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映 画
「正体」「METライブビューイング 2024-25」のとっておき情報
(2024年12月3日10:00)
映画評論家・荒木久文氏が「METライブビューイング 2024-25」「正体」のとっておき情報などを紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、11月25日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 よき日―っ! ダイちゃんの名ゼリフから始めました(笑)。
先週に引き続きご紹介したいと思うのですが、私の所属している日本映画ペンクラブが「私の好きな映画・名ゼリフ」というテーマ、いつまでも忘れられないセリフ、印象深くて美しいセリフを挙げてくださいとアンケートを取りました。
私も美しいセリフを挙げたんですが、みんなにはまだ教えてないけどダイちゃんに教えたら美しすぎるセリフにびっくりしていました。
鈴木 正直、久しぶりに血の気が失せました、私。
荒木 そうですね、そういうセリフでした。
今日は外国映画の名ゼリフについてお話したいと思います。ダイちゃんは外国映画で特に印象深いセリフとか好きなセリフありますか?
鈴木 一番最初に覚えたのが、「君の瞳に乾杯」ですね。
荒木 あぁ!なるほど。
鈴木 「カサブランカ」のね。
荒木 Here's looking at you, kidね。
鈴木 それが、子ども時代から一番印象に残ったね。
荒木 そうですね、いい訳ですよね。古い映画で有名ですけど「カサブランカ」の中でハンフリーボガード演じるボギーが、「昨日?そんな昔のことは忘れてしまった。明日?そんな先のことはわからない。」とかね。
鈴木 これ、言ってみたいけど今言ったら、ダイ、大丈夫?って言われますよね。
荒木 そう、キザになるしね。でもね、ダイちゃんのようないい声で言うにはいいと思いますよ。
鈴木 映像なけりゃね。
荒木 いや(笑)、はい。
鈴木 あはははは。
荒木 私みたいな汚い声はダメだよね。こういうキザなセリフはね。
鈴木 細川俊之さんとか、ああいう感じですよ。
荒木 なるほど、そうですよね。じゃあ、これ、わかりますか?
「シェーン、カムバック」。
鈴木 そりゃもちろん、「シェーン」じゃないですか。背中に向かってね、あれも名シーンですよ。
荒木 そしたら、ちょっとこれは難しいかな? ある映画の主人公が最後に言う言葉です。「Tomorrow is another day.」。
鈴木 ん?なんだろう。
荒木 「明日は明日の風が吹くわ」って言うね。『風とともに去りぬ』という・・・。
鈴木 あー!「Gone with the Wind」か。
荒木 そうです。スカーレット・オハラが言う、とても印象的なセリフでしたよね。それから…、ダイちゃんこれ知ってるかな?「ある愛の詩」の中に出て来る「愛とは決して後悔しない事」。この辺知ってる人は、ダイちゃんくらいの世代かな。
鈴木 あと、「アイ・ウィル・ビー バック」ですよ。「ターミネーター」の。
荒木 そうですね。これ問題に出そうと思ったら、先にやられちゃったね。
鈴木 あはははは。大変失礼いたしました(笑)。
荒木 じゃあ、もっと楽なやつね。ダイちゃん、必ず知ってる。「アイアム ボンド」。
鈴木 ジェームス・ボンドじゃないですか。
荒木 楽すぎたかな(笑)。
鈴木 それ、ボンドって自分で言ってるもん。まさか、大木ボンドさんじゃないですよ。それ、ジェームス・ボンドしかないじゃないですか。
荒木 あはははは。そしたら「君は私のかけがえのない人」って言うのは誰?
鈴木 え?それは誰?誰ですか?
荒木 これは熱狂的なファンがいますね。「タイタニック」。
鈴木 え?そんなセリフあった?
荒木 あったんですよ。ジャックがローズに伝えた言葉。これもペンクラブで印象的なセリフのひとつに入ってます。それから、今ダイちゃんが言ってくれた「ターミネーター」。「アイィルビバック」。揉めたらしいよ、監督とシュワちゃんが「アイィルビバック」というのか、「アイ・ウィル・ビー・バック」と言うのか。
鈴木 ちゃんと、ウィルを入れるのか入れないのか。
荒木 省略形にするのか、アイ・ウィルって言うのかって。シュワちゃんは、ロボットっぽく「アイウィル」。だけど、監督の主張が通って「アィル・ビーバック」となったらしいですよ。
鈴木 今の時代のAIだっだら、省略形でも行きそうだよね。あの当時だったら、「アイ・ウィル」っぽいですもんね。
荒木 そうなんですよ、ロボットだから。そんなこともあったらしいですよ。それから、これわかるかな?「アイム ユアー ファーザー」。
鈴木 ???新海ディレクターも首傾げてますね。
荒木 本当?これ有名ですよ。「アイム ユアー ファーザー」。
鈴木 何?
荒木 アナキンスカイウォーカーです。
鈴木 ああ!「スターウォーズ」だ。
荒木 そうなんですよ、「スターウォーズ」ね。おまえの父なんだという、戦ってるときに言う言葉です。
名ゼリフとして残ってるのはそれ自体が名作と言っていいよね。
鈴木 仰る通り。それはそうですね。
荒木 印象が出演者のセリフにも反映されてるということだと思います。といことで、映画の名セリフでしたが、また機会があったら紹介します。最後に、ダイちゃんに贈る名スターウォーズのセリフ。ダイちゃんが「フォースとともにあらんことを」。
鈴木 カッコいいね。
荒木 カッコいいね。頑張ってください。
鈴木 まだ終わらないでしょう!
荒木 では、この曲を聴いて頂きましょう。
~♬~
聴いたことありますよね、「アイーダ」です。
先週、英国ロイヤル・オペラの映像をいち早く上映するイベントをご紹介しました。今回はその英国ロイヤル・オペらと並んで有名なアメリカ・ニューヨークのメトロポリタン歌劇場でのオペラ公演を日本で映像上映を行うイベントです。
「METライブビューイング 2024-25」です。このメトロポリタン歌劇場って有名で世界三大歌劇場のひとつです。ニューヨークでの上映からわずか数週間後に、日本語字幕付きで、日本で上映されるという企画です。
鈴木 すごいなぁ!字幕の人、大変だったろうな。
荒木 大変も大変、大変ですよ。5.1chサラウンドと10台以上のカメラでダイナミックなライブ撮影です。オペラの魅力とさらに幕間の歌手やスタッフへの舞台裏でのライブ・インタビューなんかもね。生のオペラ公演でも観られないところも映して、さらなる感動です。演目は来月12月13日からはジャニーン・テソーリと言う人が作った「グラウンデット 翼を折られたパイロット」という現代オペラです。
ジェット戦闘機の女性パイロットの物語だそうです。こういう現代オペラもあるんですね。
鈴木 そうなんですね。
荒木 面白いですね。で、年明け1月24日からはおなじみ、プッチーニの「トスカ」。
鈴木 名作ですよね。
荒木 2月28日からは今日聴いて頂きました、これもおなじみヴェルディの「アイーダ」。4月はベートーベンのオペラなんですね。
鈴木 えー?
荒木 あまり聞いたことないね「フィデリオ」。以降「セビリアの理髪師」などと続きます。
鈴木 名作が続くわけだ。
荒木 たまには、こういうのもいいよね。
鈴木 いい!とてもいいですね。
荒木 『METライブビューイング 2024-25』の情報でした。詳しくはホームページでお願いします。
鈴木 わかりました、ありがとうございます。
荒木 最後に1本、大作ですね。非常に面白いドラマでした。
11月29日公開「正体」。サスペンスアンドヒューマンドラマと言っていいでしょうね。
みなさん読んだことあるかな?大ヒットした小説なんですが。染井為人さんと言う人のベストセラー小説なんです。これを、横浜流星さんが主演で、「余命10年」とか「新聞記者」を監督した藤井道人監督映画化したドラマです。
ストーリーからいきます。死刑囚鏑木慶一くん。20歳ぐらいでしょうか?
高校生の時、殺人犯として逮捕されますが脱獄するんです。各地で変装しながら逃亡生活をおくるんですが、その目的は一体なんなのか。追いかける刑事がいるんです。
それと脱獄犯。脱獄犯がいろんな所に逃げまわる時に出会う人々とが織りなすストーリーということになりますね。
鈴木 なるほど。
荒木 鏑木を追う刑事を山田孝之くんが演じています。もちろん、鏑木は横浜流星さんです。彼は逃走を続ける鏑木が潜伏先で出会った人々を取り調べます、当然。
しかし、出会ったひとびとは、鏑木のことをまったく別人のような人物だと語るんです。もちろん、顔も違って服装なんかも違って、変装していろんなところで潜伏生活を送るんです。
鈴木 まったく語らないじゃなくて、違う事を語るんだ。
荒木 そうなんです。まったく別人のように語るんですね。警察もマヌケなんですが、間一髪の逃走を繰り返す鏑木慶一。やがて彼が必死に逃亡を続ける真の目的が明らかになります。
鈴木 3億円事件みたいだな。
荒木 各地の潜伏先で出会う人々を吉岡里帆さんとか、山田杏奈さんが演じます。私も原作も読みましたが、原作は逃亡中に出会った人々、つまり吉岡さんとか、山田杏奈さんの目線と言葉で描かれていたんです。
鈴木 視点が違うってこと?
荒木 そう、視点が違うんです。
鈴木 なるほど。
荒木 だから、鏑木慶一がどんな思いでいたのかは読者に委ねられていたのですか、映画では鏑木の見たストーリーが主体的に描かれています。だから藤井監督も言うように小説へのアンサーソングのようになっているので、小説を読んだ方も楽しめます。
鈴木 コインの裏表、対みたいな。
荒木 あ!そうそう、いい表現だね。長い小説を本当に緊張がまるで途切れない2時間にコンパクトにまとめています。映画の中で彼と出会った人たちが、鏑木を凶悪犯としてはどうしても思えないと証言するんです。別人のように言っていながらね。
これが果たしてどういう証言なのかということで、逃走劇とヒューマンストーリーの要素を組み込んだ488日間の逃走のドラマなんです。これ見て思い出したんですけど、ダイちゃんも知らないな。1964年だから、まだ生まれてないでしょうけど、アメリカの連続テレビドラマで「逃亡者」というのがあったんですよ。
鈴木 それ、ハリソン・フォードがリメイクしたやつですか?
荒木 そう!リメイクしたやつ。
鈴木 はいはい!わかる、わかってる、わかってます。
荒木 その原案。「リチャード・キンブル。職業、医師。」というね。「正しかるべき正義も時として、盲しいることがあると」いうね、有名なナレーションではじまるんですが、これが大人気でね。オリジナルを知ってるのは超高齢者ですよ、多分。
鈴木 そう!だからハリソン・フォードがやったという、カルチャー好きの人間は知っていますよ。
荒木 これが名作だったんですよ。リチャード・キンブルは身に覚えのない妻殺しの罪で死刑を宣告されるのですが、護送の途中、列車事故に遭い脱走して逃亡生活が始まるんですよ。変装して髪の色を変えて重労働に耐えながら、犯行現場から走り去った片腕の男を捜し求めるんです。追っかけるのは警察官ジェラード警部。そして最後に「”現在を”、”今夜を”、そして”明日を”生きるために」というナレーションが入る大人気ドラマだったんですけどね。これも面白かったですよ。ダイちゃんは、ハリソン・フォードのを見たっていいましたけど・・・。今年は冤罪事件も色々話題になりました。
鈴木 袴田さんね。
荒木 そのあたりも絡んできていますが、・・・こういうのはあまり言っちゃいけないね。
鈴木 そういう脱獄犯っているんだろうね、実は。
荒木 いるんだろうね。警察に行くといっぱい人相の悪い人たちがね。
鈴木 出てますもんね、指名手配でね。
荒木 みんなやってんだね、髪の色を変えて。そりゃあその辺にいるかもね。
鈴木 整形外科に行ったりとか、いろいろとあるんじゃないですか。
荒木 そういう事考えると面白いよね。横浜流星くんもいろいろ顔を変えたり、目が細くなったりね、表情も変わるし熱演です。ファンならずとも、皆さんみていただきたいと思います。
鈴木 注目ですね。
荒木 主題歌もありますので、聴いてください。
鈴木 ありがとうございます。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。