「雉岳山(チアクサン)」「サユリ」などのとっておき情報

(2024年8月24日10:30)

映画評論家・荒木久文氏が「雉岳山(チアクサン)」「サユリ」などのとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、8月19日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」で福永和也を相手に話したものです。

鈴木      よろしくお願いします。

荒木      恐怖映画シリーズ3週目突入ですけど、都市伝説をもとにした映画は、意外に多いんですよね。日本で有名なのは「口裂け女」。それに「学校の怪談 花子さん」ですね。他には、清水崇監督の村シリーズで「犬鳴村」、「牛首村」なんかもそうですよね。これは、石川とか福岡とか、本当の場所ですけど…。
今回ご紹介するのは、韓国の都市伝説をもとにした映画です。タイトルが、鳥の「雉」と山の山岳の「岳」と、そこに「山」を書いて「雉岳山(チアクサン)」。韓国の中央部にある1200mぐらいの山で、国立公園になっている、紅葉がきれいななだらかな山らしいですね。

      
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  「雉岳山(チアクサン)」(© Doho Entertainment. All Rights Reserved.)       

鈴木      本当にあるんですね?

荒木      本当にあるんです。そんな穏やかな山なんですけど、そこにはなんとも血生臭い都市伝説があるんです。それが、「雉岳山18分割連続殺人事件」と呼ばれる噂なんです。

鈴木      なんなんですか?!それ?

荒木      1980年、雉岳山の登山者の男性の遺体が発見されてから、毎週バラバラに切断された遺体が連続して発見されたというんです。その遺体の切断面は滑らかで、犯行に使用された道具や被害者の情報などはまったく明らかにならないまま事件は迷宮入りしたと言われている典型的な都市伝説です。

鈴木      「切り裂きジャック」の山編じゃないですか。

荒木      そうそう!それをもとに作られた映画です。8月23日から公開されます。ストーリーです。ミンジュン君はじめ、5人の青年男女は、マウンテンバイクで雉岳山からで山道下り、つまりダウンヒルを楽しむ計画を立てていました。彼らはみんな、過去に連続殺人事件が起きたという “都市伝説”のことは全く知らなくて、山へ向かう途中謎のおばあさんに遭います。

鈴木      あはははは。それが怖いわ!もう!謎のおばあさん!

荒木      「ここに来るな。来たら全員、死んじまう」と言われます。

鈴木      なんか「八つ墓村」じゃないですか。

荒木      ほんとほんと(笑)。しかし彼らは無視して、引き返すことなく山に向かい、山小屋でそれぞれ楽しく過ごしていましたが、突然、大きな揺れと赤い光が彼らを襲い、山小屋の周りで次々と異変が起こりはじます。 いろいろな不可解な現象が襲いかかり、メンバー自身の精神状態もおかしくなってくるんですよ。さあ一体、雉岳山には何が隠されているのか…というんですね。韓国スリラーの王道を行くと言ったらなんなんですけど、血もたっぷり恐怖もたっぷりです(笑)。
山の中でのスリラーものは意外に多くて、山小屋で密室や遭難して孤立してしまう系が多いんですが、これも途中までそんな感じなのかと思っていたんです。怖いには怖いんだけど、まあこれなら普通だしと思っていたら最後に、エンドロールで凄いネタばらしがあるんです。

鈴木      ええっ?エンドロール?

荒木      こんなだったの?!という、まさかの仕掛けが明らかになります。これ、言えないんですけどね。

鈴木      誰かの夢だったとかやめてよ!

荒木      ああ!夢オチじゃないですね!エンディング迄よく我慢してネタ晴らししなかったなあと思うんですけど。びっくりしました。…言っていいのかな…、ちょっと言っちゃおうかな…。古代文明SF系って言うかね…。

鈴木      …ああ!!

荒木      そんなのが入って来ているんですよ。この映画、韓国で公開されると地元警察への問い合わせが殺到して、警察が「そんな事件はありませんでした」と発表したり、地元の市民団体から「地域のイメージが悪くなるからやめろ!」と訴訟にまで発展したという、いわくつきの映画です。

鈴木      それだけリアリティがあるってことですね。

荒木      あるってことですねぇ。8月23日から公開、「雉岳山(チアクサン)」という韓国スリラーです。最後見ると面白いですよ。
次は、「サユリ」。カタカナでサユリです。もちろん人の名前です。こちらも8月23日から公開です。中学3年生の則雄君は今まで住んでいた街中のアパートから、父親が多少無理をして購入した郊外の家に引っ越します。学校から遠かったり、坂道の多い不便な場所ですが、家族7人は全員大喜び。ところが、新しい生活が始まった矢先、父親が急死します。

      
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  「サユリ」(全国公開中)(配給:ショウゲート)(©2024「サユリ」製作委員会/押切蓮介/幻冬舎コミックス)       

鈴木      なにそれ?

荒木      さらに追い打ちをかけるように、一家を襲ういろいろな怪異な出来事が続出して、この家には何か恐ろしいものが憑りついている…と考えるようになります。 おじいちゃんが死に、そして弟が死に…。

鈴木      えーっ‼則雄君、がっかりじゃないですか。

荒木      そうなんです。そんな時、いままでちょっとボケ気味だったおばあちゃんが、突然正気に戻ります。もともと超元気で男勝りだったおばあちゃんは元気いっぱいで、「この家にいる“恐ろしいもの”を退治するんだ!戦争するぞ。」と宣言するんです。(笑) だから、ちょっといささか普通のホラーとは一味違うものなんです。原作はマンガなんですけど、白石晃士さんという監督が実写化したものです。この白石晃士さん、有名な恐怖映画監督なんです。ちょっと変わった恐怖映画が多いです。鬼才と言われる人でそれこそ「口裂け女」シリーズ、「貞子vs伽椰子」、「地獄少女」とか。とにかく描き方がえぐいんですけど、結構笑いや下ネタが多いんです。青春映画的要素も入ってたりして。 役者の使い方がうまいことでも有名です。今回、おばあちゃんはベテラン女優の根岸季衣さんが演っているんですけど、なかなか突き抜けててさすがです。 とにかく、むちゃくちゃホラー。とんでもホラー系です。

鈴木      おばあちゃんが、サユリなんですか?

荒木      すみません。違うんです。サユリってのは、そこに住み着いている霊です。だから、女同士の戦いなんです。おばあちゃんとサユリが戦う。とんでもない系のホラーが好きな方は、こちらのホラーへどうぞ。ムチャクチャホラーです。

鈴木      おばあちゃんとサユリという図式なら、則雄君はどこへ行っちゃったんですか?

荒木      則雄君も闘うんですよ。

鈴木      則雄君も一緒に戦うんですか?

荒木     戦うんです。こちらも8月23日から公開です。3週、恐怖シリーズをご紹介しました。来週もあるかもしれません。

鈴木      来週もやりましょう。

荒木      もう1本、一般映画ご紹介しようと思ったんですが、予定を変更して。皆さんご存じだと思うんですけど、フランスの映画スター、アラン・ドロンさんが18日亡くなったというニュースが入ってきましたね。

鈴木      びっくりです。

荒木      そうですよね。享年88歳。アラン・ドロンというと、この番組を聞いているリスナーの方はピンと来ないかもしれませんね。だけど私たちの若い頃、ダイちゃんの若い頃は世紀の2枚目と言われ、今でいうイケメンですよね。とにかくかっこいい男性。うちのかみさんなんかは、「ドロンの前に美男なし。ドロンのあとに美男なし」。

鈴木      奥様!いい!!

荒木      「歴史上一番のハンサムです」なんて言っていますけど。本当にそれほど人気あった人ですよね。1935年の生まれ。1957年、軍隊などの後にスクリーンデビュー。ダイちゃんも大好きだっていう1960年公開の『太陽がいっぱい』、これで知名度を得たのち、数多くの映画に出演するんですけど。世紀の二枚目として娯楽映画だけでなく、社会的作品とか芸術映画も多く出ているんですよね。ダイちゃんはどんな映画が?

鈴木      『太陽がいっぱい』で、アラン・ドロンは関係ないけど、そのまま「リプリー」ってリメイクがあったじゃないですか、マット・デイモンの。あれをまた見て、逆にアラン・ドロンの凄さを、『太陽がいっぱい』の凄さを感じたタイプですね。

荒木      『太陽がいっぱい』、『若者のすべて』。『太陽はひとりぼっち』。『山猫』でしょ。それから『地下室のメロディー』ですね。

鈴木      名作ばっかりじゃないですか。

荒木      名作ばっかりですね。私は、3つ選ぶとすると、1975年の「ル・ジタン」。それから娯楽作で『アラン・ドロンのゾロ』。ゾロ、わかります?

鈴木      わかります、「マスク・オブ・ゾロ」でしょう。あのゾロ。

荒木      オッタヴィア・ピッコロなどと共演したんですけど。日本公開時のキャッチコピーは「アラン・ドロン主演50本記念作品」だったかな。なんと言っても一番思い出に残ってるのが、アラン・ドロンとジャン・ギャバンという、当時のフランス映画界の2大スターが共演した『地下室のメロディー』ですね。これが面白かったですね。亡くなって、過去の映画見ることもあると思うんで、是非見ていただきたいと思うんですけど…。 ダイちゃん、アラン・ドロンていうと声が軽くて透明なイメージですよね。 野沢那智さんが吹き替えしてましたね。

鈴木     やってましたね、ずっとそのイメージありますね。

荒木      明るい声みたいに錯覚するんですけど、本人はとっても野太い低い声で、ドスの聞いた声ですよね。で、CMやってました。D'URBANっていうね。  D’urban, c’est l’élégance de l’homme moderne.  とか言ってましたよね。

鈴木      あー!やってました、D'URBAN。あの時、D'URBAN欲しかったもん。

荒木      俺ね、社会人になった時、D'URBANで作ったんですよ。グレーの地にね、大きなチェックのね。

鈴木      あはははは。

荒木      なんか、売れない漫才師みたいなの。一張羅で一年に何回かしか着なくて。 まだ実家にあると思うよ、大切にしてたから。

鈴木      それぐらい、それを着けたらアランドロンになれると思ったんですよ、我々は…。

荒木      そうだよね~、今こんなこと言っても、若い人わからないと思いますけど。

鈴木      しかも、二枚目っていういい方はどういうことなんですか?っていう若いファンいると思いますよ。

荒木      そうだよね、二枚目っていうのは、歌舞伎から来てるんですけどね。

鈴木      イケメンならわかるけど、二枚目!?みたいな。

荒木      そうですね。歌も歌ってるんですけどね。「冒険者たち」でも歌ってるんですけど、なんと言っても…。

鈴木      パローレ・パローレ…ですよ!

荒木      そうそう ダイちゃん昔いっぱいかけていたよね。(笑)。

鈴木      本物もそうですけど、細川俊之さんのカバーなんかをかけても、大爆笑しながら、マイクの前で笑ってましたもんね。

荒木      あの日本パターンて山ほどあるんだよね。

鈴木      いろんな方がカバーしてるんですね。

荒木      そうそう、お笑い系のもあるしね、パロディに使われたり。本人たち2人のデュエット曲は、きちんと正座して聞かなきゃいけない…。

鈴木      そうですよ。途中で、1か所アランドロンが笑うっていう場所があって、あそこが、また同じように細川俊之さんがカバーしてるのが大爆笑でした。

荒木      1973年でしたね。

鈴木      「あまい囁き」ね。

荒木      18日に亡くなった、偉大なフランスのスターでしたよね。

鈴木      普通は、「太陽がいっぱい」でかけるんですよ、こういう時は。 なんですよ。

荒木      まあね、でもこの番組は違うからね。

鈴木      こっちは「パローレ・パローレ」でいきましょう。

荒木      そう、センスがね。

鈴木      よすぎて裏返って、よくわかんないパターンになりますからね。ありがとうございます。

      
アラキンのムービーワンダーランド/「雉岳山(チアクサン)」「サユリ」などのとっておき情報
 
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊨と鈴木氏)                

   ■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

   ■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。

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