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6月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
(2023年6月11日17:30)
文化放送「上地由真のワンダーユーマン」(月曜午後9時30分)でパーソナリティ―の上地由真と映画ソムリエの東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんの3人が6月のおすすめ映画を紹介して見どころを解説した。同番組では毎週テーマを設け“由真的”テイストで進行。毎月第1週目は「今月のシネマログ」と題し、その月に公開される話題の映画作品を上地由真と映画の専門家2人が紹介する。今回は6月5日の放送で「大名倒産」「忌怪島/きかいじま」「To Leslieトゥ・レスリー」が紹介された。
上地 上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。
今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。
映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんとお届けします。
よろしくお願いします!
荒木・東 よろしくお願いします!
上地 6月公開の映画の中から、私、上地由真とさゆみん、荒木さんの三人が「これはおすすめ!」と思った作品をご紹介していきます。
まずはさゆみんからお願いします。

東 はい。私がご紹介するのは6月23日から公開の「To Leslie トゥ・レスリー」です。
あらすじです。テキサス州の田舎町で暮らしていたシングルマザーのレスリーは、宝くじで高額当選したものの、そのお金をすべて酒に使い果たした過去を持つ女性です。
そのレスリー、今は故郷を出て、お金も仕事もなく、その日暮らしの毎日。息子からも愛想をつかされ、行き場を失いかつての友人のもとに身を寄せますが、結局お酒に溺れ追い出されてしまいます。行く当てもなく彷徨う中で、偶然が重なりモーテルで働くことになります。
そのモーテルの従業員・スウィーニーとの出会いによって、少しずつ変わり始めるレスリー。過去を見つめ直し、人生をやり直すことが出来るのか…というお話になっていますが、ちょっとね、本当に最後は鎖骨に涙が溜まってしまうぐらい泣いてしまったんですけど。
上地 よう泣いたね~。(笑)
東 すごく泣きましたね。本当に泣いたんですけど。この作品って、アメリカで元々単館公開されていた作品なんですけど、この主演のアンドレア・ライズボローさんの演技があまりにも素晴らし過ぎて、グウィネス・パルトロウですとかシャーリーズ・セロン、エイミー・アダムス、ジェーン・フォンダ、ローラ・ダーンたちの間で話題になって、アカデミー主演女優賞まで今年ノミネートされることになった奇跡の作品です。
ちなみにケイト・ウィンスレットはこんなふうに彼女の演技を絶賛しています。「私の人生で観た中で最も素晴らしい演技のひとつ」としているんですけど、これ本当にいろいろ考えさせられたんですけど、人生でいろんな美しさに出会うじゃないですか。
でも改めてこのアンドレア・ライズボローさんて本当に美しい女性なんですけど、この映画ではもう、はっきり言います、見る当てもない姿、美しいとは全然形容できない姿で登場しているんですけど、それでも再起をかけて一歩踏み出す姿がどれだけ、どんな人にとっても美しいものなんだなあ、って。立ち直ろうと踏み出す姿って、どんなダイヤモンドよりも本当に綺麗だなあって思ってね、グッときたんですけど。おふたりはどうですか?
上地 たしかに、最初観ている時はどうしようもない彼女にね、ちょっと苛立ちを覚えたりもしたんですけど、気付けば彼女を応援して見ている自分がいて。
あとはやっぱり葛藤にもがくお芝居が素晴らしかったですよね。
東 素晴らしかったですよね。彼女のお芝居が素晴らしいおかげで、この映画のもうひとつの側面として、人は簡単に変われない、本当に変われないんだな、っていうことがより響くからこそ、ラストに向けて響くような感じになっていましたよね。
荒木さん、どうですか?
荒木 そうですね。意志の強さと復元力。今おっしゃったように、人間そう簡単に変われないんですよ。歳をとるとね、歳をとるごとに変われなくなってくるね。
東 この間、嫌な気持ちになるぐらい変われないですよね。
荒木 そうですよね。だから今回のそのレスリーがそういうものを乗り越えて復活するっていうこと自体が、ひとつの奇跡ですよね。まあそう意味じゃあね、最後の場面に進む過程がちょっとご都合主義かなってちょっと思ったんですけども。中年男が全力で助けたり最後にお友達がケンカしても突然寄り添うみたいなところは、ちょっとね。
何が目的なの?みたいなところがあるんですけれども。とにかくリアリティを追求した映画で、まあそういうところも気にならないぐらい彼女の演技がすごかったというこということですよね。まあお金を得るとね、大金を得るとね、こういうことがよく起きそうですけど。
お二人はどうですか、宝くじは?
上地・東 買ったことない。(笑)
東 荒木さん、買いまくってそう。
荒木 僕はね、ロトはやって20万円ぐらい当たったことがあるんですけど。
上地・東 えーっ!
荒木 ロトは予想だからね。サッカーの。
上地 あ~。
荒木 だいたい宝くじってね、一番効率が悪いギャンブルって言われているんですよ。だから一獲千金。私は競輪とかよくやるんですけど。あと競艇、パチンコの方がすごい当たりやすいです、断然。
東 そうなんですか。
荒木 金額の額は低いけどね。日本の宝くじで年末ジャンボあたりだと、1等が当たる確率は1000万から2000万分の1なんですよ。だから宝くじ1枚が300円として、変な話30億か60億買って、7億円当たるっていうこと。そりゃあみんなね、
当たった人は…私の友達で3000万当たった人がいたんですけども。
東 聞いたんですか、それ?
荒木 聞いた、あとで。当たったことある?って聞いたら、うん、3000万円とかいって。それ10年前だというんです。なんでっていうと、その人、お金持ちでさ。
上地 うわぁ…。
東 お金持ち、当たる説ありますよね。
上地 あるある。あるところにお金集まるんだよ。
荒木 そう。矢野さんっていうんだけど、腐るほど金持っている人だからね、あんまり3000万円当たっても聞かれなかったから言わなかったっていう、そういう感じらしいよ。
東 世界各国で宝くじ当たった人が不幸になる、今回のレスリーもそうですけど、あれって何なんですかね?
荒木 『【その日】から読む本 突然の幸福に戸惑わないために』っていう本がね、あるらしいんですよ。高額当選者の人に銀行があげる本なんですって。みんなやっぱりね、この映画に出たように使い果たしたり。レスリーみたいにお金だけでね、飲んじゃうと肝臓の方が先にまいっちゃうと思いますけども。結構いるんですって。
東 だって本が1冊出来ているぐらいですからね。
荒木 人生を失敗した人はね、山ほどあるらしいですよ。だから、と言いながら今夜、買っていこう。
上地 買うんかい!
東 というわけで私がご紹介したのは、6月23日から公開の「To Leslieトゥ・レスリー」です。
上地 続いては、荒木さんのおすすめ作品です。

荒木 はい。私がご紹介するのは6月23日公開、さっきと同じくお金に関する映画ですよね。「大名倒産」。「とうさん」は「お父さん」じゃなくて企業が「倒産」する、ですね。
時は1884年、江戸時代後期です。主人公は間垣小四郎くん。彼は越後の丹生山藩の下っ端役人の息子ですね。ある日突然、自分が藩主、殿様の跡継ぎだと知らされるわけです。
しかも本当の父である殿様は小四郎に国を任せて隠居しちゃいますよね。小四郎さん、藩主へと大出世したように見えたんですけども、なんと中に入ってみると、その藩が、現在の価値にして100億円、25万両の借金を抱えていることがわかるんですね。頭を抱える小四郎に前の藩主は、借金を踏み倒して藩を倒産させると言うんですね。まあ計画倒産ですね。それで『大名倒産』ということなんですが。実は前の藩主はですね、小四郎にすべての責任を押し付けて切腹させようとしていたという…ですね。
東 すごい話。
荒木 浅田次郎さんの小説が原作なんですけども、出演者は神木隆之介さんですね。キャリア初のちょんまげ姿はどうでした?
東 なんかいろんな意味で、印象に残りました。普段の方が好きでしたけど、
新境地ですね。
荒木 うん。他にもね、杉咲花さんとか佐藤浩市さんとか、他にも豪華メンバーがいっぱい出ていましたよね。お二人どうですか、ご覧になって感想は?由真さんから。
上地 本当に時代劇を意識しないで観られる、現代にも通じるテーマで面白く楽しく観られました。
東 私これ、小説を持っているんですよ。小説に出てくる、浅田次郎さんの原作のものにありがちなんですけど、1行読むのに難し過ぎて、実は断念していたんです。
しれ~っと進むけど知らない言葉が多すぎて、ちょっと余力ある時にちゃんと読もう、面白そうだから、って思っていたので今回映画化されて、こんなに面白い話が、そしてこんな歴史のポップな描き方があるんだ、って思ったので。歴史ものなんですけど、勉強になるんですよ、だから。でも同時にめちゃくちゃ笑ってしまうとか、楽しく観させていただきました。
荒木 そうですね。まあ最近ちょくちょく見られる経済時代劇っていうやつですよね。コメディ要素を多くして緩めの色調で、さらに松竹の人情要素もちょっと入れているんですけども。この経済時代劇って代表的なのが『武士の家計簿』、これが最初ですよね。
最近になると『近江商人、走る!』とかね。ビジネス時代劇でいいと思うんですけども。ビジネス時代劇は武士のチャンバラや政治の権力闘争とはほど遠い、経済というところでものを見ています。ので、当時の庶民の生活とか生き生きと描かれていますから。だから当時の人のお金の悩みとか、やるせない現実も入ってきているんですけども、まあ倹約生活もするわけなんですよ。そういうところで、今のご時世みたいなのと。わかりやすいのはアニメフリップを挟んで、今のシステムだと、サブスクだとか、それからシェアハウスなんかも出てきましたよね。
東 上手に組み込んでいますよね。今の若者たちに流行っている言葉と昔のエピソード。
荒木 ふるさと創生だとか、地方の産業なんかも入れていますよね。まあね、天下を丸く治めるには武力とか政治力、権力だけじゃなくて、経済を制するものが政治を制するんだという、政治と経済の相互関係なんかも上手くね、深読みなんかもすると出来ると思います。だけどね、借金の恐ろしさとか、金融商人であるところの両替商とかも今も同じだし。たぶんニュースとかで見ていると思いますけど、今の日本は1200兆円を超す大きな借金を抱えているわけですよ。事実上、世界一の借金国なんだよね。
東 そうですよね。
荒木 一部の学者さんはですね、外国に借金しているわけじゃないからとかいろんな理由で日本経済が破綻危機に陥ることはない、っていうふうに主張しているんですけど、わかりませんよね。本当にそうかな、と思うよね。それなのでね、私たちもこういう映画を観て、ああ昔の人は大変だったね、というのではなくて、今の私たちの国の財政の健全化もちょっと考えないといけないかなというふうに考えますよ。
東 笑いながらも結構重たくて、でもこんなに明るい楽しい作品にしていて。
荒木 まあこんなこと、小銭稼ぎが好きな私が言うことじゃないと思いますけども、やっぱりね、そういうこともちょっと考えると面白いと思います。
ということで私が紹介したのは6月23日公開の「大名倒産」という作品でした。

上地 後半は私、上地由真のおすすめ作品、「忌怪島/きかいじま」をご紹介します。そして本日は清水崇監督にお越しいただきました。よろしくお願いします。
清水 どうもよろしくお願い致します。清水崇と申します。
上地 清水監督といえば、ホラー映画の巨匠として「呪怨」をはじめ、「輪廻」「こどもつかい」さらに「犬鳴村」「牛首村」などの村シリーズなど、数々の話題作を手掛け、その世界観は海外でも高く評価されています。そして6月16日には最新作「忌怪島/きかいじま」が公開されます。今回は“島”と仮想現実“メタバース”がテーマの新感覚のホラー作品になっています。
ストーリーです。離島でVR研究をするプロジェクト「シンセカイ」のメンバーが、島の中で次々に不可解な死を遂げます。新しくメンバーに加わった若き天才脳科学者・片岡友彦は、仲間と共にその真相を探り始め、島の秘密だった赤い女“イマジョ”の伝説を知ります。
事件を解決していく天才脳科学者・片岡友彦を「なにわ男子」の西畑大吾さん、片岡と一緒に真相を探る女性を山本美月さんが演じています。本当に新感覚の映画でしたよね。あの、南の島って明るいムードなイメージなので、ホラーとはかけ離れたイメージだったので、またそこが面白いなっていうふうに思ったんですけども。どうでしたか?
東 めちゃくちゃ怖かったです。新感覚って由真さんもおっしゃっていましたけど、VR、メタバースみたいな、今そういう人類が超越していく知能ものを昔ながらの呪怨、怨念、呪いに融合させているのがすごいな、って。革新的であり、古来のものの怖さみたいなものが掛け合わさった作りが面白いし、こういうタイプのものは初めて観たな、って。だからこそ先が全然予測出来なかったので、そういう技術の勉強になりながらも、ちょいちょいう本当に怖いので。いや~、夏が来たな、って。私が観たのは6月ですけど(笑)もう夏の訪れ。こういうの待っていた!ベースも南の島ですし、そこで上陸した感も自分もあります。ああ、夏が来たんだ!来たぞ!みたいなテンションで、帰りはノースリーブになって帰りました、はい。
上地 アハハハ!
荒木 夏の、しかもああいう太陽サンサンのところにいきなりね、幽霊が出るっていう(笑)ショックもありますよね。絶対に出そうもない、我々もね、出そうだなっていう予感はするんですけども。
上地 ちょっと不気味な…ね。
荒木 まさか、そこで来るのかよ、って(笑)よっぽど、あのショックっていうのが2倍3倍になりますよね。
清水 あの、そうですね。どうしても皆さん、こう暗いところっていうのが怖さって引き立つし想像されると思うんですけど、僕がここ最近1年に1本、〇〇村っていう「村」シリーズを作っていて、これがこう、若い子が自分の血筋に絡んだ都市伝説に絡んでいて、すごい昔の因習、じめじめしたものに関わっていくというものが多かったんで、1回3部作の「村」が終わってから、次「島」に行こうってなった時に、もうちょっとポップな要素を入れたいし、明るいポップな要素を世界観にしたいというのがプロデューサーと僕の意向であったんですね。で、もういっそのこと、そんな明るい開放的なところでどうやって怖がらせるの?っていうところまでいこうか、ってことで、脚本書く前からシナハンって言って、シナリオハンティングに行ったんですけど、最初からもう南の方の島ばっかり。
東 ちょっと違うかもしれないんですけど、私的に似たような怖さが「ミッドサマー」、よく見える方が怖い。
清水 ああ~。
東 そうそうそう。A24の。ああいう、ちょっと似たような感覚に。見えなくて暗いから怖いんじゃなくて、見えてしまうことの恐怖みたいなものをちょっと感じて。だから感覚はちょっと新鮮な感じで。
清水 「ミッドサマー」も元々似たような「ウィッカーマン」っていう映画があったりするんですけど。だからどうしても日本の怖さって、怪談とか?ですけど、じめっとしていて水っぽくて暗いところっていう印象があるんですけど。僕ずっとホラーばっかり撮り続けてというか、撮らされ続けていて、明るいところでもやってみたいというのもあったし。今回に限らず、元々アバターとかVRとかに脳科学をぶつけたものをやりたかったんですよ。それがホラーじゃなくてもいいんですけど。やっぱり脳科学が入らないとメタバース、メタバースってよく東映の宣伝部さんも言うんですけど、そこだけでこんなこと起こらないかな、っていうのがあって。この中に脳科学が入ったことによって、近い未来決してすべて荒唐無稽じゃないっていうところをベースに明るい島でホラーをやりたかったんですよね。
上地 奄美大島を選ばれた理由とかってあったんですか?
清水 最初はいくつか他のもっと周りにある小さい島も…。
上地 例えば?
清水 実は…これあんまり言うと、島の人喜ぶかわからないですけど…。
上地 聞きたい!(笑)
清水 「喜」ぶに、世界の「界」で「喜界島」あるんですよ。
上地 あるんですよね。
清水 響きは一緒だけど、その島のことじゃないんですけどね。全然違う架空の島の名前を映画では使っているんですけど。そこがサイズ的にちょうどいいっていうので、「きかいじま」の「きかい」っていう字が残っちゃっていて。いろいろ探っていくうちに今回の「忌」に怪奇の「怪」になったんですけど。そうこう島を見ている中で、あまり小さい島だと古い旅館1個しかなくて、スタッフ、キャスト全員が泊まれないんですよ。民泊でバラバラっていうわけにもいかないので。あと交通の便とか。とはいえ、実は場面によっては若い彼らメインの、若い者たちが集まっている研究室の地上の部分っていうのは加計呂麻島でさせていただいているんですね。
上地 ああ、加計呂麻島。
清水 そういう部屋数がいくつかあっての若い人たちが憧れられるような住まいの地下にその研究室、ラボがある、っていうのをやりたくて。だからいろんな島を転々として、奄美大島だけではないんですけどね。
東 そうなんですね。どうするんですか、今年の夏…ね。リゾート流行らなくなっちゃうぐらい怖い…大丈夫ですか?
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上地 アハハハハ!
清水 いやいや…(笑)そうですね、「ジョーズ」の公開の年はね、ご存知の通り…。
荒木 海水浴客が減っちゃって、半分以下に。
東 えっ、そうなんだ?!
清水 半分以下にまで減ったっていう逸話があるんですよ。
東 そんなことが起きちゃうかもしれないぐらい、海に入れなくなるぐらい怖いけど、でも綺麗だし。
清水 そうなったら映画の影響大きいってことだから、ありがたいけど申し訳ないですよね。
上地・東 アハハハハ…。
清水 むしろ西畑くん、ジャニーズの男の子出ているから、こう聖地みたいにして行ってくれたらいいなって。
上地 ああ、たしかに。
清水 実際ありますからね、リゾート地として。彼らが住んでいる場所っていうのはね。
上地 そうですよね。
東 行ってみたいと思います。
清水 探せばすぐ出てくると思うので。
荒木 僕からもひとつ、ちょっと聞きたいんですけど。かつて富江役で酒井美紀さんでしたよね。それで一番有名な伽耶子は藤さん。これ、えっと女優さんのイメージで、この人幽霊とかそういう役に合う人、合わない人って。どうなんですか、例えば由真さんみたいな人は幽霊役はどうなのかとか。その辺はどうなんですか、ポイントは?
清水 あ~…何か陰りがある人をやっぱりちょっと思いますよね。
荒木 ああ。合うんじゃない?って。
清水 そうですね。紹介で会った人とか、ワークショップで来てくれた俳優さんの中で、なんかこの人今抱えてそう、内側に秘めているなとか…。
東 陰りっていうのは、もうちょっと因数分解すると?
清水 個々に持っているバイオリズムとか波動みたいな、何かあるじゃないですか。オーラというか。性分とキャラクターもあるんですけど。結構落ち込みと上がりが激しい人もいれば、常にバランス取れる人もいるし。でもどんな人もバランス崩す時もあるし。起こった出来事、恋愛でもなんでも家族のことでもそうですけど、沈むこともあるし。そこの加減だと思うんですけど。
荒木 なるほど…。
清水 あ、この人ベースにずっとこの陰りを持っているなっていう人がたまにいるんですよ。
東 この人、ずっとベースにこの陰りを持っているってすごいな。(笑)
清水 それが特長だし、良いところになったりもするんです。そういうところは見ます。
荒木 でもまあ難しいですよね。
清水 難しいですね。
荒木 まあ、俳優・タレントさんの事務所の方向もあるでしょうし。
清水 そうですね。でも一度、ちょっとこの人いいかもって思って、なんとなく暗いオーラを感じたので、ふらっと出てくる幽霊の役にキャスティングしてお願いして出てもらったんですけど。出てもらう前に衣装合わせで呼んだら、その前に会っていた時と全然様子が違うんですよ。あれ?こんな明るい感じだったっけ?大丈夫かなと思いながら聞いたら、プロポーズされました~、って。ああ、なるほどね。ちゃんとそういうことがあるんだ、と。
上地 最後に監督からリスナーの皆さんにメッセージをお願いします。
清水 はい。ポップで明るい南の島で撮ったホラー映画だという紹介があったんですけど、結局、でも根底には西畑大吾くん演じる天才脳科学者が人との付き合い方とか世界との距離感とか、というのを自分なりにどう捉えていくか、どう変わっていくか、先ほどの『To Leslie トゥ・レスリー』でもありましたけど、そう簡単に人は変われないとかっていう部分も含めて、そこに統制していく映画になっているので、そこのメッセージもホラー映画なんですけど観ていただけたらなと思います。
上地 私がご紹介したのは6月16日から公開の「忌怪島/きかいじま」でした。清水監督、ありがとうございました。
清水 ありがとうございました。
上地 6月公開の映画作品の中から、それぞれの推しをご紹介しました。ぜひ映画館でチェックしてください。
映画評論家の荒木久文さん、映画ソムリエの東紗友美さん、ありがとうございました。
荒木・東 ありがとうございました。

■上地 由真
オーディションがきっかけで関西を中心に音楽活動開始。2007年シングル「shine day」などをリリース、以降全国各地でライブ活動やイベント参加。最近は女優としても活躍、舞台、映画などのジャンルにも進出。
■東 紗友美
映画ソムリエとしてTV・雑誌・ラジオなどで活動中。趣味は、映画ロケ地巡り。国内外問わず廻り、1年で100箇所以上ロケ地を訪れたことも。インスタグラムでも毎日映画に関する写真やコメントをほぼ毎日掲載中。
■荒木 久文
現在 複数のラジオ番組を中心に、新聞紙面 ニュースWEBなどに映画をテーマとした評論 批評 紹介 などの活動を展開。報知映画賞選考委員 ノミネート委員 日本映画ペンクラブ会員