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映画
映画「ホワイトバード はじまりのワンダー」
東京国際映画祭ジャパンプレミア にマーク・フォースター監督とプロデューサー登壇
(2024年11月3日23:15)
第37回東京国際映画祭のガラ・セレクションで映画「ホワイトバード はじまりのワンダー」(12月6日公開)のジャパンプレミアが1日、都内で行われ、マーク・フォースター監督とエグゼクティブ・プロデューサー、レネ・ウルフ氏が登壇して撮影秘話などを語り、Q&Aセッションを行った。
前作『ワンダー 君は太陽』(17)でいじめっこだった少年ジュリアンと、ジュリアンの祖母のサラが主人公の本作は、あれから 6 年、学校を退学となった自覚のない孫の行く先を心配したサラが希望に満ちた未来へ導くために、自ら封印していた“衝撃の過去”を告白するという物語。
ジュリアンの祖母サラ役に、『クィーン』(06)でアカデミー賞主演女優賞を受賞した名優ヘレン・ミレン。いじめっ子だったジュリアン役には前作のブライス・ガイザーが続投。少女時代のサラに、『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』のアリエラ・グレイザー。サラの同級生・少年ジュリアンを、『トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング』のオーランド・シュワート。他に「X-ファイル」シリーズのスカリー役でエミー賞をはじめ数々の賞に輝いたジリアン・アンダーソンらが出演。
監督を務めたのは、『チョコレート』(01)、『ネバーランド』(04)などのヒューマンドラマや、『007/慰めの報酬』(08)といった超大作エンターテインメントの両極のジャンルで才能を発揮してきたマーク・フォースター。
今回、東京国際映画祭でのジャパンプレミアにフォースター監督と、『ワールド・ウォーZ』(13)、『プーと大人になった僕』(18)などフォースター監督と共に数々の作品を手掛けるエグゼクティブ・プロデューサー、レネ・ウルフ氏が来日して登壇した。フォースター監督は、『ワールド・ウォーZ』でのプロモーション以来、11 年 3 か月ぶりの来日となった。
フォースター監督は、「本日は私の作品を観ていただきまして本当に有難うございます。そして東京国際映画祭の皆さん、配給会社の皆さん、そして私の作品を観ていただいた観客の皆さんに感謝を申し上げたいと思います」と挨拶。「これから日本で上映が始まりますので、お友達にも声をかけていただいてたくさんお方が見に来てくれればなと思います」と語った。
ウルフ氏は、「たくさんの方に観ていただきありがとうございます。私たち映画を作るものとしては、見ていただいたからこそやりがいがあるといつも思っていますので、いろんな世代の方に観ていただきたい映画なのでよろしきお願いします」と述べた。
フォースター監督は、この映画で一番伝えたかったことを司会から聞かれ、「この時期だからこそうまく伝えることができた」という。当初は2年前に公開する予定だったが、ハリウッドのストライキがあってうまくいかず残念と思ったという。だが、「逆に今だからこそ、今の時代背景を考えると、多くの方たちにインスピレーションを与えるのではないか。優しさとはどういう意味なのかとか、今の時代だからこそ考えさせるいいタイミングだったと思います」とウルフ氏。
フォスター監督も、「この映画は優しさであったり、愛やラブストーリー。それは戦争のさなかという時代背景があります。この映画を作ったときは、世の中で戦争は起きていませんでした。今はいろんなところで争いや戦争が起きてますので、そういう意味でタイミング的にあっていた。優しさとはどういうことなのか、人間同士信じなければいけないし、対話があればいろんな問題が解決できるのではないか、希望があるのではないかということを、この物語を通して皆さんに感じ取ってもらえるのではないか」と語った。
フォスター監督は、原作となったR・J・パラシオの「ホワイトバード」について、2020年の3月に読んだという。「ちょうどコロナ禍で、サラ(ユダヤ人としてナチスの追ってから逃げて身を隠していた少女時代)のように、隠れていて外に出れない。その気持ちが凄く良くわかって、あまり泣くことはないんですが最後の方は泣きました。『ネバーランド』(ジョに・デップ主演の2004年の作品)のとも泣きましたが、それ以来でした。そして2人で脚本をいろいろ考えて、半年後にスタートしました」という。
その後、観客からの質問に答えるQ&Aが行われた。原作の作家R・J・パラシオのファンという男性は、パラシオ氏とどんな話し合いがあったのかなどについて質問。
「彼女はプロデュサーの一人でもあり、細かいことについていろいろ話し合った」という。
「後半から涙が止まらなかった」という女性は、少女時代のサラ(アリエラ・グレイザー)と、彼女を助けて家の納屋にかくまう足が不自由でクラスでいじめられているジョリアン・ボーミエ役のオーランド・スチュワートのってキャスティングの経緯について質問した。
コロナ禍で、初めてZoomでオーデイションを行ったという。2人でセリフを読んでもらい、「画面上ではパーフェクトだと思ったが、実際に現場に来たときにどうなんだろうと心配したが、期待した通りに演技してくれました」(監督)。オーランドは「集中したいから」といって撮影現場にスマホを持ってこなかったというエピソードも明かした。「2人はとても賢くて、時代背景についても良く理解してくれた」という。
主人公と同じ15歳だという少女からは、「監督は私たちの世代にどういうことを言いたいか」と聞かれ、監督は、「この(映画の)主人公は最初は人を避けて歩いている所がある。そしていじめという社会現象も一つのテーマになっているんですが、サラがジュリアンの優しさに気付いたときに、優しさや希望によって人間が変わるんだということを感じとってもらえたら。また学校でいじめがある時は、学校にも何かがある。助けるための手を差し伸べていもらいたいと思います」と語った。
そして最後に監督が、「今日は手を挙げていただいた方、質問そして下さった方に感謝します。お客様がいないと映画は成り立ちません。息を吹き込んでくれるのはお客様なので感謝します。そして東京国際映画祭の皆さん、映画をプロモーションしてくださる皆さんにも感謝します」と挨拶。ウルフ氏は、「日本の皆様は本当に優しく、皆さんのおもてなしの心に感動しました。いつもその気持ちを大事に思っています」と感謝の言葉を述べて締めくくり、会場は大きな拍手に包まれた。
【STORY】
いじめによって学校を退学処分になったジュリアンは、自分の居場所を見失っていた。そんな中、ジュリアンの祖母のサラがパリから訪ねて来る。あの経験で学ん だことは、「人に意地悪もやさしくもしないただ普通に接することだ」と孫の口から聞いたサラは、「あなたのために話すべきね」と自らの少女時代を明かす。時は 1942年、ナチス占領下のフランスで、ユダヤ人であるサラと彼女の両親に危険が近づいていた。サラの学校にナチスが押し寄せ、ユダヤ人生徒を連行するが、 サラは同じクラスのジュリアンに助けられ、彼の家の納屋に匿われることになる。クラスでいじめられていたジュリアンに何の関心も払わず、名前すら知らなかったサ ラを、ジュリアンと彼の両親は命がけで守ってくれる。日に日に二人の絆が深まる中、終戦が近いというニュースが流れるのだが──。
【クレジット】
監督:マーク・フォースター 『ネバーランド』『オットーという男』 脚本:マーク・ボムバック、R.J.パラシオ
出演:アリエラ・グレイザー、オーランド・シュワート、ブライス・ガイザー、ジリアン・アンダーソン、ヘレン・ミレン
2024年|アメリカ|英語・仏語|121分|カラー|スコープ|5.1ch|原題:White Bird|字幕翻訳:稲田嵯裕里|映倫区分:G
配給:キノフィルムズ
クレジット:© 2024 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:https://whitebird-movie.jp 公式X:@whitebird_movie
【第 37 回東京国際映画祭 開催概要】
■開催期間:2024 年 10 月 28 日(月)~11 月 6 日(水)
■会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
■公式サイト:www.tiff-jp.net
【TIFFCOM2024 開催概要】
■開催期間:2024 年 10 月 30 日(水)~11 月 1 日(金)
■公式サイト:www.tiffcom.jp