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「スイング・ステート」のとっておき情報

(2021年9月23日22:10)

映画評論家・荒木久文氏が、「スイング・ステート」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、9月20日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー NEO」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

アラキンのムービーキャッチャー NEO/「スイング・ステート」のとっておき情報
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊨と鈴木氏)

鈴木       荒木さん、お願いします。

荒木       日々のニュースなど見ていると、秋になったとたんに政治の季節という雰囲気になってきましたよね。 連日自民党の総裁選が報道されています。来週あたり決まるのかな? 11月には衆議院選挙もがありますよね。 そんな季節でもあり、現在公開中の中から政治がらみというか、選挙関連の作品を選んでみました。
アメリカの話・・・そうそう、だいちゃんは、アメリカにいたとき、マサチューセッツ州にいたんですよね。

鈴木       ボストンですね。

荒木       選挙のシーズンに当たったことはなかったの?

鈴木       92年は帰ってくる時だったので、バタバタしていました。

荒木       マサチューセッツ州はバイデン大統領の地元なので民主党が強いところですよね。

鈴木       民主党のがちがちの牙城ですよ。

アラキンのムービーキャッチャー NEO/「スイング・ステート」のとっておき情報
「スイング・ステート」(9月17日(金)よりTOHOシネマズ日比谷・渋谷シネクイントほか全国ロードショー) (©2021 Focus Features, LLC. All Rights Reserved) (配給:パルコ ユニバーサル映画)

荒木       そういう州は民主党のイメージカラーからブルー・ステートっていいますね。逆に共和党の強い州はレッド・ステート、そして、激戦というか、拮抗していて、選挙の度に勝利政党が変動する州をスイング・ステートといいます。  「注目州」「揺れる州」「激戦州」とか、青と赤が混ざった「パープル・ステート」とかね。この辺りはもう去年になるんですが、アメリカ大統領選挙で知りましたよね。 今回の作品は そのスイング・ステートのひとつ「ウィスコンシン州」という、あの五大湖の西にある州を舞台にしている作品、タイトルがそのものずばりの「スイング・ステート」という選挙に関するアメリカ映画、現在公開中です。

ストーリーです。舞台は 前の前の選挙つまり 2016年の共和党のドナルド・トランプと民主党のヒラリー・クリントンが争ってトランプ大統領が誕生した後のことです。
この大統領選挙は覚えていらっしゃるでしょうか、巨額な政治資金での宣伝や中傷合戦で史上最も下品な選挙戦と呼ばれた選挙です。トランプが勝ちました。物語の主人公は その米大統領選でトランプに負けた民主党選挙参謀ゲイリーという男です。彼は4年後の大統領選挙に備え、農村部の票を取り戻す方策としていろいろな行動を開始していましたが、ある日YouTube動画で話題になった田舎の牧場主で退役軍人の男を見つけ、小さな町の町長選挙に立候補させようとします。
候補者の牧場主の娘や住民のボランティアたちと大統領選挙とは比較にならない、小さな田舎の小さな小さな選挙活動がスタートします ところが なんとなんと、ライバルの共和党が対立候補の現役町長を支援するために、トランプの大物選挙参謀だった彼の宿敵の女性、フェイスさんをこの田舎町に送り込みます。

鈴木    おもしろいですねー。

荒木    さあ大変 あの手この手のミニ大統領選まがいというか、選挙のプロたちが集まってきて戦いが勃発します。 ウィスコンシンの田舎の小さな町長選をめぐって、ゲイリー対フェイス、という民主党対共和党の意地をかける代理戦争の幕が切って落とされたわけですね。 さあどうなる…というものなのですが…。

鈴木     なるほど…。

荒木     と言っても、バチバチのリアルなポリティカルサスペンスとは違い。選挙コメディです。私の好きなお下劣ギャグが満載で 二分に一度ぐらい笑わされます。社会派ブラックコメディとでも言いましょうか?
まず 素人の候補者が一流の候補者に作り上げられていく過程はなかなかの見ものですが、次いで こんな風に選挙キャンペーンを張るんだ?! とかこんな風に支持率調査をするんだ?!とか、本来の選挙部分に加えて足の引っ張る方法や、誹謗中傷の方法がどんどん出てきておもしろいんです。
さらに単なるコメディ映画と思うと、そうじゃなくて 終盤ではトンデモナイどんでん返しで見事に裏切ってくれますよ。アメリカの選挙システムや実態や選挙産業の裏にも触れています。
それと日本では考えられない制限なしのお金の寄付の政治管理団体「スーパーPAC」をいうのがあるんですが、その組織を通じて巨額の金が動きます。
民主主義の選挙なのに、やはり基本はお金、お金 おかね。それが本当に理想の社会を作れるのか?いった疑問さえ浮かびますよ。さらに選挙ってもう巨大なビジネス産業なんですよね。その選挙ビジネスをまともに皮肉り、返す刀でマスメディアも切っています。
監督・脚本は、16年間もの間政治風刺コメディ番組「ザ・デイリー・ショー」の司会を務め、アカデミー賞でも2度司会を担当したジョン・スチュワートさん。 俳優は40歳の童貞男で今やコメディ映画には欠かせないスティーヴ・カレル。 ライバルに共和党の選挙参謀役にはローズ・バーン。2009年には世界一美しい顔100でトップになった女優さんです。
ところで、私は、12,3年ほど前ですか、知り合いの人が参議院議員選挙に出たんで、その人の選挙事務所に出入りしたことがあるのですよ。

鈴木      えー!? そうなんですか?

荒木      面白かったですよ。映画の「スイング・ステート」じゃないけど、いろいろなことをやるんですねー。

鈴木      そうなんですか?その選挙情勢って一日一日で刻々変わるのですか?

荒木      日々変わるっていうのははっきりわからないんですが、いろいろな人が集まってくるんですよ。変な地方の会社の社長から霊媒師、スポーツ選手、詐欺師みたいな人まで…すごい世界を覗いた気分でしたよ。
日本の選挙でもいろいろなことがあって中に入ると面白いんだろうなーと思いました。 日本でも多少はこの「スィングステート」と同じようなことがあるかのしれませんけど、こんな映画は作らしてくれないでしょうね。「スイング・ステート」現在公開中です。

鈴木     荒木さん ありがとうございました。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。

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