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ハリウッド特急便
アンバー・ハード、16項目からなる上訴趣意書を裁判所に提出 ジョニー・デップとの名誉棄損裁判が第2ラウンドへ
(2022年10月14日9:30)
アンバー・ハード(36)が11日(現地時間)、元夫ジョニー・デップ(59)との名誉棄損裁判で16の上訴理由を列挙した上訴趣意書を提出した。ハードに1035万ドル(約15億円)の損害賠償の支払いを、デップに200万ドル(約2億9000万円)の損害賠償支払いを命じた6月の第1審の評決を不服として双方が上訴する意向を明らかにしていた。
米誌「ヴァニティ・フェア」(電子版)によると、デップは、ハードが2018年に米紙ワシントン・ポストに寄稿したコラムで名誉を傷つけられたと主張。その記事はデップを名指ししていなかったが、2つの文章と「アンバー・ハード」という見出しから、読者は彼女が自分のことを話していると推察できると主張し、成功した。ハードはコラムで「私は性的暴力に対して声を上げ、我々の文化の怒りに直面した。それは変えなければならない」などと主張した。一方、デップの弁護士アダム・ウォルドマンが、彼女のDV被害の主張を「デマ」と発言したことに対するハードの反訴についても、陪審員はデップに200万ドルの損害賠償を命じた。デップの勝訴に終わり、ハードが上訴することが予想されていた。
米誌「ヴァニティ・フェア」が入手した裁判の文書によると、上訴の理由として、名誉毀損の判断基準である、実際の悪意を示す「明確かつ説得力のある証拠」の欠如、陪審員がハードとデップの両者が互いに名誉を毀損したと認めた後に割り当てた賠償金を裁判所が無効にしなかったこと、評決が「本質的に矛盾する」ことなどが含まれているという。
同誌は、いくつかの(上訴の)根拠は、ハードの元代理人エレイン・ブレデホフト弁護士が法廷や公判後のインタビューですでに述べていたもので、驚きはほとんどなかったと指摘した。そのうちのいくつかは、医療関係者や従業員、友人、家族とのさまざまな会話など、認められるべきでなかった証拠や、認められるべきだった証拠に関係するものだという。
さらに「デップ氏が裁判で、問題となったハードの論説の発表前に発生した発言や行為に基づいて陪審員が損害を与えることができると主張したりすることを認めたのは誤り」と主張している。つまり、デップは2018年のハードの論説を巡って訴訟を起こしており、そのために仕事を失い、損害賠償義務を負うと主張していたが、デップは陪審員のメンバーに、ハードの記事が掲載される以前の発言や出来事について裁判を受けていると思わせたなどと主張しているという。
8月、ハードの広報担当者は、ハードがブレデホフト弁護士との契約を解消し、新たにバラード・スパー法律事務所のデヴィッド・L・アクセルロッド弁護士とジェイ・ワード・ブラウン弁護士に上訴の弁護を依頼し、さらにウッズ・ロジャーズ法律事務所のベン・ロッテンボーン弁護士が共同弁護人として留任することを発表した。バラード・スパー法律事務所は、元共和党副大統領候補サラ・ペイリンの名誉毀損事件でニューヨーク・タイムズ社を弁護し、勝利しており、上訴審では表現の自由、報道の自由の権利などを妨げる法律の制定を禁止する米合衆国憲法修正第一条の権利をより強固に主張するとみられている。
ハードの広報担当者は8月、「ヴァニティ・フェア」誌に対し、「裁判所が違えば代理人も違う。特に今、多くの新しい証拠が明るみに出ている」と逆転勝訴に自信をのぞかせたという。
■ジョニー・デップVSアンバー・ハードの”バトル“の経過
2012年に「ラム・ダイアリー」で共演したのがきっかけで恋愛関係になり、同年デップは長年のパートナーだったヴァネッサ・パラディ(45)との破局を発表。14年にハードと婚約して翌年2月に結婚した。
だがわずか1年3か月の結婚生活で、16年5月にハードが離婚を申請。酒に酔ったデップからDVを受けていたとして、あざができた顔写真を公開して波紋を広げた。デップはDVを否定していたが17年8月にデップが700万ドル(約7億6300万円)を支払うことで和解し離婚が成立した。これで一件落着かと思われたが、デップが反撃して泥沼の裁判闘争が続く。
2018年10月、デップが雑誌「GQ」(英国版11月号)のインタビューで、ハードに対するDVを全面否定して、ハードのDV告発で「シンデレラからカジモド(「ノートルダム・ド・パリ」の登場する醜悪な容姿の男)にされた」などと激しく非難。
2018年12月、ハードは米紙ワシントン・ポストに手記を寄稿、デップの名前は出さず、DVを告発したら脅され、決まっていた役を降ろされるなど報復されたと主張して、そうした米国の文化・社会構造を変える必要があるなどと訴えた。
その後デップが「ワイフ・ビーター」(妻虐待夫)と報じた英紙「サン」を訴え、さらにワシントン・ポストに手記を書いたハード本人を名誉棄損で提訴した。ロンドンの裁判所で行われたデップが「サン」を訴えた名誉棄損裁判では、2人が法廷で直接対決して、壮絶な夫婦喧嘩やデップのベッドにウンチが置かれていた“ウンチ事件”、デップの指切断事件、デップのドラッグ使用歴、ハードの3P疑惑など前代未聞の暴露合戦が繰り広げられた。
2020年11月、判事は「サン」の記事は「おおむね事実」と認定し、名誉棄損の訴えは棄却され、控訴も棄却されデップの敗訴に終わった。
2022年4月12日(現地時間)、ハードが2018年12月に米紙ワシントン・ポストに寄稿したコラムで名誉を棄損されたとして、デップがハードに5000万ドル(約62億5000万円=当時のレート)の巨額賠償金を請求した訴訟が米バージニア州フェアファックスの裁判所でスタート。双方のさまざまな証人が証言し約6週間続いた。ハードは、デップが匿名のアカウントを使って誹謗中傷を繰り返したなどとして1億ドル(約125億円)を請求して”倍返し“の反訴をした。
2022年6月1日(現地時間)、米バージニア州の裁判所の陪審は、デップがハードに5000万ドル(約62億5000万円)の巨額賠償金を請求した訴訟に対して、名誉棄損を認めてハードに1000万ドル(約13億円)の補償的損害賠償と500万ドル(約6億7500万円)の懲罰的賠償金、計1500万ドルの支払いを命じた。ただし同州の懲罰的賠償金は上限が35万ドルと定められていて、裁判官が合計1035万ドル(約14億円)に減額した。
一方、ハードがデップに1000万ドル(約130億円)の損害賠償を請求して反訴した名誉棄損の訴訟について、デップ側に200万ドル(約2億6000万円)の支払いを命じた。
その後ハードは評決を不服として上訴することを表明。デップも上訴することを発表した。