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映 画

「バズ・ライトイヤー」「エルヴィス」のとっておき情報
(2022年6月30日14:15)
映画評論家・荒木久文氏が「バズ・ライトイヤー」と「エルヴィス」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、6月27日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木 荒木さん 暑いですけどお元気ですか?お願いします。
荒木 はい、何とかやってます。いよいよ6月も終りですよ。先日あたりから気温は真夏ですけどね。映画界も夏休みビッグな作品が出始めます。今日は、その目玉を早速2本ご紹介ですよ。
1本目はディズニー・ピクサーのコンピュータ・アニメーションSFアクション大作映画。7月1日公開「バズ・ライトイヤー」。
ピクサーの映画『トイ・ストーリー』シリーズは、ダイちゃんは御覧になったことないかと思いますが…。
鈴木 いやいや、私は見ていますよ。少なくとも1作目は。
荒木 そうですか?!スタンス広いですね。そうしたらご存知だと思うんですが・・・「トイ・ストーリー」、アンディ少年の持っているおもちゃ カウボーイ人形のウッディやバズ・ライトイヤー・・、実は彼らは生きていて、話したり自由に行動したりできる…という設定で人気シリーズ映画です。4作ぐらいまでやってますよね。
鈴木 そんなにやってるんですね。
荒木 そのおもちゃのうち、今回の作品主人公はスペースレンジャーと言われる宇宙の戦士・戦闘員のバズです。(パワースーツを着ている、顔の大きいお兄さん)
そもそも おもちゃのバズは、実は持ち主アンディの大好きな映画の主人公という設定だったんです。そこで 今回のアンガス・マクレーン監督が考えました。
「一体、アンディがバズ・ライトイヤーのおもちゃを欲しがるようになったのはどんな映画を見たからなんだろう?自分も見たいな?」と思ったのがきっかけだったんだというんですね。
鈴木 すごいな、その発想って…。
荒木 そんな発想から生まれたのが今回のこの作品でスピンオフ作品かつ前日譚なんですね。アンディが大好きだったいう映画の物語がそのまま描かれています。
その映画の内容は…主人公 バズ・ライトイヤーは有能な宇宙飛行士ですが、自分の力を過信したことで、1200人の宇宙船乗組員とともに危険な惑星に不時着してしまいます。相棒でもある猫型ロボットのソックスとともに、全員を地球に帰還させるための作戦に挑戦するバズは、ずっと年下のジュニアパトロールたちと協力しならの運命を大きく変えていくというものです。
壮大な宇宙を舞台にした もう圧倒的なスケールです。映像美が素晴らしいです。
特に今回は宇宙ですから、壮大な宇宙空間の景色の深みから、反対に宇宙服の小さな汚れまで、とにかく絵が素晴らしいです。更に、時間をテーマにした物語設定や展開と言い、この辺りのコンピュータ・アニメーションSFのすごさは、日本のアニメはやはりちょっとかなわないなーというのが感想です。
鈴木 そんなにすごいんだー。
荒木 そうですね。主人公バズ・ライトイヤーの声は英語版では「キャプテン・アメリカ」のクリス・エバンスがやっていますが、日本語吹き替え版は鈴木亮平さんが担当しています。これがすばらしいんですよ。声につやがあって、ちょっとかわいらしさもあって、これ、ほんものの声優さんより正直、いいんじゃないかと思いました。素晴らしい俳優さんすね。再認識しました。今回、あえて、私個人としては吹き替え版をご推薦します。
鈴木 荒木さん珍しいこと言ってますね。
荒木 7月1日公開「バズ・ライトイヤー」でした。
鈴木 わたし、たまに顔の形がバズ・ライトイヤーに似ているって言われるんですよ。
荒木 あはは、そうかもしれないね。
さあ、2本目「エルヴィス」。7月1日公開。今年後半の最大の話題作にして傑作でしょう。

鈴木 うわー!!来たー!!
荒木 彼がどのようにスターになり、どのような死を迎えたのか?という、基本伝記映画プラス音楽映画です。
ダイちゃんにはすでに見ていただいているので、今日はこの映画のいろいろなファクターについてお話しながら紹介していこうと思います。
まず全体の印象は?いかがでした?
鈴木 僕は見る前にはオースティン・バトラー、普通のスティール写真で見るとあまり似ていないんですよ。僕の感覚からだと・・で、実際見てみたら、彼がエルヴィスにしか見えなくなった。正直 エルヴィスだとしか思えませんでした。
荒木 主演のオースティン・バトラーはもともとそんな有名じゃない。
「ワンス・アポンナ・タイムイン・ハリウッド」でちょい役で出演していたぐらい、悪役でした。エルヴィスとは顔のタイプは違うけど、(オースティンは長い)。不思議なことにプレスリーに見えてくるんですよね。表情と全体の雰囲気似ているよね。
鈴木 後半のヴェガスに近づけば近づくほど似ていましたね。
荒木 歌唱部分については、若い頃のエルヴィスのパートはオースティン・バトラー本人歌唱、後期のエルヴィスのパートは本物エルヴィスとオースティンのミックスとのことです。
鈴木 オースティン・バトラーの歌とダンスのクオリティも凄かったし、凄くびっくりしました。
荒木 音楽映画としても超一級、伝記映画としても素晴らしかったです。最初の場面でワーナーロゴが豪華にプレスリーの衣裳風に出てくるじゃないですか。
鈴木 TCBのロゴの雰囲気と同じですよね。
荒木 オープニングからキラッキラでしたよね。
鈴木 まさしく。
荒木 2時間40分弱と長かったですけど…。
鈴木 全然長く感じなかった。1時間50分ぐらいの感覚でしたよ。
荒木 音楽関係者で、ダイちゃんのようにちゃんとエルヴィスを知っている人はもとより、知らない人も感動しますよねー。
鈴木 そう、逆にエルヴィスの初心者というか、これからエルヴィスの世界に足を踏み入れようとしている人にとっては最高の入り口になっていると思われます。
荒木 実際にステージの上にいるような感覚も味わえますよね。
鈴木 わかりますね。初めてエルヴィスのステージが見られたという感じになるぐらいですよ。
荒木 人によるとドキュメンタリーにも近かった印象を受けるという意見もあります。
鈴木 この映画はエルヴィスに関する大事なエピソードはすべて盛り込まれていますので、逆に歴史も全部わかるようなBIOになっていますね。
荒木 監督は誰かというと、バズ・ラーマン監督、さっきはバズ・ライトイヤーでしたが…オーストラリア出身の映画監督・映画プロデューサー・脚本家・俳優。
舞台演出家もやっていたこの人の特徴、空間を華やかに彩るセンスは、ほかの監督には追従できないでしょう。これまでの作品でも、古典的なストーリーを鮮やかな映像とゴージャスなセットでよみがえらせています。
鈴木 虚構の世界も感じるんですよ、何かエンターテインメントの悲しさみたいなもの…。
荒木 そしてカット割りもスピーディーだったでしょ?
鈴木 はい、かなり早かった、パン、パン、パンって。
荒木 全体を見ていると宝石箱をひっくり返したような…。
鈴木 荒木さん、うまいこと言いますね。
荒木 一番初めのオープニングから宝石風だったじゃないですか?
鈴木 まあ、ね、確かに…。
荒木 プレスリーって人はきらびやかで、華やかさが身上の人ですから特に後半はね。
鈴木 そうですね。ギラギラでしたよね。
荒木 そして共演者、マネージャーのトム・パーカー役。トム・パーカーっていろんな人がいますが・・・、正式にはトマス・アンドリュー・"トム"・パーカー大佐、マネージャーさんです。
鈴木 そうそう トム・パーカーっていうのはあれ、通称なんですよね。
荒木 パーカーはアメリカ合衆国生まれであると詐称していましたが、実際にはオランダのブレダ生まれで不法移民だったんですね。最後まで隠していたんですが、これを、トム・ハンクスが演じています。
鈴木 すごいキャスティングでしたよね。そっくりだったけど、何か嫌な男で、でも 人を見抜くという才能があった人ですよね。
荒木 そう、おっしゃるように見抜く力がすごかった。
トム・ハンクスはご存知のようにズーッといい役ばかりでした。個人的にはたまには、トムの悪い役を見たいと思っていたんですが、こわかったですよ。
鈴木 悪役というより よくわかりませんがちょっと嫌な奴ですよね。
今までいい役ばっかりだったのでギャップにも萌えましたよね。
荒木 それと これまでの映画であまりスポットが当たらなかったマネージャー側の視点と語りが多めでね、ダイちゃんのまわりにも、タレントさんと、マネージャーさんていろんな人いると思いますが…。
鈴木 この映画見て、マネージャーやりたいという人どのくらいいるのかなという感じです。
荒木 彼のマネジメント手法は、プレスリーの生活のあらゆる側面に関与するもので、いわば、がんじがらめ、下半身までがんじがらめです。
でも、プレスリーの驚異的な成功に中心的な役割を果たしたものと考えられています。
エルヴィス本人もパーカーについて、「彼がいなかったらこんなにビッグになっちゃいないよ。彼はとても賢い男さ」と最後まで言っていたそうです。
そんなことを含めていろいろな要素が入ってきていてプレスリーの伝記映画でもあり、音楽映画でもあるんですね。ほかのアーチストたちもいろいろ出てきていましたね。
鈴木 そうそうリトル・リチャードも出ていましたね。ハンク・スノーもいました。
荒木 そういう交流もきちんと描かれています。
黒人の街で育ち、白人音楽と黒人音楽の融合という落とし子的な画期的な彼の才能や、音楽センスも良く描かれていました。 音楽映画としてもすぐれていましたね。
鈴木 アメリカンミュージックの歴史が描かれているという感じでしたよね。それもわかりやすく描かれているのでこれはもう、ポップ・ミュージックに興味のある方は絶対見たほうがいい、資料的にもすごく貴重です。
荒木 7月1日公開 大きなスクリーンで、彼 エルヴィスのパフォーマンスを見ていただければと思います。
鈴木 これは是非おすすめしたいと思います。
荒木 ということでダイちゃんも大おすすめです。
今後は ホイットニー、プリンス、マイケルと錚々たるメンツの伝記も来るらしいよ。
鈴木 楽しみです。 荒木さん、ありがとうございました。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。