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香港の民主活動家 周庭さん カナダに”亡命”「香港には一生戻ることはない」
(2023年12月5日14:00)
香港の民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏(27)が3日、SNSで9月からカナダに滞在しており、「香港にはおそらく一生戻ることはない」とカナダに事実上亡命したことを明らかにした。
カナダに留学で滞在していた周氏は、自身のインスタグラムで「当初は12月末に香港に戻り、国家安全法に関連して警察に出頭する予定でしたが、香港の情勢、自分の身の安全、心身の健康状態などを慎重に考慮した結果、出頭のために香港に戻ることはせず、おそらく一生戻ることはないだろうと判断しました」と明らかにした。28日に香港に戻って警察に出頭するよう求められていたという。
「その最大の理由は、出頭のために香港に戻った場合、たとえ国家安全保障局が私を逮捕したりパスポートを取り上げたりしなかったとしても、以前と同じように何らかの条件を突きつけられたり尋問されたりする可能性が高く、カナダに戻る前にその条件を満たす必要があるからです。 仮に12月末にそうならなかったとしても、翌年私が香港に戻ったとき、香港の状況はさらに危機的なものになっており、彼らはいつでも調査を理由に私の出国を禁止することができる。やりたくないことをやらされるのは嫌だし、中国本土に行くことを強制されるのももう嫌です。 このままでは、たとえ無事でも心身が崩壊してしまう」などとつづった。
そしてカナダ留学は”亡命”のためだったとの見方があることについて「そんなつもりは最初からなかった」としたうえで「12月のことを少しずつ考え始めたのは、カナダでの生活が落ち着いてからで、答えが出ないうちに、12月に香港に戻るチケットまで買ってしまった。だから、誰かが私が国家安全保障局をごまかすことを考えていたと言いたいのだとしたら、それは絶対に間違った発言です」としている。
そして「この数年、私は恐怖からの解放がいかに貴重なものかを身をもって学んだ。未来にはまだわからないことがたくさんあるがわかっているのは、逮捕されるかどうかを心配する必要がなくなり、ようやく自分の言いたいこと、やりたいことができるようになるということです」と明かし、「カナダで勉強し、癒されながら、過去に心の病やさまざまなプレッシャーのために脇に置いた興味を取り戻し、自分のリズムを作りたいと願っています。 自由は簡単には手に入らない。恐怖に怯える毎日の中で、私を忘れず、心配してくれ、さらに愛してくれるすべての人たちを私は大切にしている。近い将来、私たちが再会し、しっかりと抱き合うことができますように」と締めくくった。
周氏はカナダ留学を許可する条件として今年8月に、国家安全保障担当官5人を伴って中国本土を訪問し、「改革開放博覧会」を訪れ、中国と共産党の発展、歴代指導者の「輝かしい業績」を学ばされたという。「私は中国の経済発展を否定したことはないが、これほどの強国が民主化のために闘う人々を牢獄に送り込み、出入国の自由を制限し、パスポートと引き換えに愛国的な展覧会を見学するために中国への入国を義務づけるというのは、一種の脆弱性ではないか」と中国のやり方に苦言を呈した。
「香港に戻ると、また国安から「祖国の偉大な発展を学べるよう手配してくれた警察に感謝します」という手紙を書くように言われ、そのような手書きの手紙を数ヶ月の間に何通も書いたと思う。 そして9月中旬、カナダのトロントに留学するために香港を発ち、出発の前日にパスポートを受け取った。 気がつけば3ヵ月近くが過ぎ、1学期が終わろうとしていた」という。
周氏は2014年の民主化デモ「雨傘運動」などで活動し「民主の女神」と呼ばれた。2020年に違法な集会を先導したなどとして禁錮10月の実刑判決を受け、21年6月に刑期を終えて出所後は沈黙を続けていた。カナダに”亡命”した周氏の今後の言動が注目されている。