第18回アジア・フィルム・アワード(AFA) 吉田大八監督が最優秀監督賞受賞 

(2025年3月17日11:15)

第18回アジア・フィルム・アワード(AFA) 吉田大八監督が最優秀監督賞受賞
最優秀監督賞を受賞した吉田大八監督

アジア全域版アカデミー賞「第 18 回アジア・フィルム・アワード(AFA)」 の授賞式が16日、香港の戯曲センターにて開催され、映画『敵』の吉田 大八監督が最優秀監督賞を受賞した。アジア・フィルム・アワードでの最優秀監督賞の受賞は、一昨年、昨年の是枝監督の受賞に続き、3 年連続日本人監督受賞 の快挙となった。

アジア・フィルム・アワードは、2007 年から開催されている“アジア全域版アカデミー賞”ともいわれており、これまで『パラサイト 半地下の家族』(19、ポン・ジュノ監督)や『ドライブ・マイ・カー』(21、濱口竜介監督)など、世界中の映画賞や賞レースを席巻した作品が受賞している。
『敵』は、第 37 回東京国際映画祭にて東京グランプリ、最優秀男優賞、最優秀監督賞の三冠を達成し、その後、 昨年 11 月に開催された台北金馬映画祭の「Windows On Asia 部門」に選出。12 月には上海国際映画祭の「Japanese Week」に招待され、数千人の劇場が一瞬で埋まるなど、国内外の映画祭で絶賛の渦を巻き起こした。

第18回アジア・フィルム・アワード(AFA) 吉田大八監督が最優秀監督賞受賞
吉田大八監督と審査委員長のサモ・ハン㊨

今回はアジ ア25の国と地域より30作品のノミネート(全16部門)があり、その中で『敵』は吉田大八監督が最優秀監督賞を受賞。2024 年の東京国際映画祭での19年ぶりの日本映画3冠受賞に続き、海外でも高い評価を獲得した。

今回、最優秀監督賞を受賞し、審査委員長のサモ・ハンからトロフィーを授与された吉田監督は「皆さんと同じように僕も驚いています」と壇上でコ メント。続けて、筒井康隆の原作を映画化したことについて「僕が若い時か ら愛読していた筒井康隆先生の小説を映画化するという幸運に恵まれ、それ を信頼できるスタッフたち、素晴らしい俳優たちと一緒に作り上げるという、 監督としては最高に恵まれた体験でした。その上でこんな素晴らしい賞まで いただいて、これ以上の喜びはありません」と話した。
また受賞後の記者会見では「この映画に関わったすべてのスタッフとすべての俳優たちに感謝したい。皆で受賞を喜び合いたい」と感謝を述べ、今後の展望を問われると「せっかくこのような賞をいただいたので、アジアの皆さんに観ていただけるような映画をひとつでも多く作っていけたらいいなと思います」と話し、共にレッドカーペットを歩いた、 長塚京三(主演男優賞ノミネート)や瀧内公美(助演女優賞ノミネート)、宮本茉莉(衣装賞ノミネート)らと 共に喜びを分かち合った。

『敵』は今後も香港国際映画祭(香港)、アイルランド日本映画祭(アイルランド)、ウーディネ・ファーイースト映画祭(イタリア)など、世界中の映画祭への出品が決定している。

第18回アジア・フィルム・アワード(AFA) 吉田大八監督が最優秀監督賞受賞
「敵」の場面写真

【物語】
渡辺儀助、77 歳。 大学教授の職を辞して 10 年―妻には先立たれ、祖父の代から続く日本家屋に暮らしている。料理は自分でつくり、晩 酌を楽しみ、多くの友人たちとは疎遠になったが、気の置けない僅かな友人と酒を飲み交わし、時には教え子を招いて ディナーを振る舞う。預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向か って日常は完璧に平和に過ぎていく。遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。だがそんなある日、書斎の iMac の画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。

【クレジット】
出演:長塚京三 瀧内公美 河合優実 黒沢あすか 中島歩 カトウシンスケ 髙畑遊 二瓶鮫一 髙橋洋 唯野未歩子 戸田昌宏 松永大輔 松尾諭 松尾貴史
脚本・監督:吉田大八 原作:筒井康隆『敵』(新潮文庫刊)
企画・プロデュース:小澤祐治 プロデューサー:江守徹 撮影:四宮秀俊
音楽:千葉広樹 音楽プロデューサー:濱野睦美 VFX スーパーバイザー:白石哲也 制作プロデューサー:石塚正悟 アシスタントプロデューサー:坂田航
企画・製作:ギークピクチュアズ 制作プロダクション:ギークサイト
宣伝・配給:ハピネットファントム・スタジオ/ギークピクチュアズ
製作:「敵」製作委員会
ⓒ1998 筒井康隆/新潮社 ⓒ2023 TEKINOMIKATA
公式サイト:https://happinet-phantom.com/teki 公式 X:https://x.com/teki_movie
全国絶賛公開中

■第18回アジア・フィルム・アワード(AFA)の主な受賞者

最優秀作品賞 「All We Imagine as Light」(パヤル・カパディア監督)
最優秀監督賞 吉田大八 「敵」
最優秀主演男優賞 ラウ・チンワン 「お父さん」
最優秀主演女優賞 カニ・クスルティ 「All We Imagine as Light」
最優秀助演男優賞 リー・カンション 「黙視録」
最優秀助演女優賞 ヤン・クイメイ  「Yen and Ai-Lee」

日本からは吉田監督の最優秀監督賞のほか、役所広司が特別功労賞、Kōki, がAFA Rising Star Award、栗原颯人(「HAPPYEND」) が最優秀新人俳優賞を受賞した。