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ハリウッド特急便
アレック・ボールドウィン、過失致死罪で正式に訴追 検事局はボールドウィンの安全上の過失を数多く列挙
(2023年2月1日14:10)

映画「ラスト」の撮影現場で撮影監督のハリナ・ハッチンズさんが被弾して死亡した誤射事件で、米ニューメキシコ州サンタフェ郡の検事局は1月31日(現地時間)、アレック・ボールドウィン(64)を正式に訴追した。検事局は、ボールドウィンの安全上の過失を数多く列挙している。米メディアが報じた。
米サイト「TMZ」によると、検事局は、ボールドウィンは小道具の兵器係が立ち会い、銃が安全であることを確認すべきであり、それを知っていたにもかかわらず、武器の使用を許可する権限のないアシスタントディレクターに任せたと指摘している。
検事によると、ボールドウィンは銃器の訓練を受けることになっていたが、そのほとんどの時間、携帯電話で家族と話していたという。
さらに検事局は、ボールドウィンが銃を発射していないと主張するテレビのインタビューに注目したという。検事は、ボールドウィンが引き金に指をかけているのをはっきりと映した複数の写真とビデオがあるとしているという。

検事はさらに、映画のプロデューサーとして、ボールドウィンは制作会社が小道具の銃器担当としてハンナ・グティエレス・リードを雇うことを許可すべきではなかった。彼女はその仕事に必要な資格と経験を欠いていたと指摘しているという。
そして、撮影現場での数々の安全上の欠陥があったにもかかわらず、ボールドウィンはそれらの問題に対処せず、その結果、クルーが抗議のために撮影現場から立ち去ったことさえあったと述べている。
検事によると、ボールドウィンは実弾が入っていようといまいと、決して他人に銃口を向けてはいけないという銃の安全性の最初のルールに違反したとも指摘。ボールドウィンは銃が不可欠な40本の映画に出演していたので、すべてのプロトコルを知っているべきだったとしている。
検察は、武器担当のハンナ・グティエレス・リードも過失致死罪で訴追した。有罪になれば、二人とも最高5年の禁固刑の可能性がある。助監督のデイブ・ホールズは、すでに軽犯罪の凶器の過失使用について有罪を認めて司法取引により執行猶予付きの判決と6か月の保護観察処分を受けることになるという。
サンタフェ地方検事メアリーカーマックは、1月初旬にアレックとハンナが訴追されると発表。特別検察官のアンドレアリーブは「証拠は明らかに映画のセットでの安全性無視のパターンを示している。ニューメキシコでは、銃の安全性と公共の安全に対する我々の州のコミットメントを真剣に受け入れない撮影は許されません」と述べていた。
リーブはさらに「アレック・ボールドウィン、ハンナ・グティエレス・リード、デヴィッド・ホールズ、この3人のうち1人でも自分の仕事をしていれば、ハリナ・ハッチンズは今日生きていたでしょう。それはとても単純なことです」と指摘した。

アレックは、教会のセットで、利き腕の反対側にあるホルダーから銃を抜く「クロスドロー」のシーンのリハーサル中に、監督のジョエル・ソーザとハリナさんがカメラアングルを考える中、指示に従っただけだと主張し不法行為を否定している。
ホールズはボールドウィンに、問題の小道具の拳銃は「コールド」ガンだと言った。つまり、実弾が入っておらず安全だということで、ボールドウィンはその言葉を信じたと主張している。またハンナは撮影時に教会にいなかったが、アレックは小道具の銃を準備し、チェックするのが彼女の仕事だったと主張している。
撮影は2021年10月に行われ、アレックは事件直後から目に見えて憔悴していた。アレックは繰り返し悲劇的な事故と呼ばれるものに何の責任も負わないと主張し、引き金を引いたのは自分ではないと主張したが、FBIはアレックの意見に反対し、誰かが引き金を引かなければピストルは発射されないと結論付ける報告書を発表した。
ハリナさんの遺族は、撮影現場でのハリナさんの死につながった安全性の不備はボールドウィンらの責任だとして、アレックや制作関係者を相手に不当死訴訟を起こしたが、その後和解して、「ラスト」の撮影を終えることに合意。ハリナさんの夫マシュー・ハッチンズは、この映画のエグゼクティブ・プロデューサーに就任している。ボールドウィンが正式に訴追されたことで今後始まる裁判が注目される。
■映画「ラスト」の誤射事件
事件は2021年10月21日(現地時間)、米ニューメキシコ州のロケ地で西部劇「ラスト」のリハーサル中に起きた。教会のセットでボールドウィンが小道具の銃を発砲し、撮影監督のハリナ・ハッチンズさん(当時42)の胸に当たり死亡、彼女を貫通した銃弾が近くに居たジョエル・ソウザ監督(48)の肩に当たり負傷した。
昨年12月、ボールドウィンは米ABCニュースのインタビューで「引き金は引いていない」「銃に実弾が入っていたとは知らなかった」などと語った。ハッチンズさんの死は事故であり、自分に責任はないと主張。スタッフは銃に実弾が入っておらず、適切に空砲が装填されていることを確認するべきだったとしている。また、引き金は引いてなく、拳銃の撃鉄を戻した後、銃が勝手に暴発したなどと主張していた。