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映 画
「キャッシュトラック」「DUNE/デューン 砂の惑星」のとっておき情報
(2021年10月16日10:40)
映画評論家・荒木久文氏が、「キャッシュトラック」「DUNE/デューン 砂の惑星」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、10月11日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー NEO」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 荒木さん、今週もよろしくお願いします。
荒木 はい、今日も最新映画2本ほどご紹介しますね。
1本目 現在 公開中「キャッシュトラック」。キャッシュラックって現金輸送車のことです。
あのやたら強いおっさんのジェイソン・ステイサムと…。
鈴木 出た!出た!
荒木 ガイ・リッチー監督と16年ぶりにタッグを組んだクライムアクションです。ストーリーです。ロスの現金輸送専門警備会社フォルティコ・セキュリティ社。
この会社は 現金輸送車=キャッシュトラックで現金を運ぶ会社。警備員たちは 特殊な訓練を受け、厳しい試験をくぐり抜けてきたプロの警備員なのですが、そこに新人のパトリック・ヒルという男(通称“H”) もちろんあのジェイソン・ステイサムが警備員として採用され働き始めます。
採用の成績はギリギリ合格というレべルの彼だったのですが、ある日、トラックを襲った強盗をすごい速さの高い戦闘スキルでやっつけて周りをびっくりさせます。
そして、彼の乗るトラックがふたたび強盗に襲われます。今度はHの顔を見た犯人たちはなぜか金も奪わずに逃げてしまいます。
周りの人間がHの正体を怪しむようになってきます。そんなころ、アメリカで最も現金が動くと言われるブラック・フライデーの日、感謝祭の翌日ですね、を迎えます。まさにその日集金される1億8000万ドルの強奪計画が進行していた…ということなのですが…。
鈴木 なるほど、なるほど…。
荒木 一体、このH、なぜ彼は凄腕なのか、また、彼の本当の目的は何なのか?
構成的にミステリーアクションというか謎解き的興味が先行する構成ですよね。
だからね、時間的に遡っていって、見ている途中で後から「あーそういうことだったのか」ってわかります。 基本、ステイサムの強さを鑑賞する作品です。
鈴木 それで十分です。
荒木 はじめ ステイサムが弱いふりするというまあ、ちょっとした変化球もありなのですが、ガイ・リッチー作品にしてはシンプルな作品です。ステイサムを立ててるってことですか。
鈴木 あまりひねりりはないな…という感じですか?
荒木 ステイサムっていうとどんなイメージを持っていますか?
鈴木 友達になっても敵にだけはなりたくないっていうのと、髪の毛があんなに少ないのにかっこいい奴はいないということですかね。
荒木 そうですねー 我々も私たちもだんだん少なくなってきますし、あんなふうの頭にしちゃうのはいいのかもね。
ホルト・マッキャラニー、ジェフリー・ドノヴァン、クリス・ライリーらが出演しています。
唯 ステイサムって、もう出てくるとキャラクターが決まっちゃってるでしょ。
強い男で。徹底的に強い。これって役者にとってどうなんでしょうかね?他にもほら、この手の強くて、負けない男って、ジョン・ウィックとかですね、ジェイソン・ボーン、それからジェームズ・ボンド…まあ、ボンドは後ろから殴られて気絶しちゃうんなんていうこともあるでしょう?
もちろんいっぱいいるけど。まあステイサムって彼らとまた違う強さですよね。
鈴木 そうですよね。
荒木 完璧に強いから、よく考えてみたら『沈黙』のシリーズの…知ってるかな?スティーヴン・セガール、あれに近いかな、と。
「沈黙」のシリーズの。どっちが強いかな? 体格的にはセガールかな?
でも こういうあまり強い役ばかりだと、ほかの役ができなくなって
第2のセガールになるしかないのか?という気もしますね。
鈴木 アクションしか出ないイメージですよね。
荒木 そうですね。まあ、 だからガイ・リッチーと組んでノワールっぽくしたり、うまく作品を選んでいるという気はしますね。
ただ、長―く続けてほしいので 見守っていきたいですよね。髪の毛も…。
鈴木 ただ、荒木さんのような映画を語る人から見て、アクションスターってありというか、イエスなんですか?
荒木 もちろんありですよ。まあ、安心してがんがん強い男のアクションを見て、最後めちゃくちゃ相手をのしちゃうのを見たいという人、必ずいますよ。
まあ、ある意味 水戸黄門パターンの定番が好きな人いますし、こういう映画は必要で、あって然るべきです。その手のスターも必要ですよね。そういう位置にいるのが、ステイサムです。頑張ってほしいです。
ジェイソン・ステイサム主演「キャッシュトラック」でした。公開中です。
お次は 10月15日公開。だいちゃん、SF映画も好きですよね?
「DUNE/デューン 砂の惑星」です。
鈴木 リメイクですよね。
荒木 リメイクだとご存じということは前の作品は?
鈴木 見てます。確か1984年か5年…。
荒木 そうですよ デヴィッド・リンチ監督でしたね。確か主演はカイル・マクラクランだったかな? これからご紹介するこの作品 リメイクなんですが、そうですね、新しい時代の「スター・ウォーズ」か「アバター」ともいわれ、すでに世界規模で大評判の話題作です。もともとこの作品、「DUNE/デューン 砂の惑星」はフランク・ハーバートという人の大長編SF小説で、50年以上前の1965年に発表されたいわば古典中の古典で、しかも映像化は不可能といわれたものなんですよ。
それで1985年デビッド・リンチで映画化されました。見ていらっしゃるんですね。
鈴木 カイル・マクラクランは、これでデビューでしたよね。
荒木 そうでしたかね。その後彼はデビッド・リンチの作品、たくさん出ていますよね。この小説がのちの世に与えた影響はとっても大きく、この小説なくしては、「スター・ウォーズ」も「風の谷のナウシカ」「アバター」でさえも生まれなかったと言われるものなんです。そして今回「ブレードランナー 2049」「メッセージ」のドゥニ・ヴィルヌーブ監督によって再映画化したのが今回のこの作品で、本編155分のSF超大作スペクタクルです。
実は、 2000年に放送されたアメリカ・カナダ・ドイツ制作のテレビドラマもあります。
そういえばユーミンの歌にも「砂の惑星」ってありましたが、これは全然関係ありませんね。話が横道にそれてしまいましたが。
ストーリーは人類が地球以外の惑星に移住し、宇宙帝国を築いていた西暦1万190年。
通称デューンと呼ばれる砂漠の惑星が舞台です。そのころは宇宙を収める皇帝(エンペラー)のもと 1つの惑星を1つの貴族家族が治める厳格な身分制度が敷かれていました。
主人公は新しくこの砂の惑星を治めることになった貴族の跡継ぎポール。
彼は未来が見える能力を潜在的に(まあ、無意識に)持っていたんですね。
ところが、惑星デューンに移住したポールの家族は皇帝とライバルの貴族による罠にはまり、ほぼ全滅してしまいます。地位を追われ生き残ったポールに一族だけでなく全宇宙の運命が託される…というのが大体なところです。
主人公となるポール役にはティモシー・シャラメ。「君の名前で僕を呼んで」や「若草物語」で注目され、すでに次世代のハリウッドを象徴する存在となっていますよね。今回も貴族の御曹司ということで気品がありながらもたくましくて強い青年を演じています。
鈴木 顔つきも似合いますよ。
荒木 そうですよね。他には、「スパイダーマン」シリーズのゼンデイヤ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、レベッカ・ファーガソンら豪華キャストです。
だいちゃん、前の作品見ていたら、人間以外の登場のサンドワームを覚えていますか?
鈴木 いましたね。 あの時代はすごく不気味でしたね。
荒木 砂虫と呼ばれる巨大な虫 全長500メートルはありそうな砂に潜む砂の惑星デューンの最強生物、サンドワーム。前作の映画の10倍ぐらいの大きさになってんじゃないかな?
内容的には、2時間半あっという間。新たなSFシリーズが誕生したなという感じです。
多分 パート2もありますよ。
鈴木 間違いなくありますね。
荒木 そうですね。終わり方から言うとね。それから 当然のことながら映像と音が圧倒的!戦闘シーンの迫力は凄まじいです。
なぜかというと、今回の作品はFilmed For IMAXと呼ばれる最新の技術を活用した世界初の映像と音響らしいです。特に重低音を活かしたサントラや効果音による演出は素晴らしいです。これは映像&音響が劇場で変換(=劣化)することなく再現可能となった世界初の作品なんですって。
私もI=MAXで見せていただきましたが、巨大スクリーンいっぱいに広がる砂漠の映像と高精度のサウンドで、まるで砂の惑星“デューン”に、降り立つたような感覚になりました。
ポールの横に立ってるような…ね。
「DUNE/デューン 砂の惑星」 10月15日からです。
鈴木 名作はリメイクされますよね。
荒木 お知らせひとついいですか? 第46回報知映画賞のノミネート投票が始まりました。まずベースになる読者投票で、候補俳優、候補作品が決まります。
あなたも今年見た作品の中から 感動した作品 俳優さんを投票してください。
投票者の中から抽選で、沖縄往復航空券など豪華賞品が当たります。詳しくは報知新聞のホームページでどうぞ。お知らせでした。
鈴木 ありがとうございました。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。