伊藤詩織氏、2審も勝訴「同意ないまま行為に及んだ」と判断 「デートレイプドラッグを入れられた」は名誉棄損

(2022年1月26日11:15)

伊藤詩織氏、2審も勝訴「同意ないまま行為に及んだ」と判断 「デートレイプドラッグを入れられた」は名誉棄損
判決後記者会見した伊藤詩織氏(YouTubeチャンネル「KyodoNews」から)

同意のない性行為で精神的苦痛を受けたとしてジャーナリストの伊藤詩織氏(32)が元TBS記者の山口敬之氏(55)に1100万円の損害賠償を求めた控訴審の判決が25日、東京高裁であり、中山孝雄裁判長は一審と同様に「同意がないまま性行為に及んだ」として山口氏に332万円の支払いを命じた。一方で、伊藤氏が著書などで「デートレイプドラッグを入れられた」と表現した点については「真実性が認められない」として山口氏への名誉棄損とプライバシーの侵害に当たるとして伊藤さんに55万円を支払うよう命じた。

判決によると、伊藤氏は2015年4月、就職の相談で都内のすし店で酒を飲みながら山口氏と会食し、その後近くのホテルで性被害を受けた。判決では伊藤氏の説明内容が「信用できる」と判断。合意があったとする山口氏の主張は「事実経過と明らかに乖離し信用できない」として退けた。ホテルに着いた時点で伊藤さんは飲酒で酩酊状態だったと認め「意識を失っている中で同意なく性行為を始めた」と判断した。
一方、伊藤氏が調書などで「デートレイプドラッグを入れられた」と表現した点については「真実性が認められない」として名誉棄損やプライバシー侵害に当たるとして、名誉棄損には当たらないとした一審判決を取り消して伊藤氏に55万円の賠償支払いを命じた。

■伊藤詩織氏「同意がなかったと認められたことはとても大きい」

判決を受けて記者会見した伊藤氏は「一審と今回の高裁の控訴審の判決の内容は、ほぼ、不同意、私の同意がないまま性行為がされたということは変わらず認定されました」「この民事裁判で同意がなかったと認められたことは、その点に関しましてはとても大きいのではないかなと思います」と判決を評価した。「願っているのは伊藤詩織ではなくこれが自分の近い人に起きたらどういったことになるのだろうということを少しでも想像していただきたいということです」と訴えた。「なのでこうやって少しでもオープンにお話しできたことがこの裁判で得られたことだと思っています」

■山口敬之氏「本件の判決たいしては全体として大いに不満がありますので上告します」

山口氏は「デートレイプドラッグなるものの主張をめぐって伊藤さんの不法行為を認め損害賠償を認めたこと、これは高く評価します」「一審では認められなかったこちら側の主張が相当程度認められています」としたが、「その一方、いまだに先方の主張を認めている部分もあって、本件の判決たいしては全体として大いに不満がありますので上告することとし、その準備に入っています」と上告することを明らかにした。

■TBSが謝罪

TBSテレビは「元社員在職中の事案につきまして、伊藤詩織さんのこの間のご心痛に対しまして大変申し訳なく思います。引き続き社員教育やコンプライアンスの徹底に努めてまいります」とコメントした。