「ナイトサイレン 呪縛」「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」のとっておき情報

(2023年8月10日11:00)

映画評論家・荒木久文氏が「ナイトサイレン 呪縛」「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、8月5日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木      8月に入って、酷暑続いておりますが、よろしくお願いします。

荒木      暑いですね~。8月に入って毎日暑い上に、毎日オリンピックでワサワサしてて、落ち着かないですよね。ここで、最初からお知らせしてよろしいでしょうか?

鈴木      お知らせ?

荒木      実は、不詳、私荒木の特別番組というのが、今週土曜日、ここFM富士からオンエアーされることになりました。題して「ナタキンのムービーワンダーランドスペシャル 2024年 夏 映画の逆襲」というタイトルです。

鈴木      ちょっとなんか、昔 やってた、映画の特集みたいな感じじゃないですか。

荒木      そうだよね、映画の逆襲だからね。8月10日(土)、深夜12時30分から30分間やります。

鈴木      深夜、いいねー。

荒木      残念ながら、今回のお相手は大ちゃんじゃなくて、ナターシャ遠藤さんという放送作家さんです。

鈴木      これはこれで、僕も聴くのが楽しみです。

荒木      だからタイトルは、ナターシャさんのナタと私のアラキンからとって、ナタキン。明らかにコサキンのもじりですね。この番組では、今年の夏の公開作品から注目作をご紹介するんですけど、特集としては、遠藤さんがご専門の「大友克洋」さんの最新情報なども盛り込んで、映画雑誌「スクリーン」の協力でマル秘記事を紹介したりと…。

鈴木      やってるじゃないですか、荒木さん。

荒木      いつもは、仕切ってくれるダイちゃんがいないから、ちょっと緊張なんですよ。

鈴木      荒木さん進行しなきゃいけない感じですか?

荒木      そう、私です。

鈴木      それじゃ、荒木さんにお任せ系ですよ。

荒木      いやいや、そんなことないんですけどね。セクハラ発言や不適切発言、ダイちゃんに遮ってもらってるんで、ひとりだとね。

鈴木      しかも、深夜だからね。

荒木      そう。でも大丈夫です、録音だから。

鈴木      じゃあ、いろいろハサミが入っちゃうってことですね。 荒木      8月10日(土)、深夜12時半から。オリンピック見るついでに聴いてください。 では、今年はちょっと遅くなりましたが、ホラー映画の特集やりましょう。今年の夏はホラーが多いんですよ。ざっと数えただけでも7月から公開が6.7本程度、8月公開も同じくらいで、9月にも何本かあるから、お化け幽霊、ホラー映画お好きな方向けにはいいと思います。今回から、2、3回やろうと思います。

鈴木      あ!嬉しい―。お願いします。

      
アラキンのムービーワンダーランド/「ナイトサイレン 呪縛」「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」のとっておき情報
      
  「ナイトサイレン 呪縛」 (公式サイトから)        

荒木      8月2日から公開されています1本。「ナイトサイレン 呪縛」。 20年前に少女失踪事件が起きた東ヨーロッパの小さな村が舞台です。スロバキアあたりですね。 「現代の魔女狩り」を描いたホラー作品です。山の中、人里離れた家で暮らすシャロータとタマラの姉妹です。10歳と7歳ぐらいかな? 2人は母親の虐待にあっていて、それから逃れるために逃げ込んだ森の中で恐ろしい事故に遭って、妹が崖から転落してしまいます。そして20年後、姉のシャロータはある出来事をきっかけに村に帰ってくるのですが、村人は彼女を無視して白い眼で見るんです。村の夏至の祭があるんですけど、それが近づく中 昔の出来事のトラウマに悩むシャロータに対して、村人たちは反発・疑念を募らせやがて彼女は魔女だと疑って迫害するようになる…というお話なんです。

鈴木      んー、呪縛。

荒木      現代なのに、中世と同じように「魔女」の存在を信じているというヨーロッパの田舎の昔気質で排外的な村人と都会から舞い戻った若い女性というヨーロッパの田舎の村を舞台にしたいわゆる「フォークロア・ホラー」の一種です。「フォークロア・ホラー」というのは非科学的な因習、つまり迷信や信仰などの民間伝承を題材にしたホラー映画です。

鈴木      ブラック・サバスのデビューアルバムのジャケ写を思わせるような気がします。

荒木      ああそうです。ああいう感じですね、まさに。最近 流行りです。一番有名なのはアリアスター監督の「ミッドサマー」ですかね。この「ナイトサイレン 呪縛」はただそれだけじゃなくって、古代の信仰に基づく女性差別やよそ者に対する拒絶、つまり狭い了見や迷信を信じたうえでの集団ヒステリーとか同性愛とかジェンダーとかも入ってくるんで、ちょっと難しい部分も正直あります。ギャーと大きな声で叫びたい、怖がりたいという人にはちょっと不向きかもしれません。

鈴木      なるほど。

荒木      全体が嫌~な雰囲気というか、居心地が悪い不安な感じがあるでしょう?  それもホラーだと捉えられると最高の作品です。

鈴木      じんわりとザワザワする系ですね。いい。

荒木      心がザワザワしてね。女性監督でテレザ・ヌボトバさんという人なんですけど、ロカルノ国際映画祭とかシッチェス映画祭とか、この種の映画祭でいずれも賞を取っている人なんです。 公開中です。「ナイトサイレン 呪縛」という作品。じわじわ怖いやつです。ダイちゃんどうかな?こうじわじわ怖いのと、ギャーッと大きな声で叫びたいくらい怖いのと、どっちが好きですか?

鈴木      どっちも好きです。呪縛系を見た後は、食欲が衰退して、その日の夕食を抜いちゃう感覚が好きです。これはこれで好きです。

      
アラキンのムービーワンダーランド/「ナイトサイレン 呪縛」「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」のとっておき情報
      
  「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」(© 2024 ITN DISTRIBUTION, INC. ALL RIGHTS RESERVED.)       

荒木      では、今度は、ギャーッと大きな声で叫びたい、怖がりたいだけというにはこちらです。 「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」。8月9日から公開です。「くまのプーさん」ご存じですよね?

鈴木      もちろんです。

荒木      ディズニーのキャラクターでもある、黄色い人のよさそうなはちみつ好きのくまさんですけど。

鈴木      地球上、誰でも知ってるんじゃないですか。

荒木      イギリスの児童文学ですよね。ミルンの名作「くまのプーさん」。これを、なんとホラー映画にしちゃったのが、これから紹介する「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」なんです。 実は、これ第2作目で、第1作目に「あくまのくまさん」っていうのがあったんです。これは、去年作られたんですがプーさんが怪物になって、次々に人を殺しまくるという設定なんですよ。 昨年公開されて、今年2作目が出るってあまり聞いたことがなくてですね、これ、評判がいい証拠なんです。

鈴木      そうですよ、もしかしてプー3、プー4、プー5って出て来るかもしれないですよ!

荒木      実は、1作目の公開前、「プー あくまのくまさん」ってのは、批評家からも散々な評価だったんです。

鈴木      それは、よくあるパターンですよ。

荒木      そうなんですよ。Rotten Tomatoesって批評家サイト、聞いたことがありますか。権威ある映画評論サイトなんですが、ここでは4%の低評価で、おまけに「史上最低評価の映画100」にランクインしたりしているんです。ところが大ヒットしたんです。でも 香港辺りでは上映禁止になっちゃったんです。

鈴木      えっ?!

荒木      理由は、中国ではクマのプーさんは、習近平総書記を揶揄したり、からかう時に使うキャラクターとして有名なんです。だから、習近平に配慮して上映を中止したのではないかと言われています。くまのプーさんは、あらゆる使用が禁止されているそうです。それが、逆に話題になっちゃったということもあるんです。 第1作目、大ヒットなんです。で、第2弾。これが、制作予算10倍ですって。Rotten Tomatoesも、前作と異なって、批評家の評価も100%・・・・。というわけで、前置き長くなっちゃったんですけど、ストーリーです。前の映画で殺されそうになりながら生き延びた青年クリストファー、彼が主人公です。彼は少年時代を過ごした町に戻り、自身医者として勤めながら、自身のトラウマの治療を続けています。しかし、町の住人はクリストファーが大嘘つきで、前の映画で殺人が起きているんですけど、彼が犯人だと思ってるんです。 一方で、森の奥に潜んでいた殺人ぐまプーと邪悪な仲間たちは、さらなる餌食を求めて町へやって来ます。 プーの仲間ピンクの耳がかわいいブタのぬいぐるみのピグレットはもちろん、ちょっとふにゃふにゃのトラのぬいぐるみのティガーとか、フクロウもいるんです。それが恐ろしいルックスで出てくるんです。もちろん、R+15です。私も見せていただいたんですけど、いや残酷。とにかくプーさんたちの殺し方が半端なく残忍なんです。凄いんです!血の量も半端無くて。

鈴木      ちょっと、俺、プーさん嫌いになるかもしれないですよ。

荒木      特徴的なのは、予算も増えたから、血も10倍くらい。気持ち悪さも10倍。子供が見たら、いいのかね…って感じなんですが、実写で、恐ろしすぎて何がなんだかわかんないんでしょうけどね。かわいいキャラクターを別キャラに変えちゃうってのがね。

鈴木      いいんですか?プーさん。

荒木      よく調べてると思うんですけど、著作権大丈夫なのかなって思うんですけど…。 1作目、2作目とも監督がリース・フレイク=ウォーターフィールドという人なんです。 「ザ・ツイステッド・チャイルドフッド・ユニバース」って名前がついてまして、総称「プーニバース」。 この作品の次の作品は、9月6日公開予定の「メリーおばさんのひつじ」という作品が公開予定です。これは日本でも有名な「メリーさんのひつじ」。あの童謡をホラー作品として映画化したものだをそうですよ。

鈴木      全部、童謡をそうしちゃうんじゃないんですか?これから。

荒木      来年には、「ピーターパン」のホラー映画。『Peter Pan’s Neverland Nightmare』や殺人バンビを描く『Bambi: The Reckoning』、『ピノキオ』と続き、最後にクロスオーバー企画の『Poohniverse: Monsters Assemble』。童話出身のモンスターマーベルですよ。

鈴木      初めて出会うピノキオが殺人鬼って、イメージになるかもしれませんよ、これから。

荒木      そういうことですよ、アベンジャーズにする予定ですね。日本で、あの国民的猫ロボット「Dエモン」とかいるでしょ。

鈴木      ああ!そんなことできないですよね。

荒木      仲良し4人組を殺しちゃったりしちゃってね。あと、「KよんSちゃん」とかが連続強姦殺人魔だったり。

鈴木      出来ないでしょう。それ、日本は無理だね。

荒木      無理だよね。でも、思い切ってやるよね。特に子どもの夢を壊すっていうか、お子様にはとても言えない8月9日。「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」っていうんですけど、子どもにもわかるように、全部ひらがなで書いてあります。

鈴木      うーっ…!それが逆に怖いわ!

荒木      邪悪なくまですね。そういう時は、こうやって(♪)

鈴木      何それ?

荒木      私が山に登るときの…♪、くまよけの…♪♪

鈴木      止めて!音が怖いから。音が怖い!響き方が! 怖い、怖い!

荒木      あはははは。ということで、変な締めですけど、怖い映画2本紹介しました。

鈴木      怖い話もあるけど、特番も頑張ってください。

荒木      今週の土曜日ですけど、起きてる人は聴いてください。

鈴木      あらりがとうございました。

      
「ナイトサイレン 呪縛」「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」などのとっておき情報
      
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊨と鈴木氏)                

   ■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

   ■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。    

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