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映画
第38回東京国際映画祭 黒澤明賞授賞式
李相日監督とクロエ・ジャオ監督登壇
吉沢亮が花束贈呈
(2025年11月4日9:00)

第38回東京国際映画祭(10月27日~11月5日)の黒澤明賞に「国宝」が大ヒット中の李相日監督と、「ノマドランド」でアカデミー賞監督賞を受賞した中国出身のクロエ・ジャオ監督が選ばれた。3日、東京・千代田区の帝国ホテルで授賞式が開催され、「国宝」に主演した吉沢亮が駆けつけ2人に花束を贈呈して祝福した。
黒澤明賞は、日本が世界に誇る故・黒澤監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出していきたいというコンセプトで、世界の映画界に貢献した映画人、そして映画の未来を託していきたい映画人に贈られる賞。今年は山田洋次監督(審査委員長)、奈良橋陽子氏、川本三郎氏、市山尚三・東京国際映画祭プログラミングディレクターの4人の審査で2人が選ばれた。
李監督は、「黒澤明賞というとてつもない大きな存在のある賞をいただきまして、山田洋次監督はじめ審査員の方ありがとうございます」と感謝し、「黒澤明という名前は、歌舞伎に例えると大名跡というか、最も大きな名跡で、アウトサイダーのような僕が強引にその名前に向かっていくような、怖さと喜びと重責を感じております。そういった場に尊敬するクロエ・ジャオさんと一緒に立てて非常に光栄です」と述べた。
そして、「20年以上にわたり映画監督としてやってきましたが、すべての作品に関わってくれたキャスト、スタッフの皆さん、人間としても成長させてくれた関係者の皆さん、本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べてスピーチを締めくくった。
ジャオ監督は、「この賞を受け取ることができて光栄に思います。黒澤明監督にはものすごく影響を受けました。日本の文化と西洋の文化の懸け橋になられた方。私はアジアの女性監督ですが、尊敬し勇気づけられてもいます」と述べ、「日本の観客の皆様、私のキャリアの最初からずっと応援してくださっていただき、本当に感謝しています」と述べた。

授賞式には「国宝」に主演した吉沢亮が駆けつけ2人に花束を贈呈した。そして、「李監督とは『国宝』で初めてご一緒させていただいて、映画に対する覚悟といいますか、執念のようなものを現場で監督から感じていて、ものすごい大きな愛を持って映画に関わっている方なんだと感じました。その思いがスタッフやキャストを引き上げてくださっていて、僕自身よりも僕のことを信じてくれているんだなあと思う日々で、その思いに応えるのが非常に苦しくもあり、それ以上に幸せを感じた撮影でした。ありがとうございました」と監督に感謝の言葉を述べた。
李監督は、吉沢が歌舞伎の女形を演じたことをに言及し、「吉沢君を後ろから見ていて女形の背中じゃなかった。役が抜けたことを確認してほっとしてます」と言って笑わせた。
そしてジャオ監督には、「お会いできて光栄です。初めて監督の『ザ・ライダー』(17)を見させていただいたとき、本当に強い衝撃を受けました。アメリカの美しくも荒々しい荒野の中に生きる人々の、あまりにもリアルな息遣い、生き様を感じて非常に素晴らしい映画だと思いました。今後も監督が作り出す物語を心から楽しみにしています」と称賛しリスペクトする言葉を述べた。
ジャオ監督の最新作「ハムネット」は映画祭のクロージング作品として5日の閉会セレモニーの後に上映され、2026 年春に全国公開される。
【第38回東京国際映画祭 開催概要】
■開催期間:2025年10月27日(月)~11月5日(水)
■会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
■公式サイト:www.tiff-jp.net
【TIFFCOM2025開催概要】
■開催期間:2025年10月29日(水)~10月31日(金)
■公式サイト:www.tiffcom.jp