吉本興業、松本人志の「性加害」報道 「当該事実一切ない」誤解招いた「事実確認進める」

(2024年1月25日13:45)

吉本興業、松本人志の「性加害」報道 「当該事実一切ない」誤解招いた「事実確認進める」
松本人志(公式サイトから)

お笑いコンビ、ダウンタウンの松本人志(60)の「性加害疑惑」を報じた「週刊文春」の記事をめぐって、吉本興業は24日、公式サイトで、当事者など関係者に聞き取りをして事実確認をしていることを明らかにした。昨年12月24日に「週刊文春」の最初のオ宇津があったとき、吉本は公式サイトで「当該事実は一切ない」としていた。

公式サイトでは24日、「週刊誌報道等に対する当社の対応方針について」と題した声明を発表した。
「昨年末以来の当社所属タレントに関する様々な報道により、ファンの皆様及び関係先各位に多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことをまずもって心からお詫び申し上げます」と謝罪して、「 今般、私的行為とはいえ、当社所属タレントらがかかわったとされる会合に参加された複数の女性が精神的苦痛を被っていたとされる旨の記事に接し、当社としては、真摯に対応すべき問題であると認識しております」としている。

そして「当社は、これまでもコンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化に取り組んでまいりましたが、とりわけ昨年7月以降は、事業整理・組織改編と共に、社外有識者を交えたガバナンス委員会を設置し、複数の外部弁護士をコンプライアンスアドバイザーとして招聘するなど体制を整備して、様々な事案について指導・助言を仰ぎながら、コンプライアンスの周知徹底及びガバナンスの強化に努めてまいりました」と吉本の取り組みについて説明。

そのうえで、「現在、当社におきましては、コンプライアンスアドバイザーの助言などを受けながら、外部弁護士を交えて当事者を含む関係者に聞き取り調査を行い、事実確認を進めているところです」と調査を進めていることを明らかにした。

「そして、昨日開催されたガバナンス委員会において、これまでの経緯及び現状等を報告したところ、「所属タレントが提訴した訴訟の経過も注視しつつ、事実確認をしっかり行った上で、何らかの形で会社としての説明責任を果たす必要がある。」「当初の『当該事実は一切なく』との会社コメントが世間の誤解を招き、何を指しているのか不明確で混乱を招いたように思う。時間がない中での対応とはいえ、今後慎重に対応すべきである。」等の厳しい指摘を受けるとともに、今後、タレントのみならず、全てのグループ会社を含めた当社社員に対しても、改めて個人の尊厳に対する意識を高め、日常におけるハラスメントを防止するための教育・研修を実施していく必要があるとの意見を承りました」と報告した。

また「もとより、当社におきましては、様々な差別・ハラスメントは重大な人権侵害であり、到底許されるものではないとの認識に基づき、吉本興業グループ行動憲章の中で「人権の尊重」「法令等の遵守」を掲げ、社員及び所属タレントに対して同憲章の周知徹底を図ってきているところです」と伝えた。
そして「今後、当社といたしましては、引き続き、コンプライアンスアドバイザーの指導等を受けながら事実確認を進め、その中でコンプライアンスの指導・教育を行っていくとともに、ガバナンス委員会からのご意見等を踏まえ、個人の尊厳・人権の尊重という基本的な理念について改めて教育の場を設け、ハラスメント等に対する意識を高める研修を実施してまいりたいと考えております。こうした取組みを継続することで、ファンの皆様及び関係先各位からの信頼を取り戻してまいりたいと存じますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます」としている。

松本は8日「様々な記事と対峙して裁判に注力したい」として活動休止を発表。そして22日、松本から性的な行為を強要されたとする女性の証言を掲載した昨年12月27日発売の「週刊文春」の記事に対して、名誉棄損として発行元の文芸春秋社と「週刊文春」編集長に対して5億5000万円の損害賠償を請求して東京地裁に提訴した。
これを受けて「週刊文春」編集部は同日「一連の記事には十分に自信を持っています。現在も新たな告発者の方々のお話をうかがい、慎重に裏付け取材をしております。提訴によって萎縮することなく、今後も報じるべき事柄があれば、これまで通り報じてまいります」とのコメントを発表した。

25日発売の「週刊文春」は松本の「性加害疑惑」報道第4弾として、元タレントの女性が実名顔出しで、約18年前の19歳の時に松本との都内の食事会の二次会で性的行為を強要され、拒否したところ暴言を浴びせられたなどとする証言などを掲載した。

複数の女性の証言が相次いで報じられるなか、吉本が当初の「当該事実は一切ない」とのコメントを「世間の誤解を招き、何を指しているのか不明確で混乱を招いた」と反省して、「引き続き、コンプライアンスアドバイザーの指導等を受けながら事実確認を進め、その中でコンプライアンスの指導・教育を行っていく」との方針を発表したことは、松本が女性の「お礼メール」をX(旧ツイッター)で公開したり、会食はあったことが事実上認められていったことなどの「混乱」があったことを認めて軌道修正したとみられる。
いずれにしても、同社が設置している社外有識者を交えたガバナンス委員会が「所属タレントが提訴した訴訟の経過も注視しつつ、事実確認をしっかり行った上で、何らかの形で会社としての説明責任を果たす必要がある」と提言したのを受けて、吉本はこの件の事実確認が進んだ段階で記者会見して説明する必要があるのではないか。