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映 画
「モアナと伝説の海2」「ライオンキング:ムファサ」のとっておき情報
(2024年12月27日15:00)
映画評論家・荒木久文氏が「モアナと伝説の海2」「ライオンキング:ムファサ」のとっておき情報などを紹介した。FM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、12月23日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話した。
鈴木 よろしくお願いいたします。メリークリスマス~♫
荒木 メリークリスマス~♫~雪国は本当にホワイトクリスマスで、逆に大変ですけどね。皆さんも昨日あたりから冬休みですかね。映画業界はここに来てクリスマスお正月映画が本格的に稼働ですね。第一弾は12月の第2週、先週かな。第二弾が本格的なのが今週末というのが大体の定番です。今週出揃いますので注目のお正月映画からご紹介したいと思いますが。
鈴木 が!!?
荒木 今日は、ちょうどクリスマスと言う事もあって、子どもたちもお休みなので親と一緒に子どもが見に行ける映画のご紹介です。
鈴木 いいじゃないですか!品行方正な感じが、我々も。
荒木 我々、もともと品行方正傾向だからね。
鈴木 そうなんですよ!意外に我々そうですよー(笑)。よろしくお願いします。
荒木 王道はディズニー映画ですね、1本目はミュージカルアドベンチャーと唱っています、この曲から行きましょう。
~♬~
鈴木 おおー。
荒木 「ビヨンド 超えてゆこう」というアカデミー賞にノミネートされて、世界中に感動を巻き起こしたディズニー映画「モアナと伝説の海」。その続編「モアナと伝説の海2」の主題歌。
前作は生まれ故郷の島と周りの海しか知らなかったモアナという少女が、盗まれてしまった女神の心を取り戻すために海の冒険の旅に出るんですね。そして さまざまな試練を乗り越えて自らの運命を切り開いてゆくという感動のストーリーでした。今回は前の冒険から3年後と言う設定です。愛する家族と平穏に暮らしでいたモアナはある伝説を知ります。それは「かつて人々は海で繋がっていたが人間を憎む神の呪いよって引き裂かれた。しかし遠い海の果てにある島にたどり着けばその呪いは解けて、世界は再び一つになる」というものでした。モアナはその引き裂かれた絆を取り戻すために航海に出ます。ただ、その島はととも危険なところなんです。しかし彼女は新しい仲間たちとともに旅立つというものです。
鈴木 わくわく冒険ものじゃないですか。
荒木 それにミュージカルアドベンチャーと銘打っているだけあって音楽が満載です。今 聴いていただいたのは「ビヨンド 超えてゆこう」という主題歌なんです。
2度と帰れないかもしれない旅に出発する「モアナ」が伝うメインの曲です。もう一曲、物語の冒頭を飾る曲として「帰ってきた、本当の私に」という劇中歌も素晴らしいです。
とにかく、ミュージカルアドベンチャーアニメーションですからほかにも何曲か素晴らしい曲が流れます。
私は日本語吹き替え版を見せていただいたのですが、前作でもモアナを担当した、屋比久知奈さんが素晴らしい伸びのある歌声を聞かせてくれます。この歌を聴きに行くだけでも価値があります。
鈴木 今や吹替えも大変ですね。歌が上手くないとだめですもんね。
荒木 そう!歌が上手くないとね。歌で選んでる傾向があるよね。
鈴木 なるほど。
荒木 吹替えのことに関してはあとでまた。
ビジュアル的には3年成長したモアナですので大人っぽくなってます、19歳。髪も少し長くなってウエイブもかかって。しかし活発さは変わらずで、新しいリーダーとしてイキイキと活躍しています。ダイちゃんに前にもご紹介したよね?前作で話題になったのが、水や波の表現だったんですよ。
鈴木 荒木さん、前もそう仰ってたよね!
荒木 水と海、どうやって描くのか、ってのがあって。きれいな空と海、そこに繰り広げられる大冒険っていうんでね。私の貧しい表現では言い表せないくらいのきれいさです。
鈴木 アニメとは思えないくらいの水の動きというか、きらめきというか、ざわめきというかなの。
荒木 そうそう。透明度があるでしょう。なんか写実画家が描いてるような不思議な感じ。完全に実写じゃないんですよ。それはわかるんです。どうやって創るんだろうっていう表現の進歩ってすごいですよ!
鈴木 すごいんだね!
荒木 子供たちにとってもはもちろん、大人も十分楽しめます。
「モアナと伝説の海2」、只今公開中です。
鈴木 なるほど! 2ですね!
荒木 そして、こちらも誰でも知っているといっても過言じゃありません。
ディズニーの大看板のひとつ「ライオンキングシリーズ」です。
12月20日公開中の「ライオンキング:ムファサ」をご紹介します。この「ライオンキング」シリーズ、スタートは1994年というからもう30年も前なんですね。
壮大なアフリカを舞台に「生命の輪」をテーマにして、数々の映画賞を独占してきました。サウンドトラックもヒットしましたね。さらにミュージカル版、続編やスピンオフ版もヒットしましたが展開ががらっと変わったのが、今から4年程前です。
鈴木 4年前?
荒木 4年前ですね。今までのアニメーションとガラッと違うCGと実写を融合させた超実写版「ライオンキング」が、あっと驚く記録を作りました。私も見ましたけど、ライオンはじめ、動物たちが演技をしているじゃないかと!
鈴木 あはははは。実物がね!
荒木 そう!表情が凄いんですよ!泣いたり笑ったり実物が演技してるとしか思えないと、ディズニー映画史上歴代興行収入ナンバー1を記録したんです。
鈴木 すごいわ~!
荒木 すごいよね。私も初めて見た時は「ジュラシックパーク」を見た時みたいな感じでしたよね。
鈴木 あれも実物にしか見えなかったし、恐竜は今でも生きてるんじゃないかと思ったもん!
荒木 そうそう!本当にライオンが表情を含めて演技しているかと思いましたよね。今回の「ライオンキング ムファサ」は、そんな「ライオンキング」の原点にして始まりの物語です。まあ、いわゆるゼロです。前作のその前のお話と前日譚というわけです。前作の幼い主人公シンバを命がけで守った偉大なライオン王・ムファサと、ムファサの命を奪った悪役「スカー」の若き日を描いてるんですね。
鈴木 なんか、スターウォーズみたいになってきたなあ(笑)。
荒木 知られざる2頭というか2人だな、そしてムファサが偉大な王になるきっかけとなった運命的な出来事が描かれています。
鈴木 なるほど。
荒木 前のを見てもいいし、見なくても大丈夫です。
鈴木 じゃあ前のを見なくても、今回初めて見ても面白いということですか。
荒木 そうです。簡単にストーリーです。
両親を亡くし、ひとりさまよっていた幼き日のライオン・ムファサはある群れに出合い、行動を共にすることになります。そこで出会ったのが、王家の血を引く思いやりに満ちたライオン・タカでした。これが後のスカーになるんですけど。ムファサは溺れているところを彼に救われます。血のつながりを超えて兄弟の絆で結ばれていくムファサとタカ。しかしふたりは冷酷な敵キロスという白く巨大なライオンに攻撃されます。ムファサとタカは仲間の群れを守るために、約束の地ミレーレという新天地を目指してアフリカ横断の旅に出るという、苦難と予想外の出来事の連続に巻き込まれていくということです。
鈴木 そういう、パラダイスを求めていくっていうのが一番盛り上がるんですよね。
荒木 そうですよね。とにかく動物たちの表情がさらに進化を遂げたこと。喜怒哀楽が見事です。
鈴木 前だって凄かったのに、それ以上ですか?
荒木 そうそう!演技賞、俳優賞あるんじゃないかな?アカデミー賞。
鈴木 ライオンキングに捧げられるんですか?主演男優賞とかってびっくりしますよ。
荒木 面白いよね!視線とか、眉も困った時には八の字になったり、怒った時には吊り上ったり、そういう単純なものばかりじゃなくとにかく表現が凄い! もしかしたら、小さな子を連れて行くとライオンも人間のようにしゃべるんだと誤解しかねませんね。
鈴木 あはははは。絶対そういう子どもたちいますよ!
荒木 この技術の高さを子供たちにだけ見せておくのはもったいないです。
ムファサとタカが敵同士になってゆくのを、説得力ある自然な流れの脚本で描いています。音楽も凄いいいです。
鈴木 出た出た!ライオンキングの音楽ね。
荒木 ご存じの音楽たくさんありますけど、アニメの技術とCGの融合と音楽と、本当に楽しめるというものですね。
鈴木 最高の娯楽って要素ですね。
荒木 このディズニー映画の2本、モアナとライオンキングに共通するびっくりしたことがありました。ダイちゃんもさっき言ってたけど2本とも日本語吹き替え版を見せていただいたんですよ。
鈴木 今、そういう流れなんですか?
荒木 そうじゃなくて、偶然、日本語吹替え版のところに当たっちゃったんです。どちらも キャラクターたちがまるで日本語のセリフをしゃべってるみたい。口元を注意して見てください。もうぴったり合ってるって!合わせてる。そうとしか思えないんですよ。それほどセリフが口の開け方に合わせているのかと思いましたけど、当然 英語に合わせて口の表現をしているんですよね。たぶん。
鈴木 各国に合わせて口元だけ撮り直してるわけじゃないですよね?
荒木 その辺はディズニーさんに問い合わせたけど、秘密らしいんでよくわかんないんですけど。
鈴木 逆にいうと、聞くぐらいってことですか?
荒木 そうそう。よーく口元注意して見てください。不思議ですよ。日本語のセリフに口の開き方がぴったり合っているんですよ。
鈴木 すげー!
荒木 すげー!と思います。昔の吹替え、考えたら凄かったよね。もう日本語終わってるのに、口だけパクパクあいてて。
鈴木 ありましたね!いろいろありました。
荒木 それにくらべたら、そこまで細かく注意して作ってるんですよね、これ。
鈴木 子どもたちが知らないでいたら、洋画と思わないかもしれないですね。
荒木 思わない!全く思わないと思う。もちろんお子さんたちが主流ですけど、この技術の高さを子供たちにだけ見せておくのはもったいないです。
鈴木 老若男女、世界中の人たちが楽しめるということですね。
荒木 「ライオンキング:ムファサ」、ご紹介しましたが、安心して見られるというのは両方同じなので、ちょっと大人としてドキドキしちゃうというのはないので。
鈴木 そういうシーンは全くないんですか?
荒木 ないですね。むしろ、もうちょっと現実を教えなきゃいけないんじゃないかという部分はありますね。例えば、…こんなこと・・言っちゃいけないのかな、ライオンキングのもとに動物たちはみな平等だ みたいなのがあるんですよ。それって違うでしょう 食物連鎖は?ってのは、大人の発想だよね。
鈴木 大人の発想を知るには、我々の普通の回の時のトークを聴いていただければ、大人ってこういうもんだってだんだんわかってきますからね。
荒木 その大人の発想もね、悪い大人の発想だからね、我々は。いい大人の発想と言えないところがね。ごめんね。
鈴木 あはははは。確かにそんなところはありますかね。
荒木 本当に、こういう世界が出来たらいいなって気持ちも含めて描いた世界感ですよね。
鈴木 さすがディズニーですね。
荒木 ということで、今日は2本お贈りしました。
鈴木 メリークリスマス♫ ありがとうございました。
「ライオンキング:ムファサ」から1曲お聞きください。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。