戸田恵梨香と永野芽郁、「母性」完成報告会で「愛せない母と愛されたい娘の衝撃ドラマ」を熱く語る

(2022年10 月27日21:20)

戸田恵梨香と永野芽郁、「母性」完成報告会で「愛せない母と愛されたい娘の衝撃ドラマ」を熱く語る
「母性」完成報告会に出席した左から永野芽郁、戸田恵梨香、廣木隆一監督(27日、都内で)

戸田恵梨香(34)と永野芽郁(23)が27日、都内で行われた東京国際映画祭の「母性」(11月23日公開)完成報告会で、廣木隆一監督とともに「愛せない母と愛されたい娘の衝撃ドラマ」の製作裏話や “難役”へのそれぞれの挑戦などについて熱く語った。

同作は興行収入38.5億円を記録した映画「告白」の原作者・湊かなえ氏のベストセラー小説「母性」を戸田恵梨香、永野芽衣などのキャストで映画化した話題作。「ヴァイブレーター(2015年)、「ストロボ・エッジ」(2016年)などの廣木隆一監督がメガホンを取った。
女子高生が遺体で発見され、その真相をめぐって、愛せない母親と愛されたい娘が、それぞれの恐るべき秘密を語るが、2人の話が次第に食い違っていき、やがて衝撃的な結末を迎えるという内容。母親ルミ子を戸田、娘の清佳を戸田が演じて、三浦誠己、中村ゆり、山下リオ、高畑淳子、大地真央らが脇を固めている。この日、都内でジャパンプレミアが行われた。先日ワールドプレミアが行われたバンクーバー国際映画祭でも盛況で、観客投票5段階評価の平均で星4.3の好評価をマークしたという。

■戸田「永野芽郁さんの母親にはなれないと思った」が…。

戸田恵梨香と永野芽郁、「母性」完成報告会で「愛せない母と愛されたい娘の衝撃ドラマ」を熱く語る
戸田恵梨香

戸田は、「永野芽郁さんの母親にはなれないだろうと思いました。うそでしょって。そんな親子ほど年が離れてなくて、心配になっちゃってちょっと調べたくらい。成立させられるのかなという不安があったんですけど、現場に入っていろいろ考えていると、私が演じたルリ子自身が母親になれないという人というのがありますし、芽郁ちゃんが私のことを母として見ていてくれていたので、私の精神的には何とか成立させられたという感じでした」と振り返った。
永野について「とにかく涙がぽろぽろ出てくるんで、どうやって泣いてるんですかっていうのを初めて役者さんにきました」と笑った。永井は「えーっ、なんていいましたっけ」とよく覚えていない様子で、戸田が「悲しいと思ってお芝居してますって」と代わりに答えて2人で大笑いした。

■永野「戸田さんはスイッチが入ったときは怪物」

戸田恵梨香と永野芽郁、「母性」完成報告会で「愛せない母と愛されたい娘の衝撃ドラマ」を熱く語る
永野芽郁

永野は戸田との共演について「嬉しかったです。今回今作に出演を決定するにあたって、戸田恵梨香さんが主演だからという話を聞いていたので脚本を開く前に、戸田さんだったらやりますっていうぐらい、いつかご一緒したかったので本当にうれしかったです」という。
そして「戸田さんにスイッチが入ったときの、怪物みたいな。(笑い)恐ろしいんです。誰も声を掛けられないぐらいにグワーッと入っていくんで。すごく間近で見させていただいたんで貴重な経験になりました」と戸田の役へののめりこみの凄さについて明かした。

戸田は「大体お芝居しながらもう一個このへんに自分がいるから、そういう感覚が全くない。憑依型のタイプと思われるし、以前も別の役者さんから『声かけられなかった』って言われたことがあったんですけど、自覚はないです」という。

廣木監督は2人について「とてもいい感じだったと思いますよ。難しいシーンやハードなシーンもあったんですけど」と語った。

■戸田「火事のシーンは3つの視点があって難しかった」

ハードなシーンについて戸田は「予告にも使われてたんですけど、火事のシーンが大変でした。大変というか、その火事のシーンは私の目線、それから娘の目線、そして実母(大地演じるルミ子の実母)という3つの視点があったんです。なので、それを自分の中でちゃんと理解をしながらやらなければいけないということと、火事が今実際どれくらいの大きさになっているのかというのを把握する。なのでスタッフさんとの共通認識を持つということがすごい大事なシーンだったので。そこをスタッフさんともそうだし。大地さん、それから娘と3人で理解をするという努力が難しいかしいというかすごく大事でした」と語った。
「大体は母と娘の視点なんですけど、火事のところは3つだったんですよね。そこは作品全体を通して見ても面白い見え方になるのかなと思います」という。

■永野「落ち葉の上に倒れるシーンで虫がすごくて」

永野は「大変だったのは落ち葉の上に倒れているシーンがあるんですけど、虫がすごくて、ミミの当たりで音がすると勝手に体が動いちゃうので。でも戸田さんが必至で声をかけてくれるシーンでもあったので。絶対の動けない、ああ動きそう、動けないっていう加藤が大変でした」

■戸田「私は現場ではものすごくあさましかったなって思います」

これまでにない役柄を演じた戸田は「娘のままでいたいとか、やっぱり母に愛され続けたいというのはきっと世界共通の感情なんじゃないかなと思って。それは異性だったとしても同性だったとしても、愛されたいって思うのって違和感のない自然に芽生える感情だと思うんですけど、その親から受け取った愛情だったり受け継いだ意思だったり、経験から基づいた自分にとっての価値観とを娘に押し付けてしまう人だったんで」とルミ子を分析した。
そのうえで「ルミ子にとっては普通のことなんでけれども、はたから見たらそれはおかしく見える。だけどそれが猟奇的殺人を起こすような人には絶対見えてはいけないんだというのはあって。彼女の中でどこまでが普通のことなのか、微妙なラインで見せるっていうのはすごい考えさせられて。また自分の目線、娘の目線でも、どこまで共通なものが彼女の中にあるのか、また彼女自身それには気づいていない自分の本来の姿を知らないっていうところでも意図的ではないのだっていうことろを表現するっていうところも考えさせられる点で。今回芽郁ちゃんが先ほど、話しかけられるような感じじゃなかったとおっしゃってたけど、私は現場ではものすごくあさましかったなって思います」と難役と苦闘した心境を明かした。「実際、ルリ子の目線、清佳の目線、本当に事実なのかなって、自分自身も疑いながら演じてましたね」という。

学生時代のルリ子から母親になってまで20年以上を演じたことについて「そこに関しては運よく朝ドラを経験させてもらってて、もはや15歳からやって最後は50代前半ですか。約40年近くの人生を体験させてもらったので、自分の中で一つの引き出しというものはあったのでその引き出しを今回あけさせてもらいました」とNHK連続テレビ小説「スカーレット」のヒロインを演じた経験が役立ったという。

■永野「完全に戸田さんについていかせてもらいました」

永野が演じた清佳は、母の愛を求め続ける娘で、やがて恐ろしい事実を知ることになるという役だがその人物像について「すごく難しくはあったんですけど、ただ母に愛されたいだけで、ただ母に喜んでほしくてっていう女性だったので、なんか脚本を読みながら、そして現場にいながら、こうもうまくいかないか、と感じながら過ごしていましたね」と振り返った。
ルミ子との母子関係については「自分に当てはめると、なかなか私自身は共感できないところが多いですけど、ただ娘が母に対して私のことを愛してほしいなと漠然と思う気持ちって皆さんもあると思うので形は違うけど皆さんも共感してくださるだろうなとは思います」 という。
そして「現場にいらっしゃる戸田さんがルミ子さんでしかなかったので、現場に入るときにどうしようかな、難しいなって思ってたんで、少し間違えると何だこれってなっちゃうし、どうしようと思ってたんですけど、現場に入ったら戸田さん見ているだけでわたしは大丈夫だなと思ったんで、完全に戸田さんについていかせてもらいました」という。

■2人の実際の母娘関係とは?

実際の母親との関係について聞いかれて戸田は「親子関係でいうと割と箱入り娘じゃないですけれどすごい大事に守られてきてたなっていう風に思いますね。幼少期なんかはいつもプリンセスにあこがれてドレスなんか来てそこら辺を走り回ったりしてましたけど、学生になると早く自立したくてしょうがないという感じでしたね」と明かした。

永野は「私はいい娘だと思うんですよ。お母さんが喜ぶことをしたいと常に思っているので 、運転手もしますし、月1ぐらいでお母さんとどこかご飯食べに行ったりしますね。母は出演作は絶対観てくれるんですよ。仕事があっても何があってもちゃんと観に行くってやってくれているので、母もいい母ですね」と明かした。

■戸田「若い世代の感想で『最後の清佳を観てすごい救われた』と聞いた」

完成した映画を見ての感想を聞かれて戸田は「初めて本編を観たときは、よくわからなかったんです。どんだけ下手なんだろうって。ルミ子のことを理解したうえで現場に入ったつもりだったんですけど、理解しきってなかったのかもって自分を疑ってしまい、ちょとよくわからなかった。客観的には観れなかったんですよね。それで若い世代の方とかの感想をうかがうと、結構考えさせられる作品だったとか、最後の清佳を観てすごい救われたと聞いたんですけど、最後の清佳に救われる、そういう作品なんだって知って、私が感じたものと皆さんの感じる世界のギャップがある作品なんだろうなと思って、本当に皆さんの感想を聞くのが楽しみですね」といい「ルミ子の目線で見る人もいるし、清佳の目線で見る人もいるし、はたまたわたしたちより上の世代のさらに母の目線で見る人もいると思うんで、感想が変わってくると思うんですね。本当に興味深い作品なんだなと思います」と語った。

■永野「いろんな感情を駆け巡らせて観れる作品」

「すごく楽しみでもありながら、私自身もいろいろ、これ合ってるのかなあとか、いろんな感情を駆け巡らせて観れる作品ですので、皆さんがどういう風に見てく出さるのかすごく楽しみです」と永野。「自分の年齢では難しい内容なのかなと思いながら、考えながら挑んだ作品なんですけど、同世代の方に何かあるものになっていると思います。皆さんご覧ください、よろしくお願いします」と呼びかけた。
廣木監督は「楽しみですね。自分に返っていくっていうか、自分はどんな母親なんだろうと思える作品になったと思います」と公開に自信をのぞかせた。

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