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映 画

「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション2021」のとっておき情報
(2021年7月8日10:30)
映画評論家・荒木久文氏が、「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション2021」(7月9日から8月5日まで新宿シネマカリテにて開催)のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、7月5日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー NEO」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木 7月最初ですね。
荒木 久々に映画イベントのご紹介です。
鈴木 もしかしたら 招待券をいただいている…。
荒木 そうですね。「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション2021」。
鈴木 よろしくお願いいたします。
荒木 かって東京国際ファンタスティック映画祭、愛称を東京ファンタといいましたね。伝説の映画祭がありました。2005年まで開催されていた伝説の映画祭だったんですが、熱狂的なSF ホラー映画ファン、それもマニアック度が少し高い人たちが集まることで有名でした。いい意味でマニアックとかB級ホラーとか時にはカルトと言われているのですが。
鈴木 最高ですねー。
荒木 その伝説の映画祭の正統な後継ともいうべき映画イベントが、1年ぶりで今年開かれます。一昨年前まではご紹介していましたよね。
新宿にある「シネマカリテ」という映画館が開催するイベントです。
それが「シネマカリテ 熱血 沸騰 映画フェス 第7弾 カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション2021」。7月9日から8月5日まで新宿シネマカリテにて開催されます。
「真夏の祭典 映画を極める4週間!珠玉のシネマたち」というサブタイトルがついています。楽しそうですね…。
最新作、旧作、未公開作、様々なジャンルと国を越えた、27作品ちょっとジャンル別に何本かさわりだけ紹介しましょう…。
鈴木 お願いします。

荒木 オープニング作品は「ショックドウフーチャー」。
1978年、パリ。エレクトロミュージック全盛期を目前に、男性優位の音楽業界で新しい音楽の可能性を探る若い女性ミュージシャンを描いた青春音楽映画です。
女性ミュージッシャンと、近未来的な音の響きをエモーショナルに描いています。
主人公が日本製の電子楽器に出会い、理想のサウンドへのヒントを得る。というお話です。
主演は、「アデル、ブルーは熱い色」などに出演したアルマ・ホドロフスキー。音楽ファンならぜひ見てくださいな。8月27日から一般正式公開となります。
そして「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2021」の
今回の目玉、それは、あのゾンビ映画の第一人者。だいちゃんも大好きなゾンビ映画の父ともいうべき人ですよね。
鈴木 巨匠。

荒木 ホラー映画の巨匠、カルト映画の鬼才として知られる。ジョージ・A (アンドリュー)・ロメロ(George Andrew Romero)の特集です。
彼の代表作はご存じの『ゾンビ』(原題:Dawn of the Dead)なのですが、この映画は150万ドルという低予算ながら、世界中で大ヒットしたんですね。それ以来 彼は「ゾンビ」の巨匠と呼ばれますが、彼はそう呼ばれるのを喜んでいたわけではないのですね。
彼はホラー映画監督の殻からの脱皮を図るべく他ジャンルの作品に意欲を示し、社会派ドラマやラブ・ストーリーなども監督しているんですね。今回はそんな作品にも出会えます。
7月16日にはそんなジョージ・A・ロメロ の作品、3本が上映されます。2017年のこの日が、彼の命日なんですね。追悼上映というわけです。
1本目はロメロ監督が1973年に作ったものの、半世紀近くも幻の未発表作品となっていた長編映画。「アミューズメント・パーク」。
ある老人が遊園地、アミューズメント・パークで一日を過ごそうとしますが、いつしか悪夢のような状況に追い込まれていく…というものですが、この作品、70年代の高齢者虐待についての世間の認識を高めるために(ルーテル)教会がロメロに依頼して製作された作品だったんですが、当時のアメリカ社会をもろ、ストレートに老人の悲惨な状況が容赦なく描いて、依頼主がびびってしまい、そのまま封印されて、未発表となっていたといういわくつきの幻の一作です。
2018年にフィルムが発見されて、例の4Kレストア処理をして上映ということになりました。わたしも見せていただいたのですが、まさに老人社会の影を描いて、恐怖というか、身につまされる内容でした。
鈴木 痛い感じ?
荒木 ある意味 ロメロ史上最も恐ろしいといわれるのが納得です。これも10月に日本でも一般劇場でも公開されます。
2本目は「ザ・クレイジーズ」。
細菌兵器の事故による人々の混乱と恐怖をセミドキュメントタッチで描いたパニックホラーです。アメリカの田舎町で、男が突然発狂して妻を殺し、家に放火します。実は、墜落した軍用機から細菌兵器が流出して、街を汚染していたのが、原因だったのですが、政府は事態が明るみになることを恐れ、軍を使って事件を闇に葬ろうとする・・というものです。こちらは10月15日から正式に公開です。
鈴木 今や 荒唐無稽じゃないですよね。
荒木 そうですね。
そしてジョージ・A・ロメロ追悼特集 3作目は、お得意吸血もの。
そして、現代を舞台に、人間の血を求める少年と、彼を監視する老人との確執を軸に描いた、『マーティン/呪われた吸血少年』。
吸血鬼伝説を新たな視点・角度から描いていて、ロメロ本人が「最も気に入っている作品」と公言している異色のホラームービーです。
こちらの劇場公開も10月15日です。
というわけで、この3本一度に見られるのは、7月16日のシネマカリテだけ。一日上映ですのでお好きな方は見逃さないでくださいね。
そのほかの上映作品もいつものようにいろいろなジャンルで、いろいろな国からの作品が勢ぞろいです。「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2021」ジャンルとして多いのは、この時期ですし、やはりホラーですかね?
まず、あのニコラス・ケイジが遊園地の人形と死闘を繰り広げるホラー・アクション。
「ウィリーズ・ワンダーランド」という作品。

次は エクソシストものなのですが、なんと、バディモノ的要素を入れてきましたね。
よく考えます。『スレイヤー 7日目の煉獄』
二人の神父、一人はベテラン神父 破天荒で型破り、不良のような外見で、神をも恐れぬ口の利き方をする悪魔祓いです。もう一人は、学校を出たばかりのまじめで優秀な新米神父。この二人がコンビで次々に悪魔に立ち向かいます。
鈴木 泣けそうですね あはは。
荒木 エクソシスト映画の常識を覆すバディ・ムービーの誕生ということで、『スレイヤー 7日目の煉獄』という作品。
更にアジアの国 ほほえみの国なのに結構怖い映画を作ると評判のタイからは、 みっつの目と書いて『三眼(みつめ)ノ村 黒魔術の章』と『三眼ノ村 輪廻の章』の2本が日本登場です。ブードゥー教のホラーとのことです。
次は長いタイトルです。「マイドク/いかにしてマイケルはドクター・ハウエルと改造人間軍団に頭蓋骨病院で戦いを挑んだか」。
鈴木 長い!!
荒木 もうタイトル そのものがストーリーを語っちゃていますが・・
狂気の人体実験を行う医師に操られて、両親を惨殺してしまった青年マイケルがが復讐を遂げるべく、改造人間達と戦うバイオレンス・ホラー映画です。
そして、南半球の国、ニュージーランドからは、ひとつの怪談を話し終える度に1本ずつ蝋燭を消し、そのたびに恐ろしいことが起きるという日本の怪談「百物語」にインスパイアされて製作されたというショッキング・ホラー『劇場版 怪談百物語』がきます。
そのほかにもサスペンスもそろっていますよ。韓国からやロシアからの作品も注目です。それから、旧作の話題作も上映されますよ。
昨年、公開された青春映画『アルプススタンドのはしの方』。
この番組でも傑作ですよと紹介しましたが、大ヒットを記録しました。
この作品が帰ってきます。
鈴木 おもしろすぎですね。
荒木 関連イベントも予定されています。石野卓球などが出演するらしいですよ。新宿のシネマカリテで今週金曜日から開催です。
「カリテファンタスティックシネマコレクション2021」、入場料金は新作1600円均一 旧作は1100円均一だそうです。
検索は新宿シネマカリテです。担当の平下さんから招待券いただきました。6組12名にプレゼントです。
鈴木 ありがとうございましたー。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。