第38回東京国際映画祭開幕
吉永小百合に特別功労賞「これからも映画の道を」

(2025年10月28日10:30)

第38回東京国際映画祭開幕 吉永小百合に特別功労賞「これからも映画の道を」
㊧から阪本順治監督、安藤裕康チェアマン、特別功労賞の吉永小百合、カルロ・シャトリアン審査委員長、のん(©2025 TIFF)

第38回東京国際映画祭(10月27日~11月5日)のオープンニングセレモニーが27日、都内で行われ、吉永小百合に特別功労賞が贈られた。また、吉永主演の「てっぺんの向こうにあなたがいる」がオープニング作品として上映され、吉永とのん、阪本順治監督が登壇した。

吉永の特別功労賞の表彰が行われ、カルロ・シャトリアン審査委員長からトロフィー、映画祭の安藤裕康チェアマンから花束が贈られた。安藤氏は「この賞はライフタイム・アチーブメント・アワードといいまして、生涯にわたって功績を残された方に贈られる賞」と説明。「キューポラの街」などの日活時代の作品から、「てっぺんの向こうにあなたがいる」まで、昭和・平成・令和と120本以上の作品に出演し、「本当に素晴らしい作品で国内外の観客を魅了した」と賛辞を贈った。
吉永は、「素晴らしい賞をいただき本当に有難うございます」と感謝の言葉を述べ、「3年前に私の大好きな先輩の野上照代さんがこの賞を受賞なさったとかがいました。とてもとても光栄に思っています」と黒澤明監督の「羅生門」など一連の作品に記録・編集・製作助手として参加した野上さんが第35回東京国際映画祭で同賞を受賞したことに言及して受賞を喜んだ。そして「これからも一歩一歩、映画の道を歩いて行けましたらと願っております。これからもどうぞよろしお導きください」と語った。

第38回東京国際映画祭開幕 吉永小百合に特別功労賞「これからも映画の道を」
多部さんの写真を帯にあしらった着物を着て登壇した吉永小百合(©2025 TIFF)
第38回東京国際映画祭開幕 吉永小百合に特別功労賞「これからも映画の道を」
㊧から阪本順治監督、吉永、のん(©2025 TIFF)

映画祭のオープニング作品に選ばれた「てっぺんの向こうにあなたがいる」(10月31日公開)の舞台挨拶には、吉永とのん、阪本順治監督が登壇した。着物姿の吉永は、「50年前に女性として世界で初めてエベレストに登られた多部純子さんと一緒にこの夜を楽しみたい」と多部さんの写真を帯にあしらった着物を着て登壇。「どうぞ楽しんでください」と挨拶した。多部の青年期を演じたのんは、「吉永さんと阪本監督が作った多部順子さんお作品ィ参加させていただき、この場にお二人とともに立っていることが本当に嬉しい」と喜んだ。
阪本監督は「この映画は山に映画でもありますけど、家族の映画でもあり人生の映画でもあります。先入観なくみていただければいいと思います」といい、「それから映画の関係者の方々がいらっしゃると聞いて、呼びかけのようなものですが、まだまだ空想する力とか妄想する力とか、AIに負けないように私も頑張っていきたいと思います」と語った。

■コンペ部門審査委員長にカルロ・シャトリアン氏 審査委員に齊藤工など

第38回東京国際映画祭開幕 吉永小百合に特別功労賞「これからも映画の道を」
㊧から齊藤工、マチュー・ラクロー、カルロ・シャトリアン審査委員長、ヴィヴィアン・チュウ、グル・ルンメイ(©2025 TIFF)

グランプリを競うコンペティション部門の審査委員長は、ジャーナリストで作家・プログラマーのカルロ・シャトリアン氏が務める。審査委員には俳優の齊藤工や台湾の人気女優グル・ルンメイ、映画監督のヴィヴィアン・チュウ、編集者のマチュー・ラクローが担当する。

審査委員4人と登壇したシャトリアン氏は、「私にとって、そして映画を愛するみんなにとってとても大事な国である日本に来ることが出てとても嬉しい」といい、審査について、「映画はまだ見ていませんが、それぞれちがったバックグラウンドを持つ審査員が集まったので、お互いを知りこの世界をもっと深く知ることになるでしょう。そういった豊かさを映画はもたらしてくれるのだと思います」などと語った。

■監督デビュー作が特別上映のジュリエット・ビノシュ登壇

第38回東京国際映画祭開幕 吉永小百合に特別功労賞「これからも映画の道を」
ジュリエット・ビノシュ(©2025 TIFF)

そして監督デビュー作となったドキュメント映画「イン・アイ・イン・モーション」が特別上映されるフランスの俳優ジュリエット・ビノシュが登壇。作品に込めた思いについて、「映画を作るにあたって目の前に試練が立ちはだかっているなかで、自分の中の非常に繊細な部分をさらけ出すことになるので、そうとうな仕事になるわけですけど、同時に大いなる可能性を秘めている作業にもなります。そういう意味で力が湧いてくる作業」などと明かした。
瀧内から映画祭を楽しみにしている皆様へのメッセージを、と促されると、「精一杯取り組んでください。どんな世界にもソシアルメディアやAIが台頭している時代ですが、自分自身の独立した考えを持って芸術にいそしむ、想像することを楽しむ、そして情熱を持って楽しむことが大事だと思っています。ぜひ頑張っていただきたいと思います」とメッセージを送った。

■レッドカーペットに柴咲コウ、川口春奈、北川景子、ファン・ビンビンなどが登場

第38回東京国際映画祭開幕 オープニング作品・特別功労賞の吉永小百合ら登壇
レッドカーペットに登場した柴咲コウ㊨と川口春奈(©2025TIFF)

オープにングセレモニーの前には、恒例のレッドカーペットが行われ、オープニング作品「てっぺんの向こうにあなたがいる」の吉永小百合、のん、阪本順治監督を皮切りに、ガラ・セレクションで上演される「ナイトフラワー」の北川景子、森田望智、内田英治監督、ガラ・セレクションで上映される「兄を持ち運べるサイズに」の柴咲コウ、満島ひかり、中野量太監督、TTIFFシリーズで上映される「スキャンダルイブ」の柴咲コウと川口春奈、コンペ部門に出品された「金髪」の岩田剛典、白鳥玉季、坂下雄一郎監督、ガラ・セレクションで上映される「君の顔では泣けない」の芳根京子、高橋海人、坂下雄一郎監督、エシカル・フィルム賞の審査委員長を務める池田エライザなどの日本の俳優・監督ら。そしてコンペ部門に出品された「母なる大地」に主演の中国の女優ファン・ビンビン、コンペ部門の審査員を務める「ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション」(公開中)などの台湾の人気女優グイ・ルンメイ、フランスの女優で監督のジュリエット・ビノシュは、プロデューサーを務めたMEGUMIと登場するなど海外の俳優、監督も多数登場してオープニングイベントを盛り上げた。

今年の最優秀賞を競うコンペティション部門に出品されたのは、108の国と地域から寄せられた1970本の作品からノミネートされた15作品で、日本からは「金髪」(坂下雄一郎監督)と「恒星の向こう側」(中川龍太郎監督)の2本がノミネートされた。さらにアジアの未来、ガラ・セレクション、ウィメンズ・エンパワーメント、アニメーションなどの各部門で合計184作品が上映される。それらの各部門の上映作品をナビゲーターの瀧内公美が紹介した。さらに、黒澤明賞に、現在大ヒット中の「国宝」の李相日監督と、「ノマドランド」(21)でアカデミー賞の監督賞、作品賞、主演女優賞(フランシス・マクド―マンド)を受賞したクロエ・ジャオ監督に贈られることなどを紹介した。最終日の11月5日に各賞が発表される。

【第38回東京国際映画祭 開催概要】
■開催期間:2025年10月27日(月)~11月5日(水)
■会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
■公式サイト:www.tiff-jp.net
【TIFFCOM2025開催概要】
■開催期間:2025年10月29日(水)~10月31日(金)
■公式サイト:www.tiffcom.jp

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