーンスタインそっくりのメイクで熱演したブラッドリー・クーパーは作品賞(ドラマ部門)、主演男優賞、監督賞にノミネートされている。

セレブたちは、ゴールデングローブ賞で自分の意見を表明することをためらったことはないという。2017年、メリル・ストリープ(今年はテレビ部門の助演女性俳優賞(『Only Murders in the Building』)にノミネート)は、セシル・B・デミル生涯功労賞の受賞スピーチでドナルド・トランプに怒りをぶつけた。トランプが記者会見で、障害を持つセルジュ・F・コヴァレスキー記者をあざ笑ったように見えたとき、彼女は「あ然とした」と語った。これに対し、当時次期大統領に決まっていたトランプは、ストリープを「過大評価された女優」「ヒラリーの回し者」と罵った。

2020年、第77回の授賞式では当時の司会者であったリッキー・ジャーヴェイスが「長ったらしい政治演説をしないよう」訴えたが無視されたという。緊張がエスカレートしていた米国とイランの情勢や大統領選挙について言及するなど、政治色の濃い授賞式となったという。ドラマシリーズ「フォッシー&ヴァ―ドロン~ブロードウェイに輝く生涯~」(2019年)で第77回同賞テレビドラマ部門の主演女優賞を受賞したミシェル・ウィリアムズは授賞式の受賞スピーチで中絶の権利について発言した。

イスラエルとハマスの緊張が高まる中、今年も同じようなことが起こるかもしれないという。アカデミー賞主演女優賞受賞者のスーザン・サランドンは先月、イスラエルの攻撃によりガザで多数の市民や子供が犠牲になるなか、ユダヤ人が「この国でイスラム教徒であることがどんな感じなのか味わっている」と発言し、その扇動的な発言で大手事務所から解雇された。

トム・クルーズやマドンナの代理人を務めるCAAのトップエージェント、マハ・ダキルは、SNSでイスラエルとハマスの戦争を「ジェノサイド(大量虐殺)」と呼んだことで非難を浴び幹部職から辞任した。

ハリウッドはイスラエル・パレスチナ戦争をめぐって対立している。スーザン・サランドンは昨年、ユダヤ人に対する扇動的な発言をきっかけに、所属事務所のUTAから解

授賞式にはレオナルド・ディカプリオ、ブラッドリー・クーパー、マーゴット・ロビー、ナタリー・ポートマンといったトップスターたちが集結し、「バービー」や「オッペンハイマー」といったヒット作や、テイラー・スウィフトのコンサート映画「テイラー・スウィフト:THE ERAS TOUR」などがバトルを繰り広げる。

また、テレビ部門では「テッド・ラスボス」のジェイソン・スデイキスからHBOマックスのヒット作「サクセション」のキャストなどTV界の大物も参加する。7日の授賞式は、賞の行方とともに俳優らがどんな受賞スピーチをするのか注目される。